『雨あがる』
観終わって晴れ晴れとした気持ちになる様な
作品に仕上がっていました。
役者がいいですね。寺尾聰は善人というだけではなく
剣の達人に見えたし、居合いのシーンは素晴らしかったです。
三船史郎は豪放磊落な殿様の存在感充分で
この役にピッタリだし、宮崎美子はりりしく、かつ、
夫を思い遣る気持ちが瞳にあふれていました。
三沢伊兵衛(寺尾)とたよ(宮崎)の
お互いを思いやる気持ちは、本当に清々しかったです。
パンフレットも充実していて、満足満足。
2000
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『アメリカン・ビューティ』
ごくごく平均的な中年サラリーマンである主人公が、
一目会ったその日から娘の同級生に欲情を抱き、
以後、発憤してシェイプアップはもちろんのこと、
生きたいように生きるのさとばかり仕事を辞めたり
するのを、面白おかしく描く一方で、幸せの青い鳥を
求めることの悲哀を痛烈に描いたブラック・コメディ。
アカデミー賞主要5部門受賞作品。
私は大変おもしろく観ました。
脚本がいいですね。冒頭に主人公の独白で、
彼は死ぬ運命であることが明かされますが、
誰が彼を殺したのか最後まで興味深々でした。
また、演出もすばらしい。天井からバラの花びらが
落ちてくるのをはじめ、
ビデオで撮影している人物と、
撮影したものが映るテレビモニターを
同じスクリーンにおさめたりなどなど(拍手)。
俳優は主演男優賞のケビン・スペイシーもいいけれど、
隣家の軍人を演じたクリス・クーパーには胸が痛みました。
登場人物の誰もが幸せの青い鳥(アメリカン・ビューティ)
を求めるけれど、それはわりあい型に嵌まった幸せです。
その中で、はじめ変質者かと思われた青年が、
独自の美を追求しており、
反社会的アルバイトをしているにもかかわらず、
脚本家&監督からエールを送られている存在に思えました。
(この映画の主人公のように、
数々の美しい思い出を抱えてあの世に行けたらいいですね。)
2000
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『アンブレイカブル』
いつでも皆は、不死身のヒーローを待ち望み、
「悪を懲らしめてくれ」と期待をかける。
健全な者にさえヒーローは必要なのだから、
生まれる前から骨折、生まれてからも
骨折に次ぐ骨折のガラスの大人
サミュエル・L・ジャクソンが、
列車事故でのたった一人の生き残り
ブルース・ウィリスにかける期待は、
尋常ならざるものがある。
もし、この映画をS・L・ジャクソン寄りに見ていたら、
「ヒーロー憧れもん映画」として辛く哀しく見れただろうな。
B・ウィリス側から見たら、
「みんな、僕はヒーローちゃいまんねん、
過大な期待はせんといてや。
けど、自分でも普通じゃないと思うときがあって、
不安でんねん。」とそれはそれで物悲しく見れただろうな。
どっちにころんでも面白い映画になっただろうに、
いかんせん、とろとろゆるゆるまったり演出で
眠気を誘われる残念な作品でありました。
2001/03/18
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『イグジステンズ』
イグジステンズとは、バイオ機器と人間をケーブル
で直結してプレイするバーチャルゲームの名前です。
主人公二人は、ゲームの中の妖しい世界で
ゲームと現実の区別がつかなくなります。
果たして彼らはゲームに勝てるのか?現実の世界に
戻れるのか?
クローネンバーグのエログロ哲学(?)ムービーです。
バイオ技術を駆使して作られたゲーム機器は、
エロチックな動きとグロテスクな内部構造が
クローネンバーグです〜(~.~)。
動物の骨でできた拳銃もすばらしい!
