ベスト・キャラクター>2013年の結果発表

2013年ベスト・キャラクター

左の画像は『ライフ・オブ・パイ』のリチャード・パーカー(トラ)と、空を舞っているのは鳥ではなくて『風立ちぬ』の二郎の夢の白い飛行機です。力不足で解説のいる画像になってしまいました(^_^;。

今年は12名の方から15のキャラクターに投票がありました。投票してくださった方、本当にありがとうございます。また、ツイッターなど、いろいろなところで宣伝してくださった方々にも感謝しております。ありがとうございました。
で、気になるベスト・キャラクターですが、なんと久々にそれぞれ1票ずつという結果になりました。・・・・・というわけで、2013年のベスト・キャラクターは、トラと飛行機のほか、投票をいただいた全キャラクターということになります。皆さん、おめでとうございます!(画像には、人間ではないものを選びました。)
それでは投票順にバラエティに富んだ愛しきキャラクターをご覧ください。

お名前 ヤマさん
キャラクター 決して自分から一線を越えようとはしない節度を守っていたジャン=ルイに、家庭も仕事も投げ打つだけの火を点けたマリア(ナタリア・ベルベケ)
『屋根裏部屋のマリアたち』
選んだ理由

外国映画女性部門は、

  • 自己決定権を侵害されることには強い反発を見せるはずの自我の強さを窺わせつつ、かような重責を自己決定権の名のもとに自分一人で負わなければならない苦しさに納得できていない様子がありありと窺えていたジュノ(エレン・ペイジ):『JUNO/ジュノ』
  • 産むと決めた義娘ジュノの通う産科の検査技師が常識的な思い込み発想で、養父母が決まっているだけで安心表明をすることに対して食って掛かっていた継母のブレン(アリソン・ジャネイ):『JUNO/ジュノ』
  • 偏見のない素朴な眼差しと自身の足元を常に観続けている安定感がその体形に宿っていたワンダ(キンガ・プライス):『ソハの地下水道』
  • 仕事としての介護はこなせても対人関係はうまく結べない気難しさを自認していたカレン(アネット・ベニング):『愛する人』
  • 明るく華やかな美貌に笑窪が愛くるしく、豊かな表情と豊満なバストに、引き締まった身体で弾けるように踊っていたシャンティプリヤ/サンディ(ディーピカー・パードゥコーン):『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』

と競り合っての選出です。

ジャン=ルイが三年のときを経て、遂に見つけ出したマリアの満面の笑みを映し出したラストショットが効きました。

お礼コメント マリアよかったですね〜。確かマリアは過去にも勤め先のご主人様と関係を持ってしまったことがあったんですよね。心のままに行動したことが痛い経験となっていたので、ジャン=ルイと一線を越えたとき、けっして後悔しないために何も言わず去って行ったのでしょうね。相手に何か期待して叶わないとき恨みがましくなるのは嫌ですもんね。心のままに行動して結果は我が身に引き受けるというのが本当の自由のような気がします。
この作品は他の登場人物も魅力的でした。ありがとうございました。
お名前 ヤマさん
キャラクター ふと口臭を気にした中年男の諏訪に「そりゃ少しはあるわよ、ほら、口を開けてハァーってして」と言って鼻を寄せていき、そのままキスとも言い難いような優しい被りつきを施していた由美(吉本多香美)
『皆月』('99)
選んだ理由

日本映画女性部門は、『かぐや姫の物語』のなよ竹のかぐや姫(声:朝倉あき)の扱いに迷いましたが、

  • 19歳のチェリーボーイ剛に忘れ得ぬファーストキスを残した全盲のシンガー真琴(大塚ちひろ):『パートナーズ』
  • 桐生に誘われるままにラブホに入りながら「魔が差したの、許して」と拒んでいた美樹(濱田のり子):『タブー 赫いためいき』('97)
  • 秀二の健闘ぶりに料金設定を1発五千円から勝手に八千円に釣り上げてやっていた陽子(常盤貴子):『CUT』

