ホームへ
・映画情報→ ・上映中&予定 ・カレンダー ・グループ ・ピックアップ
・趣   味→ ・くりからもんもん ・鬼の対談 ・ベスト・キャラ ・かるかん
 
■かるかん>スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師|母べえ
[←もどる] [すすむ→]
   
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
バートン監督本性現す

「この恨みはらさでおくべきか」という人間のダークサイドを、お茶目に、かつ、美しい映像で描いて、ティム・バートン監督の真骨頂と言いたいところですが、スウィーニー・トッド(ジョニー・デップ)の復讐に凝り固まった狂人ぶりにも、かなわぬ恋に切なさいっぱいのミス・ラベット(ヘレナ・ボナム・カーター)のいじらしさにも共感を覚えず、また、涙を誘うような悲劇的結末にさえも、退屈はしなかったけれど特に感慨はないというバートンファンにあるまじき感想を持ってしまいました(残念)。
ターピン判事(アラン・リックマン)の恋狂いとバムフォード(ティモシー・スポール)の怪しさには、ふむふむ。
アンソニー(ジェイミー・キャンベル・バウアー)とジョアナ(ジェイン・ワイズナー)の瑞々しいお二人さんには、はぁと!
おもちゃのような血の色は、この映画の場合、拍手。

スウィーニー・トッドは、本来は可哀想な身の上ながら復讐心に凝り固まったがゆえに狂人の域に達してしまったキャラクターですから、この作品は『バットマン』のジョーカーやペンギンマンを主人公にしたも同然だと思います。
ブルース・ウェインも彼らと紙一重で、狂人とまでは行かないまでも病的な部分を持っていましたが、幸いアルフレッドのお陰もあって、大富豪オタクのぼんぼんとして魅力的な主人公になり得ていました。
だけど、ペンギンマンが主人公として魅力的かどうか・・・・。私は異形に生まれたために両親に捨てられたペンギンマンに同情はしますが、人を食いちぎったり爆弾を仕掛けたりする彼を好きにはなれませんでした。また、食いちぎり方が美しくないのですわ;;;;。
しかし、真のバートン・ファンとなるには、ペンギンマンやスウィーニー・トッドを愛さなくちゃならんのです。
仕事も私生活も順風満帆で、ついにペンギンマンを主人公にするところまできたバートン監督さま、私は似非バートン・ファンにしかなれません。主人公は、「妖怪人間ベム」あたりを限度(?)によろしくお願いします。

TOHOシネマズ高知9 2008/1/26
 
[うえ↑]
   
母べえ
怒ってたのね

1940年2月から1942年の正月までの野上家を主な舞台に、一家の生活の細部まで淡々と描き、全く退屈させません。そして、最後に「がつん」と来ます。山田洋二監督、すごいなぁ。

日中戦争の頃と太平洋戦争の頃とでは、生活の状況が異なっていたのですね。服装などが全く違うので、人々の生活がどんどん苦しくなった様子が目に見えてわかりました。類型的な人物が登場しないことや、鬼畜米英と言われていた時代に野上家の郵便受けに「NOGAMI」と表示があることなど(「ローマ字はいいの?」と意外)、他にも色々細部まで描きこまれていて、私も戦中派を名乗れるかも・・・というくらい情報量が多いのにさらりと軽いのです。

登場人物では、山ちゃん(浅野忠信)が、よかったなあ!まじめで誠実。やや、周りが見えない一直線なところがあるけれど、順応性があって純粋だけど無垢ではなく、状況によっては嘘もつきます。浅野忠信、大変身って感じ(笑)。
隣組の組長さん(小林念侍?)もいいキャラクターでした。母べえ(吉永小百合)を贔屓して優しいところや、戦況予測の話も面白かったです。父べえ(坂東三津五郎)が特高警察に捕まったからと言って、その家族を非国民と言ってのけ者にするようなことがなくて、ほっとしました。
母べえが父べえに差し入れする本を借りに行った先の教授は、物言わぬ知識人の代表として描かれたんでしょうね。
食べ物が色々出てくるのも面白かったです。コロッケ、すき焼き、スイカ、ショートケーキ。原作者の野上照代さんが子どもだった頃、食べたくても食べれなかったもののエピソードが特に面白かったです。

●ネタバレ感想

母べえの最期の言葉。「がつん」と来ますね。
死んだら天国で父べえ、山ちゃん、久子叔母さん(壇れい)、伯父さん(笑福亭鶴瓶)に会えるというのは、慰めにしかならないのです。死んだらそれまでかもしれないもの。
苦しい生活を強いられたときも穏やかな笑みを絶やさなかった母べえの静かなる怒りの言葉。戦後60年間、母べえは「奪われた」という思いを抱き続けてきたのかもしれません。

TOHOシネマズ高知6 2008/1/27
 
[うえ↑]
ホームサイトマップサイト内検索リンク自由|byお茶屋(連絡先)