背中に穴を開けたり、穴にケーブルを挿し込んだり
このエログロぶりは、さすがクローネンバーグ。
また、このゲームは、プレイヤーにゲームの
キャラクターの性格をダウンロードするため、
プレイヤーの意志に反して体が動くところが
催眠術みたいでおもしろいです。
それとプレイヤー個人の性格や思惑が、ゲームの方向性に
影響を与えるという設定は、世界の人々の個々の思惑が
世の中の動きに影響を与えるという学説
(?シンクロニシティ)めいていておもしろいです。
しかし、お話が大変おしい!
これまでのクローネンバーグ作品の主人公は、
追いつめられて破滅していくところに魅力がありました。
だから、か弱いテッド・パイクル(ジュード・ロウ)が、
アレグラ・ゲラー(ジェニファー・ジェイソン・リー)に
気おされながら逃避行するところや、怖がるパイクルの
脊髄に穴を開けようとするところは、
「いいぞ、この調子」と思って観ていたのです。
ところが、結局は破滅の切なさは描かれておらず、
結末も予想ができる範囲におさまってしまいました。
もっと面白くできたのにと思うと、
ファンとしてはもどかしい出来上がりであります。
2000
こうすればよかった『イグジステンズ』
ご覧になってからお読みください。
ちょっとネタをばらしています。
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『ISORA 多重人格少女』
阪神淡路大震災直後、
東京からボランティア志願してやってきた謎の女性。
人の心が読めるがゆえに苦悩している
彼女の様子を描いた序盤は、
「いったいどうなるの?」とおもしろかったのですが、
終盤、連続殺人事件の真相がわかって、
「なんじゃこりゃ〜!」状態。
おしいです。
2000
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『狗神』
坂東真砂子の小説で、
唯一読んだことがあるのがこれ。
原作はおもしろくて一気に読みました。
映画の方は、結末など原作とちょっとちがいます。
高知の山奥で紙漉きをしている天海祐希が、
地元の中学校教師として赴任してきた
渡部篤郎と出会ったことによって、
村では怪異な事件が次々と起こり・・・・。
う〜ん、さほど怖くもなくエロチックでもなく、
虐げられた女の怨念が渦巻くでもなく、
健康的な映画に見えてしまいました。
映像がとてもきれいです。
それと、ちょっとレトロな土佐弁が
違和感がなくてよかったです。
土居せいじ役の人、かわいい〜(^q^)。
2001/02/17
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『インサイダー』
お話の前半は、
タバコ会社がひた隠しにしたニコチンの中毒性と、
ニコチンの吸収を高めるため発癌性物質を混入している
事実を内部告発すべきか否かで迷うワイガンド
(ラッセル・クロウ)を中心に、
後半は、
テレビ局上層部の命令により放送できなくなった、
その告発インタビューを何とかして放送しようと奮闘する
バーグマン(アル・パチーノ)を中心に展開します。
この内部告発は、数々のタバコ訴訟において原告に勝利を
もたらす契機となったもので、事実に基づいているそうです。
最初から最後まで途切れることのない緊張感。
じりじりと面白いので、スカッとした面白さを
期待する方々には敬遠されるかもしれませんが、
これは傑作です。
何と言っても信念を貫く男たちがカッコイイ!
このカッコよさの向こう側に、どれだけの犠牲があることか。
まったく、男はつらいよ。そして、カッコイイよ!
映像との相乗効果で作品の価値を高めたすばらしい音楽は、
ピーター・バーグとリサ・ジェラード。
硬派な男のカッコよさを表現するのにピッタリな映像
を司った撮影監督は、ダンテ・スピノッティ。
『ヒート』に続き緑掛かったブルーブラックが美しく、
毛穴まで鮮明に映し出す映像は、女優には酷だけど
男優はむちゃくちゃ引き立ちます!
監督は『ヒート』でもそうでしたが、
女嫌いの男好きが作品でバレバレのマイケル・マン。
そして、ラストシーンに痺れました=アル・パチーノは、
近年最高の演技であり、
ラッセル・クロウは正に主演男優賞もの!