と競り合っての選出となりました。

諏訪の退職金を巻き上げようとの目論見から懐いたことを見抜いたアキラ(北村一輝)から、「入浴料と指名料でもこれだけあれば十分な身体だよな、脱げよ」と五万円を投げつけられ、その魂胆を諏訪に暴かれながら、キッチンで全裸の背中から尻にサラダオイルを垂らされつつ、後背立位で挿入される姿を晒しものにされても、アキラが去った後、自分に愛想をつかすことなく、いたわり、風呂場でオイルを洗い流しながら、無言で慰めてくれる"オッサン"(奥田瑛二)に救われ、惚れたということがしみじみ伝わってきました。「ごめんね・・・・オッサン」「そんなモテるなんて思ってないよ。女房にも逃げられたオッサンだよ」という何の構えも飾り立ても残されていない二人の対話が沁みてきました。

お礼コメント いぢらしい女の子でしたね。オッサンのことを「飼っていたウサギに似ているの」と言っていましたが、きっと温かくて抱っこしたとき心が落ち着くウサギだったのでしょう。
捨てられるかもという不安から迫ってくるオッサンを拒みきれない・・・というとき、オッサンが察して迫るのをやめ、ただ抱きしめてくれたときの涙もよかったし、オッサンも天晴れでした。しか〜し、ラストシーン、いくら大好きなオッサンを追いかけるためとは言え、車の中に札束を置いたまま、ロックもせずに走っていくとは!私は札束が気になって仕方がありませんでした(笑)。
お名前 ヤマさん
キャラクター 「チョンガーの俺からすれば、それだけでも羨ましいんだけどな」と、雄介が何かの拍子に耳に手を遣る仕草が父親そっくりだと言って労わっていた漁師仲間の竹次郎(鈴木ただし)
『月の下まで』
選んだ理由

日本映画男性部門は、

  • 愛人から灯油を浴びせかけられて難儀を蒙っていた富樫社長(西村雅彦):『草原の椅子』
  • 「やっぱりミっちゃんは面白い」と十年以上も連れ添った妻から言われていた馬締(松田龍平):『舟を編む』
  • 『陸軍』のラストシーンに言及して「泣けて泣けて仕方なかった。ああいう映画こそ俺は観たいんだ」と話すカレーライス好きの便利屋(濱田岳):『はじまりのみち』
  • 日米開戦前の御前会議で昭和天皇が明治天皇の御製を詠じたのだとフェラーズに披露した関屋宮内次官(夏八木勲):『終戦のエンペラー』
  • 寧に向かって「ここまで来て今さら降りるなんてことが出来るか!」と叫んで邁進していた秀吉(大泉洋):『清須会議』

と競り合っての選出です。

やはり拙日誌での言及を役者さん御本人から喜んでいただいたのが効きました(笑)。メールをもらって驚きましたが、ネット時代ならではですよね。

お礼コメント 主人公の勝雄を留置所まで迎えに来てくれた人ですね。いかにも漁師のおっさんという感じで、普段は軽口をたたき合ったり、本気でケンカしたりの間柄なのでしょうね。困ったときに助けてくれて、よく知っているからこそ、労りの言葉になるのでしょう。田舎のご近所づきあいでは普通にいる人かもしれませんが、通常「おばちゃん」に持っていかれるキャラクター。さらりと何気ない風が「おんちゃん」の持ち味でした(笑)。良いキャラ、良いシーンをありがとうございました。
お名前 ヤマさん
キャラクター 「撲滅すべきは敵ではなくて貧困で、中東に巨額の戦費を投じてきたものを食糧と医療と教育に投じれば、平和は訪れる。ペンは剣よりも強し、なのだ。」と『チャップリンの独裁者』と同じ演説を現代に再現させていたソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)
『ホワイトハウス・ダウン』
選んだ理由

