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ミリキタニの猫
怒りのおさめ方
監督:リンダ・ハッテンドーフ(2006年/アメリカ/74分)
ジミー・ツトム・ミリキタニ|ジャニス・ミリキタニ|ロジャー・シモムラ

ミリキタニは「三力谷」という日系人のアーティストの名前です。路上で絵を描く家なし老人です。このおじいさんが、なぜ、路上生活をしているのか。過去はどんなものだったか。そして、未来はあるのか。2001年の9月を挟む約1年半のドキュメンタリーです。

●ネタバレ感想

ミリキタニは怒っています。アメリカで生まれたにもかかわらず、敵性外国人として日系人収容所に入れられ、家族はバラバラになり、自分を慕ってくれた少年は収容所で死にました。市民権を放棄させられ、土地も家もすべて取り上げられました。日本の故郷は焼け野原です。
ミリキタニの怒りは当然でしょう。でも、その怒りが60年も持続するのは?彼は収容所の絵を何枚も描き、道行く人に収容所に入れられ全てを奪われたことを訴えます。受けた「仕打ち」に対して、これくらいの「怒り様」では足りないのでしょうか。
ミリキタニを観ていて私が思い出すのは、満州から引き上げてきた祖母のことです。祖母は腹が立つからと言って満州の話はしてくれませんでした。また、従軍慰安婦の人たちのことも頭をよぎりました。みんな、顔の見えない相手に向かって怒らなければなりません。
この持続する怒りをどうすれば静められるのでしょう。その答えがこのドキュメンタリーにはありました。それは安定した生活と、怒りを受け止めてくれる人がいることだと思います。ツールレイク収容所へのバスツアーがあるということは、収容所に入れられた日系人の存在が認識される世の中になったということだと思います。それで、誰が怒りを受け止めたのかはわかりませんが(汗)、とにかく怒りを受け止める人がいないことには「怒りの放出」だけではおさまらないと、当たり前のことに気づいたのです。
それと、路上生活をしている時分は猫のように丸い背中だったのが、おしまいではシャキッと伸びていて、いかに路上生活が過酷であるか見せつけられました。安定した生活が怒りを緩和させることは否めないと思います。

ハッテンドーフ監督の作品の構成力は素晴らしく、ツールレイク収容所ツアーを最後に持ってくることで、作品の意図が明確になったと思います。私はてっきり「ご対面」シーンを最後にするものと思っていました。そうするとミリキタニの「怒り」がうやむやになったかもしれません。「ご対面」をおまけにする(ラストクレジットに被せる)なんてしゃれています。
また、2001年9月の世界貿易センタービル崩壊の後、ミリキタニをアパートに招き入れるなんて偉い(拍手)。私には真似できないわ〜。共同生活では、やはり、ちょっと頭に来ることもあって、面白かったわ〜(笑)。なんせ、ミリキタニのわがままぶりは高齢からくるものか、芸術家魂からくるものか、わかんないけど(笑)、監督に忍耐力があることはわかりました。優しい人です。作り手自身が、被写体にこのような深い関わりを持つのはめずらしいドキュメンタリーかもしれません。
そして、アーティストの気概を持って生きてきたミリキタニの絵を美しく切り取った構図と色彩が素晴らしく、ミリキタニに対する作り手の敬意を感じました。

全くの余談:引き続き観た『銀色のシーズン』で、写真を撮る時、城山銀(瑛太)がピースサインをしていたのが、ミリキタニと重なって面白かったです。

あたご劇場 2008/1/14
 
[うえ↑]
   
銀色のシーズン
人生、やり直せるって
青い空に雄大な雪山。滑走する3人の若者。よくぞ撮りました(拍手)。なかなか楽しい映画でした。
脛に傷を持つ若者が、人生をやり直すお話で、その原動力となったのは恋であるというのが若いです。そして、やり直すに当たっても以前とあまり成長しておらず・・・・・、と思ったら(それは見てのお楽しみ)。とりあえず少しは成長したようで。
しかし、若者の無軌道にある程度寛容な社会じゃないと、あの3人のような馬鹿行為はなかなか出来るもんじゃないですね。寛容な大人や物申す大人、色々な大人がいた方がいいのかな。
TOHOシネマズ高知6 2008/1/14
 
[うえ↑]
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