アカデミー賞の作品賞も主演男優賞も
『インサイダー』にあげてほしかったです!
美術もいいよ〜。
2000
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『インビジブル』
生物を透明にすることも、元に戻すことにも
成功した天才科学者(ケビン・ベーコン)は、
ついに自らが実験台となり透明人間に!
〜〜〜うぇっぷ〜〜〜。
皆さん、ビニール袋のご用意を(笑)。
ポール・バーホーベン監督の刻印(エロエロ、
グログロ、バイオレンス)が、そこかしこに。
面白いです。入場料の元は取れます。
でも、刺激が強いので子供には見せたくないな〜。
2000
私も『インビジブル』になりたかったのに
ご覧になってからお読みください。
ちょっとネタをばらしています。
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『海の上のピアニスト』
大西洋を往来する豪華客船の中で生まれ、
一度も船から降りたことがない天才的なピアニスト、
ナインティーンハンドレッドの物語。
主演はティム・ロス、監督は『ニュー・シネマ・
パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ。
音楽はエンニオ・モリコーネで、今作は御本人も
会心の作品だそうです。
主人公がジャズ創始者の挑戦を受け、
演奏対決をする場面をはじめ、ピアノの演奏がらみ
(トランペットの演奏も)のシーンは見応えがあります。
また、主人公の孤独や繊細さには、何ともいえない
切なさを感じさせられました。
しかーし、ごめんなさい。先に謝っとこう。
私はこの監督のよく言えばわかりやすい、悪く言えば
わざとらしい演出が肌に合わないせいで物語に没入できず、
ひじょーに冷めた目で見てしまいました。
原題は「ナインティーンハンドレッドの伝説」というくらいだから、
つじつまの合わないところや現実味のない表現を
あくまでも物語として受けとめて寛大に
ならなければならないところ、どうしても
ツッコミを入れてしまうんです。
チネチッタで撮影されているので、クレジットの
最後の最後にチネチッタ印が出てきます。見てね!
2000
『海の上のピアニスト』へのツッコミ
ご覧になってからお読みください。
ちょっとネタをばらしています。
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『エクソシスト/ディレクターズカット版』
12才の少女にとり憑いた悪魔を祓うお話。
少女の形相や声が変り、卑猥な言葉を連発したり、
ベッドが揺れたり、悪魔憑きの様々な現象が呼び物。
私はテレビでしか見たことがなくて、
今回スクリーンで改めて観て印象に残ったことは、
リーガンが医者にかかり
検査に次ぐ検査を受けていたことです。
科学では究明できないことがあるんだと、
かなり念を押した作品だったのですね。
信仰が固いメルリ神父と、精神医学を学んでいるため
論理的思考から抜けきれず、迷いがある
カラス神父との対比もおもしろいし。
悪魔が科学を凌駕しているこんな映画を
大槻教授が観たら何て言うのかしら(笑)。
それから、大変静かな映画だったことにも
意外な感じがしました。
ディレクターズカット版ということで、冒頭の
(無駄とも思える意味不明の)イラクシーンを
大幅にカットするのかと思っていたら、
ダラダラと長いまま。
おまけに、
新しく挿入されたシーンやカットがあれでは、
ビックリしたけど笑えます・・・・。
2000
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『X−MEN』
そう遠くない未来では、超能力を有した
ミュータントがたくさん生まれ、
人間は彼らを異形の者として恐れ疎外しようとする。
そんな人間を攻撃するミュータントを阻止すべく、
X−MENというミュータント達が立ち上がる。
『X−MEN』はミュータント
同士の闘いを描いた娯楽作です。
う〜ん、気の抜けたサイダーのような映画であった。
面白くないことはないのだが、面白いこともないな〜。
それに「つづく」みたいな終わり方は、
続編を作るつもりなのが見え見えで、
続編を作ってもいいけれど、それならそうと
