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■鬼の対談>地獄の黙示録 特別完全版(1)
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(お茶屋)(以下「お茶」)
おもしろかったね〜。

(うめちん)(以下「うめ」)
うん。3時間半があっという間やった。

(お茶)
はじめのヘリコプターが旋回するシーンの音響がよかった〜。マーティン・シーンのアップや炎がオーバーラップするシーンもきれいやし、ドアーズの歌がピッタシでつかみはオッケーやったで。


生い

(うめ)
ねえねえ、これを言うこと忘れられんと思いながら見たがやけど、やっぱり、生い(なまい)ね〜。今、CGとか使こうちゅう映画はいっぱいあるけど、生の迫力はすごかった。本当に生々しいと思うたで。『パール・ハーバー』は私は見てないけど、ワースト映画ながやろ?あれもCGを使こうちょったろ?

(お茶)
うん、『パール・ハーバー』は、真珠湾攻撃のシーンは圧巻やったけど、ビルとビルの間を戦闘機で追っかけするシーンがあって、それがいかにもコンピューターゲームいう感じで軽いというか、ちゃっちかったね。けど、真珠湾で船が沈むところとか、やっぱり迫力はあったで。そこは認めちゃらんと。まあ、迫力はあっても『地獄の黙示録』と比べるとね〜。『地獄の黙示録』は「生い」という言葉がピッタリやね。

(うめ)
うん、これからの映画はCGとか使うろうけど、そしたら生い映画はあんまりなくなるね。

(お茶)
ワルキューレの騎行のシーンの迫力、鳥肌立ったもん。爆撃する高揚感が伝わってきたで。「行けー」ってなもんで。地面がこんなに斜めになって迫ってくるろう。けど、それと同時にヴェトナム人側からの視点に切り替わって、殺される側からもちゃんと描いちゅうき、「やめてくれー」とも思うたね。殺す側と殺される側の両方を描いたところがコッポラのまじめなところというか偉いところやね。

(うめ)
ヴェトナムの子どもが出てきて、バックでは小さくヴェトナムの音楽が流れゆうし。ホント「頼む、やめてっーーー!」と思うた。



 
二つの顔を持つ男

(お茶)
マーティン・シーン、若かったねー。チャーリー・シーンよりエミリオ・エステベスよりカッコえいー!

(うめ)
マーティン・シーンの中に二つの顔があるでね。チャーリーとエミリオは、あんまり似いちゅうと思わんけど、マーティンの中には二人の顔がある!(笑)

(お茶)
ははは。そうそう!

(うめ)
それと、マーティン・シーンでもう一つ言いたいがは、多分、順撮りしたがじゃないかと思うけど、おしまいのカーツ大佐との対決シーンではシワがすごい深こうなっちょったで。苦悩したがやね。

(お茶)
ねえ、冒頭のウィラード大尉がホテルで待機しゆう場面よ、あそこで「この人、狂うちゅう」と思わんかった?

(うめ)
別に思わんかった。マーティン・シーンの中に二つ顔があるとか、そんなことばっかり思いよったき。

(お茶)
へー。私は「この人、狂うちゅう」と思うて見よったけど、もっと狂うちゅう人がいっぱい出てきてウィラードが普通に見えてきたで。

(うめ)
そうやね、キルゴア大佐らあ狂うちょったね(笑)。

(お茶)
うん、キルゴアだけじゃのーて、ウィラードが会う人会う人みんな狂うちゅうと思うた。普通の青年やったサーファー(ランス:サム・ボトムズ)もだんだん狂うてくるし。戦場では正気が保てんがやね。
それにしても、私はこの映画で笑えるとは思わんかったで。

(うめ)
笑える?



 
お笑い黙示録

(お茶)
キルゴア大佐のサーフィン狂ぶりは笑えたやん。他にも三つばあ笑えたシーンがあったで。

(うめ)
ああ、ああ(笑)。水のシーンやろ!「勇敢な兵士には俺の水を飲ます」ゆうて、こっちで呼ばれたらパッと振り返って、下ではヴェトナム人が「水ぅ〜、水ぅ〜」ゆうて手を伸ばしちゅうがやろ。ブラックなでねー。

