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潜水服は蝶の夢を見る
生き方見本

海に落ちた氷河が巻き戻されていく。しぶきが海に吸い込まれ、氷の塊が上昇しながら集まっていき、巨大な岩となり岸壁にくっついていく。
ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は、脳梗塞の後遺症で自分の意志で動かせるのは瞼だけだ。だから、意思疎通は瞬きでする。口述筆記ならぬ瞬き筆記によって(もちろん、協力者が必要だ)自伝を書く。記憶をたどり、ゆっくりと記録していく作業を、氷河の巻き戻しに投影しているわけだ。
身体は動かせず、ものもしゃべれない、まるで重い潜水服を着ているようなものだが、頭の中は自由でどこにでも行けるし、潜水服を着たまま蝶だって見れる。記憶とはありがたいものだ。様々な記憶の組み合わせで想像力が広がる。

しかし、ジャン=ドミニクは想像力だけで生きているわけではない。妻だった人も子どもも若い恋人も年老いた父も変な帽子の友人もいる。バリバリに仕事をしていたときには深く関われなかっただろうけど、一人一人を見つめ直し、愛を感じる。
彼は自分自身も周りの人も客体化してとらえる。それがひょうひょうとしたユーモアにつながっていて、悲しさ辛さを緩和してくれる。それでも見開いたままの目に涙を浮かべることがあった。想像と現実との絶妙のバランスで彼は生きた。

あたご劇場 2008/7/17
 
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