意外にも最も激戦だったのが外国映画男性部門でした。

  • 部下トニーの無謀な命令違反の作戦行動に狼狽もせず、非難もせずに後方支援として窮地のリカバリーを果たしていた上司オドネル(ブライアン・クランストン):『アルゴ』
  • 我が身の酒の嘘はつけても、死人に口なしの恋人に濡れ衣を着せるような卑劣な嘘はつけなかったウィップ機長(デンゼル・ワシントン):『フライト』
  • 「俺のユダヤ人たちだぞ、俺のユダヤ人たちだぞ」と誇らしげにはしゃいでいたソハ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ):『ソハの地下水道』
  • どんなに足掻いたところで、最後には力のある白人たちのほうが勝つのだと、言い訳がましくジャンゴに弁明していた老執事スティーヴン(サミュエル・L・ジャクソン):『ジャンゴ 繋がれざる者』
  • ジャンゴに人としての誇りと自負を与えたDr.キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ):『ジャンゴ 繋がれざる者』
  • 「政治にも経済にも背を向けて、専ら人間探究に勤しんできた私には、君のことがよく分かる。私を裏切ることはあっても、私の残した言葉を君は裏切れない」とベンに言っていたオックスフォード伯エドワード(リス・エヴァンス):『もうひとりのシェイクスピア』
  • バカに鋏そのもののようなアンドリュー(デイン・デハーン):『クロニクル』
  • 4本のうち3本を20万ポンドで売り渡すはずだったものを2本割ってしまい、残り2本になっても、売り渡さない1本を"The Angels' Share"として取っておくというプライオリティを誤らなかったロビー(ポール・ブラニガン):『天使の分け前』

と競り合っての選出です。

かつては褒め言葉のニュアンスが強かった理想主義という言葉が、日本では今やすっかり貶めの意味さえ孕むようになるほど、現実主義が蔓延るようになってきているからこそ、70年前の演説を蘇らせてくれた大統領を選ぶことにしました。

お礼コメント ひえ〜、『ホワイトハウス・ダウン』の大統領!ノーベル平和賞を政治家に贈るのは止めましょうと思う今日この頃、ソイヤー大統領は例外にしてもイイですねぇ。感想を書いてないせいか忘れていました。思い出させてくれて本当にありがとう!しかも、激戦をしのいでのベスト・キャラ(拍手)。もっと思い出すためネタバレ・サイトを見てきましたが(笑)。志が立派なうえに茶目っ気もあるし。スニーカーに履き替えるところとか可愛くて笑えたし(^o^)。いや〜、良いキャラをありがとうございました。
お名前 ムーマさん
キャラクター 二郎の夢の白い飛行機
『風立ちぬ』
選んだ理由

キャラと言っていいのかどうか・・・でも、色々考えているうちに決められなくなっちゃって。

というのも、今回は「パリスの林檎」状態だったんです。 いつもみたいにスッキリ「人間以外」のキャラが浮かばなくて、なんと人間、それも女性ばかり3人の間で「どのヒトにしようかなあ・・・」

『オレンジと太陽』のマーガレット(エミリー・ワトソン)、『天国の門』のエラ(イザベル・ユペール)、もう1人はTVで再会した『鍵泥棒のメソッド』の香苗さん(広末涼子)。 それぞれ魅力的で、目移りして決められない・・・

ところがそこへ、なぜか白いヒコーキが飛んできたんですよね。 そしたら、即決で「あ、やっぱりこっちだわ〜」。全然迷わず決まっちゃった(^^)。

夢の中でカプローニに説明していた、あの二郎の飛行機は、真っ白で、エンジンもコクピットも(まだ決まってないから)ついてなくて・・・でも、二郎の追いかける夢の象徴、空への憧れそのものに見えました。 人間っぽさは全然無い(そもそもまだ機械ですらない?)のに、ある種の「キャラクター」として私が記憶してしまったのは、二郎という主人公の人格のエッセンス?を感じさせたからかもしれません。

お礼コメント 思ってもみなかったキャラクターですが、飛ぶものがお好きなムーマさんらしいような気がしています。キャラクターというと、つい個性という放射線を発する人やものを思い浮かべますが、ありのまま存在し、自然の中の風景のように感じられる個性というのもあるのですね。風とか、ひとひらの雪とか、主張をしないけれど、何かしら美しいと思えるもの。二郎の夢の白い飛行機は、私にはそんな風に思えました。
お名前 スーダラさん
キャラクター 主人公チャーリーを担当する国語教師(ポール・ラッド)
『ウォールフラワー』
選んだ理由

彼、あくまでプロフェッショナルなので、決してチャーリーのプライベートに立ち入るようなことはしないのですが、そのことでかえって、彼自身の過去とか、彼のチャーリーに対しての思いとかがジワジワと、グッと感じられて良いのでした。
胸がギュギュギュの青春映画には、こういう渋い脇役が不可欠です。