(お茶)
そうそれ!まるでコントやん。笑ろうたらいかんと思うけど笑うでねー。
それと、ほら、ヘリコプターにぶらさがって。

(うめ)
うんうん。ズボンが脱げるが(笑)。

(お茶)
パンツもいっしょに(笑)。『地獄の黙示録』で笑えるとはね〜。

(うめ)
キルゴアを演じたロバート・デュバルはすごいで。後ろに爆弾が飛んできたシーンがあったろ?周りの兵士はビクッとなって身を伏せたりしゆうのに、ロバート・デュバルは平然としちゅうやん。普通、いくら大音響がすると事前に知っちょっても反射で自分の意思とは関係なしにビクンてなるやんか。それやのに、ロバート・デュバルは反射神経を殺してビクともせんかった。私はそれを見逃しませんでした(えっへん)。

(お茶)
お、それはすごい。
あ、でも、わかった。
それはね、ロバート・デュバルは耳栓しちょったがよえ!(笑)

(うめ)
うああ〜、そうか〜!
あ、でも音は聞こえんかっても爆風でビクンとなるろう?耳栓しちょったにしても、私の目のつけどころはよかったろ?

(お茶)
うん、よくがんばった、感動した(笑)。

それにしても、最初は狂うちゅうと思うたウィラードやけど、観客がだんだん彼と一体化していくように作られちゃーせん?カーツ大佐は殺人罪やき探し出して殺せという命令を「レース場でスピード違反を取り締まれ」というようなもんというのはうまいこと言うちゅうし。戦場を見よったら、ウィラードがカーツに傾倒して行くのも当然のように思うでね。

(うめ)
さっきの「水〜、水〜」にしてもそうやし、サーフィン狂のキルゴアといい、怪我をした子どもを助けてゆうて抱いてきたのをキルゴアが抱き取ったときは、どっかに投げつけるのかと思うてハラハラしたけどヘリへ乗せて助けちゃって。爆撃しちょいて病院へ運んで偽善ぽいというか。

(お茶)
そうそう。ヴェトナム人の乗るボートを止めて取り調べるときも、銃で撃つだけ撃って「まだ息があるき病院へ運ぶ」やと!
あれは私がウィラードの立場やっても撃ち殺すで。



 
カーツのようには、なれませぬ

(お茶)
ところで、ウィラードがカーツを殺したのに、現地人の人々はウィラードをカーツの仇としてやっつけんかったやんか。あれはどうしてと思う?

(うめ)
そりゃあ、歌舞伎の早代わりみたいなもんで、ウィラードがカーツになり代わったと思うたきやろ。

(お茶)
なるほど、そうやねー。歌舞伎かー(笑)。出てきたときは、カーツそっくりやったもんね。 その割にウィラードは、カーツの後を継がずに王国を去って行ったわけやけど、それはどうしてと思う?

(うめ)
う〜ん、フランス人の農園で女の人が言いよった「殺すあなたと愛するあなた。愛するあなたがいることを忘れないで」という言葉が、無意識に頭の隅のどっかに残っちょって、それが理由の全てじゃないけどウィラードがカーツみたいにならんかった理由にちょっとはなっちゅうと思うで。

(お茶)
なるほどー。

(うめ)
カーツが書いた「爆弾を投下して全てを殲滅せよ」ってどういうことやと思う?

(お茶)
やけっぱちというか、自暴自棄というか。そういう気分になったがやない?(あの赤い文字を見たときは、一瞬、カーツも狂うちゅうと思うたけど。) 戦場をああいうふうに見てきたら、誰でもどうしてこんなことしゆうがやろうかとか、何のために生きちゅうがやろとか、そういうことを思うようになるろ。生きちょってもしょうがないというか。

(うめ)
誰でもそんなことを考えれるとは思わんで。

(お茶)
う〜ん、そうかね〜。カーツみたいに哲学するようにならんかね〜?

(うめ)
みんな、そんなに強うないで。

(お茶)
う〜ん、そっか〜。



 
撫で撫で3部作

(うめ)
結局生き残ったのはウィラードとランスだけやったね。

(お茶)
うん、それもうまいこと作っちゅうと思うた。最初は、ごく普通の青年やったのが、だんだん正気でおれんなって、薬のおかげでヴェトナムを生き延びれたというか。実際、そういう人は多かったがやろ。

(うめ)
実際のことは知らんき、そういう見方はせんかったけど。そういう見方はあんまり好きじゃないし・・・・・・・。
ねえねえ、ランスなでなで3部作いうががあるがやけど(笑)。

(お茶)
えー、何?子犬やろ〜?子犬の他になでなでしよったっけ?

(うめ)
プレイメイトにお化粧してなでなでしよったろ、それから、最後に牛をなでなでしよった。

(お茶)
ひえ〜。牛をなでよったっけ?気がつかんかった!よう見ちゅうねえ!


  2002/03/30

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