ホームへ
・映画情報→ ・上映中&予定 ・カレンダー ・グループ ・ピックアップ
・趣   味→ ・くりからもんもん ・鬼の対談 ・ベスト・キャラ ・かるかん
 
■かるかん>グリーン・ゾーン|ハート・ロッカー
[←もどる] [すすむ→]
   
グリーン・ゾーン
愛国映画
監督:ポール・グリーングラス/フランス、アメリカ、スペイン、イギリス/2010年/114分

画面は動くし、うるさい戦闘シーンは多いし、ほとんど寝てしまった(^_^;。でも、ほんの少ししか観てないのに感動したのだった。
それは、ミラーMET隊隊長(マット・デイモン)が、イラク人フレディ(ハリド・アブダラ)に向かって、彼の情報提供と協力に対して報奨金を出すよう取り計らうと言ったときだった。おとなしかったフレディは激高した。「金目当てと思っているのか!回りは皆、貧乏しているんだぞ!俺の国だ!善くしたい気持ちはお前らよりずっと強い!俺の国だぞ!」このイラク人の叫びに涙が出た(名演)。
このシーンを観て、アメリカ人がイラク人の愛国心をやっと認めたと思った。また、独裁者から解放し、イラクに民主主義をもたらすという言い分が、上から目線であることにアメリカ人自らが気づいたと思った。(←冷静で公正な判断力を持ち、どちらかというと人格者の部類に入るにもかかわらず、イラク人を対等に見ていなかったミラーがフレディの叫びに心を動かされる。その様子を小さなリアクションで表現したマット・デイモンがうまい。)
自国を思うミラーの台詞もよかった。大量破壊兵器が存在するという嘘を口実に戦争を始めたことを突きとめたミラーは「アメリカは信用を失う」と非難する。政府高官から入手した情報の裏を取らず、そのまま報道したマスコミについても批判した。
このように私が目を覚ましていた短い間でさえ、愛するからこそアメリカを批判するという作り手の意志が明確だったので、『グリーン・ゾーン』は骨のある映画だと思った。

TOHOシネマズ高知2 2010/5/15
 
[うえ↑]
   
ハート・ロッカー
直訳は疵物入れ
THE HURT LOCKER
監督:キャスリン・ビグロー/アメリカ/2008年/131分

スリルとサスペンスは一級品だと思う。それは手に汗握る爆弾処理の仕事に密着しているからというだけではない。何百メートルも彼方の見えない敵と対峙する主人公たちに、ジリジリするような緊張感を持続させられるのだから、戦場自体がスリルとサスペンスだらけなのだろう。しかも、このシーンは、しっくりいってなかったブラボー中隊の三人の関係が転換するシーンでもあって芸が細かい。チームプレーを無視するかのような勝手さが目立っていたジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が、サンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)にはジュースを先に飲ます気遣いを見せ、エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)には自信を持たせる言葉を掛けるのだ。
また、随時登場する人物がゲリラか民間人かわからない恐怖がよく描けていたと思う。
このように戦場での緊張感だけでなく、兵士同士の関係性や個々の兵士の内面も丹念に描かれていて面白く観たのだけれど、私には何だか物足りなかった。ベッカム少年が爆弾テロに利用されたとジェームズが思い込む当たりで嘘っぽさを感じ冷めてしまったし、それほど骨のある映画とも思えないし、ジェームズが戦場に帰るラストが弱いと思ってしまった。

戦場回帰的な心理を持った登場人物として思い浮かぶのは、『ジャーヘッド』で戦場にいる感覚が抜けきらなかった復員兵、『父親たちの星条旗』で軍隊にしか生き甲斐を見いだせなかったインディアン青年、『ディア・ハンター』で戦後ロシアンルーレットに復帰していたニックなど。彼らの心の傷が痛ましいがゆえ(壊された心ゆえ)に戦場(戦争)から離れられないことに納得がいく。
ジェームズの場合は、戦場に適応力があったということだと思う。彼は「戦場では何も考えない」とサンボーンに話していた。考えないというのは兵士にピッタシ。『フルメタルジャケット』では、考えず命令だけ聴くマシーンになるよう訓練していたくらいだ。スーパーマーケットでどのシリアルを選べばいいかと真っ青になる人も、戦場では命令に従うのが基本だから選択肢で悩む必要はあまりない。そのうえ彼は極限状態にあっても冷静で判断力もある。それで、平穏な日常よりもアドレナリンたっぷりの冒険好きだから戦争向きなのだ。だけど、レーサー、スタントマン、消防士などの職業もあるのだから、能力を発揮できる場として戦場を選ぶのは不幸だし、安易なような気がする。(戦争中毒になったようには見えなかったしなぁ。「戦争はドラッグだ。」という冒頭の言葉は印象深いけれど、なぜだか薄っぺらさを感じてしまう。戦争中毒の人のサンプル(情報)がもっとほしい。)

それにしても『グリーン・ゾーン』といい、『ハート・ロッカー』といい、無線付きヘルメットで交信していて「へぇ〜」という感じだった。戦争映画というと野営のイメージだったのが、毎日基地からご出勤だし、戦争のイメージが変わる。私たち戦争に反対し平和を望む者は、兵器や軍事についてもっと知るべきだと思う。知らないと変に想像して無用の恐怖を持ってしまい、その恐怖ゆえに変に攻撃的になるからだ。映画に出てくる武器や兵器の情報だけでは不十分だけど、今後もチェック項目としておこう。

今回最大のチェックポイントは、砂漠にベルベット・ボイスのレイフ・ファインズだ。登場の仕方からしてマニア(?)心をくすぐる。頭ぐるぐる巻で、誰だかわからんじゃーん(笑)。腕やら顔やら、ものすごい日焼け(メイク)で目だけが青く、気に入った!そして、あっけない最期(^o^)。『ストレンジ・デイズ』でファインズを主役に起用し、女性(アンジェラ・バセットだっけ?)に彼を守らせたたキャスリン・ビグロー監督、ファインズ様の取り扱い方を心得ていらっしゃいますねぇ!

TOHOシネマズ高知4 2010/5/15
ホームサイトマップサイト内検索リンク自由|byお茶屋(連絡先)