お礼コメント こちらでは上映されてないのです(とほほ)。 先生と言えば、ARATAが演じたねじり鉢巻に腹巻きの熱血先生に投票してくださったこともありましたね。
昨年DVDで観た『17歳の肖像』にも主人公に馬鹿にされていた先生が実は・・・・という深いキャラクターで、青春映画での先生って「渋い脇役」として良いポジションだと思います。
お名前 ガビーさん
キャラクター 馬締光也(松田龍平)
『舟を編む』
選んだ理由

一歩間違えば交流障害かと思われるようなオタク系の人物なのだが、ただ面白おかしくけったいな人物、奇矯な人物とするのではなく、学究的オタクとして抑制をきかせて描いたところに、人間としての品位も可愛らしさも醸し出されていた。(この演技が、「あまちゃん」でのスカウトマン役にそのまま受け継がれているのも『舟を編む』の影響力であり、松田龍平の"受けの演技"の魅力でもある。)

また、辞書編纂に要した15年の歳月を通して、潜在能力はありそうだがいかにも頼りなさそうだった馬締が、編集者としての自己を確立させていくビルディング・ストーリーとなっているところも素晴らしい。

何度でも観たくなる映画であり、近所に住んでいたらきっと面白いだろうなあと思わせる馬締クンだった。

お礼コメント チャーミングな素敵な人ですよね。頼りなさそうな馬締くんでしたが、一生を掛けてもいいと思える遣り甲斐のある仕事にめぐりあい、やり遂げようという意欲は頼もしかったです。優しいからかぐやさんのハートも見事射止めたし。そういえば、かぐやさんも大家さんも辞書編纂チームの補助的職員の方も、その他皆、いいキャラクターでした。どうもありがとうございました。
お名前 TAOさん
キャラクター ルーズベルト大統領(ビル・マーレイ)
『私が愛した大統領』
選んだ理由

ヒロイン(ローラ・リニー)との初デートのシーンでまず衝撃を受けました(笑)。
私生活は無節操で放埒、でも外交手腕はしたたか。「英国王のスピーチ」でおなじみの内気なジョージ6世を陰でさんざん威嚇しつつ、いざ対面すると「ドモリがなんだ、私なんか小児麻痺だ!」とエールを送り、うぶな英国王をしっかり籠絡する狸オヤジぶり。好きかと言われたらビミョーなのですが、とらえどころのない不気味さと器の大きさにしびれました。ちょっと忘れられないキャラです。

お礼コメント こちらでは上映されてないので未見なのですが、人間は凸凹のある多面体だと感じさせてくれるTAOさんの紹介を拝読して、ぜひ、会ってみたいキャラクターとなりました。映画だと「好きかと言われたらビミョー」な人にも安心して会えますね。しかも故人なのに(笑)。レンタルが始まったら借りてみます。
お名前 シューテツさん
キャラクター シズオ(堤真一)
『俺はまだ本気出してないだけ』
選んだ理由 毎回、この企画の選出は悩んでいるのですが、今回はアッサリと決まりました。
というか、この作品を観た時点で「今年のベストキャラはこの人で決定」と既に決めていました。
今頃ベストの発表時期で、この作品の世間的評価がどれ位なものかはよく分りませんが、私の中では"裏ベスト1"です(笑)
この映画のおかげで原作のコミックも読みましたが、どちらも気に入りました。
しかし、本当はこのシズオより共演の生瀬勝久や山田孝之の役柄の方が、より私に近いという点では気になったのですけどね。
私、整体士という職業をやっていて患者さんに「肩がこっているのにも関わらず、痛みを感じないという方が結構いますが、それは痛みを我慢し続けると神経が麻痺状態になり痛みを感じなくなるのです」って、よく言うのですが、これは身体の事だけでなく悲しみとか人間の喜怒哀楽の感情についても同じ事が言えると思います。
痛みを一々「痛い!!痛い!!」って騒がれると「少しは我慢しろよ!!」って、周りは鬱陶しいですが、それでもこのシズオの様に多少の勘違いはあっても、自分に嘘をつかない生き方の方が、やはり様々な事柄の答え(真実)に近づく様な気がします。
恐らくこの作品はシズオより、我慢し続けて何も言わない周りの人間の方を描きたかったのかも知れませんが、シズオの様な人間がそばに居ることにより、より本当の自分が見えてくるというという感じの描き方で、珍しく"好き"と言える作品でした。
お礼コメント 本気は出してないけど、本音は出していたシズオも心の中では焦りとか葛藤があったのですね。「カミ(神?)」を始め、十代から三十代のシズオたちが今後の身の振り方を侃々諤々やっているところへ、八才のシズオが通りかかって・・・・というシーンが特に面白かったです。自分を客体化できるからこそ、内面の焦りや葛藤を表には出さず飄々としていられるのでしょう。だけど、娘(橋本愛)のバイト先でバッタリは大ショックでしたよね。ショックを受けながらも怒らず「なぜ」と娘に訊ねたのは親の鑑といってイイかもしれません。裏ベスト作品のベスト・キャラ、ありがとうございました。
お名前 sikiさん
キャラクター 王のそっくりさんをスカウトした王の側近(リュ・スンリョン)
『王になった男』
選んだ理由 最初は替え玉に偉そーにしていたくせに
「替え玉のほーがホントの王だったらいいな」
と思うようになってしまった(かも知れない)ツンデレなキャラクター
替え玉は殺す とゆー王の命令をこっそり無視シテ逃がしてくれる
王が替え玉であるのは秘密なので
2人だけのトキと急に人が来たトキの慌てて上下関係を入れ替える場面は爆笑デシタ
お礼コメント 側近さん、きっと「替え玉のほーがホントの王だったらいいな」と思っていましたね!その方が自分も萎縮せずにすむので楽だし。それに側近さんは、よく歴史とかも勉強をしているので、徳のある君主の政治の道を理想として持っていたかもです。学も財もない単なる道化と思っていた替え玉に、その徳や仁があるのがわかってきて、尊敬の念すら覚えたように見えましたが、見え過ぎかな?(笑)。
お名前 坂井さん
キャラクター マイケル(ポール・ウォーカー)
『逃走車』
選んだ理由

