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■かるかん>3時10分、決断のとき|サヨナライツカ
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3時10分、決断のとき
男の見本
監督:ジェームズ・マンゴールド/アメリカ/2007年/122分

素晴らしい!感動した。
駅馬車強盗に始まって撃ち合いに終わる。西部劇の要素が満載。
捕まった強盗団のボス、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)の護送を、農場主ダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)が請け負い、3時10分のユマ(刑務所)行きの汽車に乗せるまでの話で、その間にインディアンの襲撃もあれば、強盗団の手下がボスを救出しようと追いかけてくる。活劇としての面白さはもちろん、互いに何かを感じ合いながらも反目していた無法者と貧乏農夫が心を通わせる過程が感慨深い。そのうえ、父と子の話でも胸を打たれる。

反抗期の少年ウィリアム(ローガン・ラーマン)は、不甲斐ない父ダンを歯がゆく思っていて、まだまだ子どもと思われているのも気に入らず、どんどん父を嫌いになる。それで、父とは正反対のアウトローにあこがれていたりする。この年頃にはありがちなことだと思う。だけど、ダンの方は「反抗期だから嫌われている」では済まされない。彼は自分に自信がなかったので息子の反抗心に焦る。何とか父の尊厳を示したい(自分を誇りに思ってほしい)と命を賭けるのだ(涙)。
そういう父の姿に胸を打たれたが、息子の成長ぶりに気がついて息子を誇りに思う姿にも感動した。これぞ親の醍醐味だろうなぁ。

この映画のすごいところは、「男同士の心の通い合い」、「父と子の物語」に加えてまだあるところ!制限のない自由の恐ろしさと虚しさが描かれるとともに、宗教や良心に規制された自由の優越が描かれていたと思う。

●ネタバレ感想

ダンが撃たれたからとはいえ、ベンが手下をみんな撃ち殺したのに驚く。
ベンは自由なのだと思う。駅馬車強盗のとき、マッケルロイ(ピーター・フォンダ)を殺さなかったのは、マッケルロイに対して一目置いていたからだと思う。しかし、そのマッケルロイに母を悪し様に言われると、感情を爆発させて殺してしまう。ベンは聖書を引用したりするが、その教えには囚われず、人を生かすも殺すもその時の気分次第だ。
そんなベンに「お前の息子は目に力がある。あれくらいの時分の俺に似ている。」と言われ、ダンは「一緒にするな」と返す。だが、ウィリアムは父が嫌いでアウトローにちょっと憧れているのだ。あぶない、あぶない。

結局、ウィリアムは怒りにまかせてベンに銃口を向ける。ベンは(あの早撃ちのベンが!)動けない。ウィリアムを撃ちたくないのだ(涙)。ウィリアムは撃とうと思えば撃てたが銃を捨てた。ベンをして「俺に似ている」と言わしめたウィリアムだったが、ベンみたいにはならなかった。両親の教えが生きたのだと思う。
思えば、ダンも妻のことを思い出すと良心に従えたと言っていた。そうなると、誰かとそういう心のつながりを持ったことのなかったベンが可哀相だ。ベンにも誉めたり叱ったりする人がいてくれたらねぇ。緑の瞳のいい人が現れますように。

追記:忘れそうなので、やっぱり書いておこうっと。
この映画で好きなシーンは、冒頭、ベンが鳥をスケッチしていると、手下の一人が現れて鳥が逃げてしまうところ。ベンは鳥が逃げてガッカリなんだけど、あまり表情には表さない。ベンの人となり(大物感)や孤独、手下との微妙な関係(ボスは手下を理解しているが、手下はしていない)などが、さりげなく描かれていていいと思う。

あたご劇場 2010/1/26
 
[うえ↑]
   
サヨナライツカ
拝観、西島秀俊
監督:イ・ジェハン/韓国/2009年/134分

パスするつもりだったのを、西島秀俊が「僕の代表作です」なんて言っているものだから、ファンとしては「しょうがないなぁ〜」という感じで足を運んだ。
いや〜、西島秀俊、細い!あの柳腰を思わず抱き締めたくなった(笑)。奈良の東大寺戒壇院の四天王や新薬師寺の十二神将の腰のくびれも、ああいう感じで、両手でキュッとつかんでみたくなる感じだったのを思いだした。
ミポリンは幸せなのだろうか?表情が険しい。でも、横顔がとてもいい。儚げで幼く見えて、イザベル・アジャーニみたいだ。空港での別れ際、豊(西島)にすがるときの泣きそうな横顔など、あの表情だけで切なくなった。
豊の婚約者(石田ゆり子)は、旧家の正妻としてのプライドを持ち、感情を抑えて不利な行いをせず、詩を書く心を持ちながら恐ろしいまでに強い。強いのに優しくないのが致命的な気もするけど、沓子(中山美穂)の株を上げるための役どころだと思えば納得もいく。
タイでロケしたのだろうか。すりガラスの向こうの植物の緑や、宮殿(?)の向こうの芭蕉のような植物がきれいだった。

TOHOシネマズ高知1 2010/1/30
 
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