前もって言ってくれないと、
不完全燃焼で嫌ですね〜。
2000
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『エニイ・ギブン・サンデー』
アメリカン・フットボールで連敗中のチームが、
あらゆる逆境を乗り越えて
プレーオフに出場し勝利を目指すお話。
どん底から這い上がるという
スポ根映画の王道を行きながら、
ゲームを肉弾戦さながらに描いたり、人種問題や
金もうけ主義、個人のアイデンティティ
まで踏み込んで熱く激しいのは、
オリバー・ストーン監督ゆえでしょう。
アル・パチーノ、キャメロン・ディアス、デニス・
クェイド、ジェイムズ・ウッズ、
マシュー・モディン、チャールトン・ヘストン出演。
見応えがあるし、おもしろいです。
それなのに、初日の初回に2、30人は寂しい〜。
2000
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『エリン・ブロコビッチ』
ジュリア・ロバーツ演じるエリン・ブロコビッチは、
金も地位も学歴もないバツ2で3人の子持ちママ。
彼女がガッツとナイスバディとハートを武器に、
水質汚染をした大会社から莫大な賠償金を
勝ち取る、実話を基にした痛快なお話です。
やっぱり、ジュリア・ロバーツは
『ノッティングヒルの恋人』で演じた世界的映画スター
よりも、こちらの一見ハスッパ姉ちゃん、
実は心やさしく悩みもある普通(?)
の女性の方が断然はまり役。
お話は読めるし、ジュリアのファッション以外は
目のご馳走はあまりないけれど、
安心して楽しめる娯楽作だと思います。
2000
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『弟切草』
奥菜恵扮する奈美は、
父にも母にも先立たれたと思っていたら、
本当の父が亡くなったと知らせを受け、
遺産相続することになり、
元恋人とその屋敷を訪ねました。
その屋敷はおどろおどろしい幽霊屋敷で、
奈美に双子の妹がいたことがわかり、
秘密の部屋もあったのです・・・・・。
怖かったですぅ。
いいですよ、この不健康な雰囲気。
わたくし、映像的には、妙なカット割りがうるさくて、
テレビゲームのような色もあまり好きではありませんが、
この不健康さは買いですね。
それからインターネットや携帯電話を
ここまで使いこなした日本映画を
初めて見たような気がします。
2001/02/17
男の声がほしい『弟切草』
ご覧になってからお読みください。
ちょっとネタをばらしています。
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『溺れる魚』
懲戒免職寸前の刑事、椎名桔平と窪塚洋介は、
内偵捜査官の仲間由紀恵に
免職のかわりに内偵を命ぜられ、
伊武雅刀刑事に探りを入れます。
一方、「溺れる魚」から珍けな脅迫を受けた
大企業の重役達は、モー娘の歌振りを猛特訓。
あんまり意味のない映画ですが、
可笑しくて楽しめました。
みどころは窪塚君の女装をはじめ、
桔平のジョーかぶれ(笑)。
それと仲間由紀恵の美少女ぶりも魅力でした。
IZAM(そう、彼も出演してたの!)の
トラウマとなった事件と、
警視正の関係がよくわからなかったので、
原作で確かめたいと思ったりして。
でも、本を読む時間がないのよね〜。
2001/02/17
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『オール・アバウト・マイ・マザー』
さすが、アカデミー賞外国語映画賞受賞作品です。
マヌエラの「私の息子!」という叫びに
心を鷲づかみにされ、私は早くも涙々でした。
性転換して娼婦をしている元男性や同性愛者の女優、
未婚で子どもを産もうとする修道女などの、傷つき
涙し、共に生き抜いていく女性を描いた感動作。
また、男性も母親(女性)になれるというか、
辛いとき嬉しいときは女性のように泣きなさいと
言っているペドロ・アルモドバル監督の声が
聞えてくる作品でもあります。
とにもかくにもこの映画には
深い愛があるのであります。
2000
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