彼が亡くなったからという訳でじゃなく、映画館で観た時に本気ではまってしまったので。ストーリーは、よくある巻き込まれ型のサスペンス。でも撮影は、すべて車載カメラのみという斬新な手法をとっているため主人公マイケルへの感情移入がハンパなかった。

マイケルは別れた妻を追いかけて南アフリカまで来た無責任でだらしない、ちんけな男。そんな彼が困難な状況に追い込まれる中、ひとつずつ正しい選択を重ね、最後には大きな事を成し遂げる。『運命など無い選択があるだけだ』という言葉があるけど、良いことも悪いこともすべては自分が行った選択の結果だという事実をマイケルが体現している気がする。

ネットなどでの評価は驚くほど低い。でも誰もやったことがない新しいことをやり、観客に今まで見たことが無い斬新な物を見せるという難しいことに挑戦し成功している。始めから終わりまで出ずっぱりで、俳優としても難しい役だと思うが、プロデューサーをやってまでこの作品への出演にこだわった彼の思いとか熱意がスクリーンから伝わってきた。彼の役者魂はいつまでも映画ファンの心に残るでしょう。

お礼コメント ネットでの評価が低いとはビックリ。90分弱、とても面白かったです!
マイケルには、ああするより他に選択肢はなかったような気がしますが(というのは、ああしないと殺されちゃうから)、彼の運命を決定的に良い方向へ変えた事件でしたね。出所してから妻とやり直すラスト・チャンスのはずなのに、心を入れ替えたと言いながら車の中にはウイスキーの小瓶が(笑)!悪者の携帯電話を車外に投げて、小瓶の酒をぶっかけて宣戦布告としたときに、彼の心は入れ替わったのだと思います。この事件がなければ、またお酒を始めたかもです;;;。これぞ災い転じて福と成す。再出発は、タクシー・ドライバーからでいかがでしょう?めちゃめちゃ運転が上手ですもんね!
お名前 ケイケイさん
キャラクター 変態仮面こと鈴木亮平
『変態仮面』
選んだ理由

とにかく見事な肉体美!筋骨隆々でもなく、細マッチョでもなく、まるでダビデ像のようなしなやかさです。正直内容の方は、映画とは言えませんが、とにかくこれ程邦画ヒーローとして輝いているキャラは、昨今観た記憶がありません。照れずに目いっぱい張り切って演じてくれた亮平くんを、選びたいと思います。清潔感を出すには、男性だって脱毛さ!(笑)。

