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ラブリーボーン
恨み憎しみより初キス
監督:ピーター・ジャクソン/アメリカ、イギリス、ニュージーランド/2009年/135分

スノードームが出てくる映画って結構あったように思う。タヴィアーニ兄弟監督の『サン・ロレンツォの夜』とか・・・・。他にも記憶していたのに忘れてしまった。映画の中のスノードームをコレクションしていればよかったなぁ。

スノードームは、それ一つで完璧な世界を作っていて美しい。この映画は、天国もきっとそんなところで、亡くなった人たちは(殺された人も)そこへ行くんだよ、だから、彼らを可哀相に思わないでねと言っているような気がする。天国へ行くまでの間は、この世とあの世の狭間から遺された人たちを見守っているということも描かれていて、このような概念は遺された者がよりよく生きるための知恵だと思うし、世界共通なのかもしれない。

新鮮だったのは、殺されたスージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)が、自分自身のためには犯人(スタンリー・トゥッチ)逮捕を必要としていないところだ。父(マーク・ウォルバーグ)が犯人捜しに躍起になっている。母(レイチェル・ワイズ)は耐えきれず子ども二人を置いて家を出た。家族崩壊の危機である。そんな様子を見ていたスージーは、父のため家族のために(気持ちを少しでも納めてもらいたくて)ミスター・ハーヴィーが犯人だと伝えようとしたように思う。彼女自身は犯人逮捕も遺体発見も、そんなことはどうでもいい世界にいるのだ。

更に新鮮だったのは、家族がスージーの死を乗り越えるために必要なものは、犯人逮捕などではないということが描かれていたことだ。これは私の考えに近くて嬉しい。私自身が遺族となったときを想像してみても、犯人逮捕や刑の執行などは失ったものの大きさに比べれば何の慰めにもならないと思う。そういう区切りによって気持ちに整理を付けようと試みるだけのような気がする。

若くして殺されたスージー・サーモン。怖かったろう、無念だろう、犯人が憎いだろう、というのは生きている者の想像だ。どうせ想像するならポジティブな方がいい。そうは思ってもなかなか出来ないのが人間だと思う。そこでヴィジョンが大事になると思うのだが、この映画はポジティブなヴィジョンを授けてくれた。これを活用・応用して身近な人の死を乗り越えることが出来たらどんなによいだろう。

ピーター・ジャクソンの演出力には恐れ入る。気分が悪くなるくらいドキドキしっぱなしだった。
おしまいのつららの場面は、祖母(スーザン・サランドン)のサイケな乗りとともに娯楽映画として正しいと思う(^_^)。

TOHOシネマズ高知4 2010/1/30
 
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