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クロッシング 生活がある |
監督:キム・テギュン/韓国/2008年/107分 |
う〜む、泣きどおしだった。私にとっては、それほど重くはなかった。むしろ後味が良く爽やかでさえある。それは、作り手がとてもやさしいからだと思う。 ●ネタバレ感想
ジュニ(シン・ミョンチョル)が自転車の荷台にミソン(チュ・ダヨン)を乗せて走るシーン。穏やかなひとときが、ミソンのために(私のためにも)、ありがたかった。 この映画はヨンスたちが炭坑で仕事し、その後シャワーを浴びるところから始まる。風呂あがりに着るシャツがボロボロで汚れているのに驚く。だけど、みんな屈託なくサッカーの話などして、労働の後のホッとした様子がうかがえる。貧しい食事の様子も描かれるが、子どもにたくさん食べさせようとする母もしっかり描かれている。「洋酒は二日酔いにならん」とか(笑)、ミソンの父(中国帰り)のセリフも可笑しく、家の中に物があふれ、ちょっと裕福な家はどんな様子かわかる。そのように生活の細かいところまで冒頭からよく描かれているので、どろんこサッカーのところで涙の防波堤が決壊した(早すぎ?)。つまり、ボロを着ていようが、芝のコートでなかろうが楽しみはある。「生きているんだ」ということだ。作り手は、このことを明確に意識して、エンドクレジットにおいても「生活」を描ききった。 作り手がこの映画を作ったのは、韓国でも日本と同様に想像力の乏しい人が少なからず存在するからではないだろうか。ヨンスについて「家族を残し亡命して自分だけ良い思いをしたいのだろう」と陰口を言う同僚(韓国人)が出てくる。そういう人たちは映画の外にも存在していて、北の国の独裁と貧しさを理由に暗いイメージしか持っていないのかもしれない。そういう人たちに向けて、暗いばかりではない(同じ人間で生きているという)ところを見てほしかったのではないかという気がする。もちろん、私のウルトラミラクル想像パワーを持ってしても、この映画のように具体的にイメージすることは出来なかったので、要するに知らない人向けってことかな。(やはり、かなりな取材をしたんでしょうね?)
その他のプチ感想 あたご劇場 2010/10/28 |
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