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悪夢探偵
死にたい病は破壊の王者
監督:塚本晋也/日本/2006年/106分
影沼京一:松田龍平|霧島:hitomi|若宮:安藤政信|関谷:大杉漣|???:塚本晋也

これは塚本監督の最高傑作だと思います。それくらいパワーのある作品で、ものすごく面白かったです。破壊のエネルギーが内に向かうと自殺で、外に向かうと殺人になり、根は同じなんだと改めて思いました。ただし、この破壊のエネルギーは、何もかもイヤになって死にたくなるというような倦み疲れた心身からは生まれず(だから影沼京一は殺人には走らない)、「怒り」から生まれ増幅するのです。そういうわけで、夢の中、瞬速で移動する刃物を宿した肉塊は、正に「怒りの塊」。(見えないときは、めちゃめちゃ怖かったけど、姿を現したら意外とチャーミングなのは塚本監督ならではの造形だ〜。)「彼」が怒りの塊となった原因は、生い立ちにあったと思うのですが、死ぬ間際に差し挟まれた幸せそうな家族(?)の映像は何を意味しているのでしょうか。私は悪いことが重なり続けた彼の人生にも幼い頃幸せな一瞬があって、それを死ぬ間際に思い出したのだと思いました。そういう思い出を糧に生きてくれたらよかったのに(涙)。それにしても、塚本監督も怒りの塊であったか!どんなに暴力が嫌いで、痛いのが怖くても、怒りで「破壊」したくなる。・・・・わかります(ー_ー)。その衝動をモチーフにこれまでも作品化したことがある塚本監督でありましたが、自らが演じて今回は迫力ありすぎ!いやー、役者としても大したものです。
しかし、倦み疲れた人の心に「あ、タッチしました」というのが、あまりにも普通のしゃべり方で怖いやら可笑しいやら(笑)。疲れることの多い現代社会ですから、何もかもイヤになって「死ねたら楽」なんて思った一瞬にタッチされたら堪りませんよねー。

タイトスカートにハイヒールで頑張る霧島。なんかエロイ、ってのはさておいて(笑)、彼女、見るからに危ういですよねー。男職場で肩肘張って生きている。それも限界のよう。それを普通に察知して、さりげない言葉でフォローする同僚刑事若宮。きゃー、久々の安藤くん。いいわ〜(はぁと)。安藤君は何をやってもサラリと上手い!(あまりにもサラリとしているので印象に残らなかったりしますが(^_^;。)
今回も普通の人、若宮を的確に演じておりまして、こういう気遣いのできる優しい男性っていいな〜と好感度大のキャラクターだったので、途中であんなことになってしまって残念でたまらず、若宮=安藤君をもっと見たいというわけで安藤熱再発。この日から安藤祭りが始まったのです。見てなかった映画も数本観ましたが、やっぱり『キッズ・リターン』『サトラレ』が作品として強いですよね。どちらも二十代での作品ですから、三十路でも代表作がほしいなぁ。ぜひ、主役も張ってくださいよ。そのときは胸筋を鍛えてね(希望)。

あ!悪夢探偵について書くのを忘れてた。
影沼京一は、今回狂言回しみたいな役どころでしたが、死にたい病が共通点。「ああ、いやだ、いやだ」というのは、世の中も人も自分自身も嫌だということでしょう。でも、綺麗なお姉さん(自分と同類、死にたい病の霧島)の役に立てた自覚のもと、彼女に自分を肯定されて、ふっと微笑むラストシーンは希望があってとてもよかったです。松田龍平が、まだ少年の面影が残っていて可愛かった〜。そしたら、『悪夢探偵2』では面差しが変わって(大人になっていて)ビックリ。←観ている間は、2年後に撮影したとは知らなくて。
『2』の方は、哀しく切ないお話で、影沼京一は完全に主役。マザコン映画に分類しました(^_^;。

MOVIE JUNKY 高知県立美術館ホール 2009/5/19
 
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