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■かるかん>ダレン・シャン|NINE
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ダレン・シャン
半分人間、半分吸血鬼ってずるいような
監督:ポール・ワイツ/アメリカ/2009年/109分

おもしろい!クレプスリー(ジョン・C・ライリー)、カッコいい!ロングコートがヒラ〜リ、う〜ん、たまらん!200年生きてるから言うことが渋いし、いいわ〜(はぁと)。
タイトルバックのアニメからしてつかみはオッケー。主人公ダレン・シャン(クリス・マッソグリア)のお葬式で始まるのも、かぶりつきポイントだった。蜘蛛も可愛いし。
ダレン・シャンは澄んだ瞳が美しく、無垢な少年そのもの。普通の少年が感じそうなことがちゃんと描かれていたと思う。一方、ダレンの元親友で敵となるスティーブ(ジョシュ・ハッチャーソン)は、父に死に別れ母は飲んだくれでかまってもらえず根性ねじ曲がり悪者になったというのは類型的すぎると思う。もうちょっと心の襞を丁寧に描いてほしかった。というのは、今後、ヴァンパイア(人から血をもらうけど殺さず共存)とヴァンパニーズ(人の血を吸い尽くす)の戦いになるみたいで、筋書きは見えたような気がして、そうなるとキャラクターが大事になるからして(ぶつぶつ)。
イマイチわからないのがミスター・タイニー(マイケル・セルヴェリス)の存在だ。ヴァンパイアとヴァンパニーズが戦争を起こすように仕向けたり、死んだヴァンパニーズを蘇らせたり。戦争観戦が趣味らしいけれど、もし、本当にそれだけの理由で戦争をさせるのなら興ざめだ。もっと強烈な動機がほしい。果たして、続編でどうなることやら。とりあえず面白かったから続編は観たいと思う。

それにしても、私の愛する吸血鬼ものはいずこへ?『トワイライト』で学んだから、吹き替え版しかないこの映画にエロスは期待してなかったけれど、近年の吸血鬼はよく戦うなぁ。ワタクシ、エロス、エロスと言っているけど、そうエロスに期待しているわけでもなくて、バイオレンス風味が苦手なのかも。戦うときの音響とかもイヤだし、血を吸うとき食い散らかす趣があるのもイヤ。それにそういう吸血鬼はあんまり怖くないし。
やっぱり、クリストファー・リーの『吸血鬼ドラキュラ』のように吸血鬼が怖くてカッコいいのが良いなぁ。あるいは『処女の生き血』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のように笑えるの。戦闘ものでもビル・ナイ様のようなカッコよくて色っぽい吸血鬼がお出ましになる『アンダーワールド』なら我慢できる。とにかく、横山裕くんを是非、吸血鬼に(嘆願&署名)!彼ならシリアスもコメディもいけそうだから、それぞれ1本お願い!(欲張り?)

TOHOシネマズ高知5 2010/3/20
 
[うえ↑]
   
NINE
イタリアーノになろう
監督:ロブ・マーシャル/アメリカ/2009年/118分

映画監督はつらいよ。というか、創作者はつらい。作品を生み出してこその創作者なのに、アイディアが全く浮かばないとなると、焦燥、逃避、絶望の間を堂々巡り。結局、自分自身を見つめ直し、再生するしかないのだということが描かれていたと思う。そして、主人公グイド(ダニエル・デイ・ルイス)が再出発するとき、いっしょにいるのは9才の頃の自分だったということだろうか。初心忘るべからずってことかな?
だけど、私にとってこの映画のお楽しみは、やはり俳優であり歌と踊りだった。

女、女、女の女好きで、妻を愛しながらも他の女性に走る伊達男グイドが、スランプの苦しさを隠さず、かすれる声で助けを求めるのは妻ルイザ(マリオン・コティヤール)なのだ。このしょうもない男を魅力的に体現したデイ・ルイスが素晴らしい!イタリア訛りの英語もいい。彼ってこんなに素敵な声だっけ?それにこんなに歌えるとは!
歌えるということで驚いたのは、グルービーな(?)ジャーナリスト役のケイト・ハドソン。踊りも思いっきり弾けていて、めちゃくちゃ気持ちよかった。
また、グイドの親友で衣装係リリー役のジュディ・デンチも語るような歌い方で聴かせたし魅せた。愛人カルラ役のペネロペ・クルスに至っては、その衣装でその振付は反則や〜というくらいの可愛さ色っぽさで、甘い歌声から始まってパンチの利いた歌声まで大いに盛り上げてくれた。
母親役ソフィア・ローレンはゴージャスな美貌で圧倒的な存在感があるし、グイドにとってミューズ的存在の女優クラウディア役のニコール・キッドマンも『ムーラン・ルージュ』のときより低い声で歌って意外性を発揮してくれた。
娼婦サラギーナ役のファーギーは本物の歌手だそうだが、この映画で最も大事なナンバーと思われる「ビー・イタリアーノ」を歌って迫力も情感もたっぷりだった。挑発的な群舞も圧巻。
そして、創作者の妻の寂しさを切々と歌うマリオン・コティヤールの美しさ。妻の哀しさに胸を打たれながらも、潤んだ瞳に見とれてしまう。また、「あなたはすべてを奪った。わたしは空っぽ。」と歌って夫と別れることを決意するナンバーでは胸が痛んだ。

抜群の演技力に歌唱力。それに花のある美貌と色気。天は俳優に二物も三物も与える。歌って踊れて演技もできる俳優がこんなにたくさんいるとなると、お茶屋が長年暖めている企画「ミュージカルだよ、全員集合!」は、いったい何時間の長編になることやら。あるいは何部かに分けて作らなければ。いずれにしても監督はロブ・マーシャルで決まりだろうか???

TOHOシネマズ高知3 2010/3/20
 
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