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■かるかん>接吻|闇の子供たち
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接吻
やっぱりHAPPY BIRTHDAY?
監督:万田邦敏/日本/2006年/108分

『生きる』や『16ブロック』で主人公が生まれ変わったときに使われた「HAPPY BIRTHDAY」が、殺しの場面で歌われる。弔いに「HAPPY BIRTHDAY」とはこれいかに。秋生(豊川悦司)も京子(小池栄子)も生き甲斐のない人生を生きているが虚無に成りきれてないのではないか。彼らが人を殺すとき歌う「HAPPY BIRTHDAY」は、自分が「HAPPY BIRTHDAY」を歌ってもらえなかった恨み節になっているような気がする。
ともあれ、あっと驚く接吻シーンに至るまで、恐ろしくも見応えのある娯楽作品だった。

物語において犯罪者は哀しみを背負っていたりするものだが、京子の自分本位さには恐れ入るばかりだった。同僚に理不尽な要求をされても言いなりで、自己主張を全くしなかったが、それは相手を幾分見下していて「言っても無駄」という傲慢な気分からのことではないだろうか。秋生に面会しても何か言いたげな彼の表情を読みとろうともしないし、思い遣ることもない。受け止めるにしても発するにしても、彼女は一方的だ。
彼女も始めは仲間はずれやイジメに傷ついて涙したこともあったろうと思う。求めても得られないのが辛くて「バカな人たちの相手なんかしれられないわ」と考えることにしたあげく、自分の殻に閉じこもったのだろう。殻の内側で周囲の人たちを見下す月日が長ければ長いほど、自分と同類(=秋生)を見つけたときは、もう舞い上がるしかない;;;。見下すか崇めるかの両極端。う〜ん、ちょっと可哀相な気もしてきた(笑)。さっきまで、彼女ほど自分本位な人は恐ろしいばかりだったのに、なぜ、そうなったかを考えているうちに、それほど特異な人と思えなくなってきた。京子さん、ものすごい哀しみを背負っていたんだねぇ。

さて、最後の接吻は秋生にするものとばかり思っていたら、京子に好きだと告白した長谷川(仲村トオル)にだった。しかも、「どうだ!」とばかりに。
問い。このときの京子の心を吹き出しにして適当な言葉を入れなさい。→→→答え。「これが本当の私よ!」
まあ、他にも適当な言葉は数々ありそうだけど、あの接吻はこれまで彼女を虐げてきた者たちへの復讐であると同時に殻を破った=自己解放のようなものと思う。(小池栄子だと怪獣が野放しになったような気も(^_^;。)

とさりゅう・ピクチャーズ 自由民権記念館 2009/1/16
 
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闇の子供たち
寄らば自然のふところに
監督:阪本順治/日本/2008年/138分

力作。よくぞ作ったと思う(偉い)。こんなこと知らなかったなぁ。

親から買い上げた子どもを売春させるとか、生きた子どもの臓器を移植のために売買するとか、醜悪。貧しすぎるから子どもを売る。お客さんは富める国の人々だ。国際レベルでの貧富の差を解消させなくちゃと思うけど、映画の作りとしてはそうはなってないと思う。臓器売買を取材していた記者、南部(江口洋介)が、実は小児性愛者だったという結末で、彼が鏡を見て封印していた記憶(子どもを買ったこと)を思い出す場面を用意している。(好奇心で買春したというよりは、伏線として子ども好きな様子が描かれているので、私は小児性愛者の買春だと受け止めた。)そのあと、彼が見ていた鏡を観客に向けてしばらく映すので、「あなたも小児性愛者じゃありませんか。」と言われているように感じてしまった。本当は「あなたも富める国の人々、お客さん側です。自覚してください。」という意味での鏡だと思うけれど、前後の流れからするとそうは受け止められなかったのだ。そのせいで、「あなたも小児性愛者じゃありませんかと言われてもなぁ。」としばらく悩んだ(笑)。結局、南部を小児性愛者にする必要はなかったのではないか。江口洋介はすごく頑張っていてジャーナリストに見えたし、心から拍手を送りたいけれど、どうしても小児性愛者には見えなかった。(それなら、どうみえたら小児性愛者なのか、という問題が残る;;;;。)人間の欲望という面も描きたかったのだろうけど、う〜ん。

ラストは、売春宿で病気になってゴミとして捨てられた子どもが生き延びて、這って故郷にたどり着き、大樹の幹に寄りかかるシーンだったと思うけど、よくこぞのシーンを入れてくれた。
先に書いたとおり、映画の作りとしては欠点があると思うけれど、ハートは満点だ。阪本順治監督を始め、作り手にありがとうと言いたい。

あたご劇場 2009/3/2
 
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