聖の青春

よかった。「聖だけの青春」だと思う。対戦場面は緊張感があるけれど、その他の場面は何やらほっこりとさせられた。
村山聖(松山ケンイチ)の人となりがイイのだと思う。野生というより自然な、子どもがそのまま大きくなった感じの人だ。他人を傷つけることなく自分の気持ちに正直に生きる。今この荒んだ世の中に暮らしていると、死を意識せざるを得ない差し迫った状況下でとことん将棋に打ち込んだ人が見せてくれる自然体は、イイもの見せてもらったなぁと思えた。
また、周りの大人が皆よかった。寛容。両親(北見敏之、竹下景子)も森師匠(リリー・フランキー)、橘先生(安田顕)、樋口(筒井道隆)たちも、荒崎(柄本時生)さんでさえ(笑)。
更に聖とライバル羽生善治(東出昌大)の化学反応もよし!『ラッシュ プライドと友情』もそうだったが、全く異なる二人が競技を介して結ばれている感じ。対戦シーン(猫と羽生の涙)、居酒屋のシーン(笑)、素晴らしかった。
個人的にツボだったのは、弟弟子(染谷将太)が対戦で鼻血を出すところ。その昔『王手』で加藤雅也演じる棋士が、やはり対戦で鼻血を出していたのだ。将棋って頭が沸騰するんだなぁ。
(2017/03/18 あたご劇場)

ラ・ラ・ランド

なんか美しいものを見た。夢の工場ハリウッドを舞台に至福のひとときをありがとう。きっと、いろんな作品へのオマージュが込められているのだろうけど、そこらへんは町山さんの解説を聴こうっと(笑)。今はもう1回、ラ・ラ・ランドへ行きたいなーという気持ち。

ライアン・ゴスリングって、イマイチ魅力を感じないんだけれど、セブがジャズの店を持ちたいと夢を語るとき、めっちゃカッコイイと思った。夢に向かっている人って魅力的なんだなぁ。
デイミアン・チャゼル監督は『セッション』の監督でもあるとか。よっぽどのジャズ好きなのね。『セッション』の鬼教官(J・K・シモンズ)が、『ラ・ラ・ランド』ではクラブのオーナーで、セブにジャズは御法度と言うところが楽屋落ちみたいだった(笑)。

エマ・ストーンが綺麗な踊りで、もっと踊ってほしかったなぁ。
(2017/03/02 TOHOシネマズ高知7)

破門 ふたりのヤクビョーガミ

気楽に見れて、そこそこ面白く満足。セリフが可笑しくってよいわ~(^_^)。
マカオのカジノへ行ったり(本当?)、瀬戸大橋を渡ったり、結構、見せてくれた。
省略が利いた展開が小気味よかったけれど、二宮(横山裕)が最後に決意するまでのフラッシュバックがモタモタしていた。それと横山君、演技にキレがないねぇ(心配)。今回はぼーっとした役だから何とかなったけど、次はシャープな役をやって安心させてほしい。
桑原(佐々木蔵之介)と二宮のバディ・ムービーだけど、あんまりコンビのよさは感じられなかった。それを補うかのような素晴らしい脇役陣。橋爪功、橋本マナミ、國村準、北川景子、キムラ緑子など(他の俳優さんも)、とてもよくって楽しさ倍増。そして、蔵之介さん、歌がうまい!もう一つ、ニンゲン、あそこまで目を剥くことができるんだね!
(2017/03/02 TOHOシネマズ高知5)

山河ノスタルジア

中国の現在、過去、未来を登場人物とスクリーンサイズで表現していて、とてもわかりやすかった。現中国(チャオ・タオ)は、古い中国(リャン・チントン)よりもグローバル化の波に乗って行け行けドンドンの中国(チャン・イー)を選択した。古い中国は病みつかれて死んでしまった。現中国は行け行けドンドン中国とどこまで行くのかと思いきや、決別したのがミソだと思う。決別したからこそ、現中国は少しずつ変わりながらも決して変わらないものを持ち続けることができる。作り手は行け行けドンドンから手を切るべきだと思っているのだろう。あっちこちほじくり返して開発しても、餃子は不滅だとも言っている。そして、ここがあなたの故郷だから、いつでも帰っていいと言われた華僑(ドン・ズージェン)の人々は、どんな気持ちでこの映画を見終えるのだろうか。

私の思う保守って、この作品のような感じだ。若い頃着ていたセーターが似合わなくなったのだろう、飼い犬の胴掛けに仕立て直していたのが象徴的だ。伝統や制度をそのまんま次世代に受け継ぐというのではなく、生活様式などの変化にあわせて制度も少しずつ変更していく。自然の景観は人の手を入れても残していきたい。景観は大事だと思う。故郷に帰ってきた人が、「帰ってきた」と思えるくらいの景観は守りたい。

最初と最後の歌「Go West」は、ペットショップ・ボーイズっぽいと思ったんだけど自信なし。東西冷戦がおわり、西へ西へとどこまでも。iphonなどの便利なものを享受できる時代、西へ来たことを否定的には捉えていないけれども、もっとゆるやかでよいのでは(あるいは、どこまで西へ行くのか)という作り手の思いが、最後の「Go West」に込められているように思った。

スケールが大きく、映像での表現が徹底されていて、ジャ・ジャンクー監督は『罪の手ざわり』に続いて波に乗ってるね。
(2017/02/03 あたご劇場)