お礼コメント こちらでは上映されてなくて観てないのですが、「ダビデ像のよう」とはいいですね!ワタクシ、ダビデ像の着せ替え人形を持っておりました。磁石製なので冷蔵庫に張り付けて、下着や洋服をつけてあげるのです〜。変態仮面も着せ替え磁石人形を発売してはいかがでしょう?この場合、仮面のみを付け替えるということになるのでしょうか?見ている方が恥ずかしいので、ケープもほしいところです(^_^;。
お名前 映画館主・Fさん
キャラクター ジェリー・レイン(ブラッド・ピット)
『ワールド・ウォーZ』
選んだ理由

毎年、このベストキャラでは映画に出てきた「ちょっとイイ奴」を取り上げてきたつもりですが、今年は正直適当な人材がいなかった。誰も知らない映画の誰も知らない役じゃあつまらないし。で、気を取り直して「昨年の一番オモロかった役」でもいいだろう・・・と、とりあげたのがこの作品のこの人。突然全世界的なゾンビ大発生に巻き込まれ、超人的な活躍で家族を守り抜いて助け出されたのは、元・国連職員として紛争国の調停役をしていたキャリアを買われてのこと。しかし世界秩序もなくなったのに、アメリカ〜韓国〜イスラエル〜イギリス・・・とジェームズ・ボンドも真っ青の世界を股にかけた活躍ぶり。おまけにゾンビが押し寄せる大パニックの中でも、感染〜発病までの時間を数えてる余裕すらある。さらには飛行機が墜落しても腹に金属が突き刺さっても、まんまと生き残っちゃうしぶとさ。ダイ・ハードな奴というより、この男の方がよっぽどゾンビより不死身ではないか。凶暴なはずのゾンビがやたら人間ピラミッドとか作りたがる「団体行動」型であることも含めて、大いに笑わせてもらった。

お礼コメント 確かに笑っちゃいました。映画自体、面白かったです。ツッコミどころ満載(^Q^)。こういうの好きです〜。
ジェリーって本当に何でもできるんですね。車の運転はもちろん、飛行機も操縦できる、「生き残るには行動すること」なんて名言もはけるし、動脈切断の大怪我も手当てできる。それに、パンケーキも焼けます。パンケーキは、ポイント高いですよぉ〜(笑)。人類を救うより家族が大事と、一度はゾンビ病の調査を断ってますから、完璧なマイホーム・パパ。時代が求めるヒーロー像って感じもしますね。ありがとうございました。
お名前 ケロさん
キャラクター リチャード・パーカー(トラ)
『ライフ・オブ・パイ』
選んだ理由

好きなところ

カーブでズデーン!てコケるところ
すっとぼけた顔
ミーアキャットの島から、日が暮れたら船に戻ってちょんまり座ってたところ
げっそり痩せてしまったところ
全くなつく様子はなく、
ラストに振り向かずにクールに去ってゆくところ

お礼コメント こうやってケロさんのお好きなところをあげてもらうと、リチャード・パーカーってなかなか魅力的なヤツだったのだなと思いました。「旅は道連れ」というようにリチャード・パーカーがいてくれたお陰でパイ君も退屈せずにというか、負けずにというか、生き延びることができたのでしょうね。振り向かずに去って行くところを思い出すと、「お疲れさん」という気持ちと名残惜しさが蘇ります。ありがとうございました。
お名前 お茶屋(管理人)
キャラクター リエ(安藤サクラ)
『かぞくのくに』
選んだ理由

『桃さんのしあわせ』のロジャー(アンディ・ラウ)とかなり迷いましたが、ラストシーンのリエの表情が忘れられず、こちらに決定!
北の国から一時帰国した兄(井浦新)が言うには、「俺と違ってお前はどこにでもいけるから好きなところへ行けよ」。兄の置かれた状況に憤懣やるかたないリエは、監視役にくってかかりますが「あなたの嫌いな国でお兄さんも私も生きている」と返されて二の句が継げません。個人の力では如何ともしがたい状況に、リエはごまめの歯ぎしり、アリの地団駄。北朝鮮に住む兄と日本に住むリエたちは、これっきり死ぬまで会えないかもしれません。どうしようもないけれど、リエにもできることがスーツケースを買って好きなところへ行くこと、兄の分まで生きること。自分の心に正直に真っ直ぐに生きてきたリエだからできる抵抗の表情が、今の日本人には必要なんだようぅぅぅ・・・という気持ちもあって選びました。

ダビデと変態仮面