ビートルジュース ビートルジュース

『ビートルジュース ビートルジュース』の感想を毛筆で書いた画像

ティム・バートンの玩具箱

やっぱり、ダニー・エルフマンの音楽はティム・バートン監督の作品で本領発揮だ(^o^)。もう最初からワクワクした。モニカ・ベルッチ♥が出てるの~!とクレジット見て喜んでたら、登場の仕方がむちゃくちゃ面白いし。ウィレム・デフォーも可笑しいけど真面目さがにじみ出ていて笑える。前作では子どもの役だったウィノナ・ライダーは母親役だけど、可憐さが残っていて良し。ギザギザ前髪がまだまだイケている。その娘の役のジェナ・オルテガは、クリスティーナ・リッチを彷彿させる容貌で吉♥。そして、大好きなマイケル・キートンのビートルジュースは出番は少ないものの、キレのある動きは健在。ああああ、字幕版で観たかった。

お話は、だまされてあの世に行った娘を助けるため、二度と会いたくなかったビートルジュースの助けを借りるというもの。リディア(ウィノナ)の夫はアマゾンで行方(死因)不明だったのだが、冥界で娘と三人遭うことができて、カフェコーナーで話しているときに夫の身体のあちらこちらのピラニアがピチピチしているのが可笑しい。リディアの父は飛行機の墜落では無事だったが、破片にしがみついて浮いていたところサメにガブッと。こういうシーンはアニメーションにしてくれて、リアルさがみじんもない作品なので安心して笑っていられた。「デューン 砂の惑星」(もしかして「エイリアン」も?)のパロディや、ホントのお迎えのソウルトレインなどなど、小ネタが満載。あの世があんな感じなら逝くのも悪くないかもね。
(2024/10/09 TOHOシネマズ高知2)

『梟』の感想を毛筆で書いた画像

三猿返上

ハラハラドキドキしっぱなしで面白かった!
韓国のテレビドラマを見たことがないので、朝鮮王朝になじみがなかったが、権力者というのはどこも似たり寄ったりだから、世子を暗殺したのが誰だがすぐに見当はつく。それでも、「清から帰国して間もなく七つの穴から血を流して死んだ」という文献から、このような話を思いつくなんてあったまイイね!

主人公の盲目の鍼医者は、自然の成り行きでこの暗殺事件に巻き込まれていく。恩人と言える世子が暗殺されたことを知っては、三猿を決め込むことは困難なのが人情というものだ。宮中の処世術として見ざる聞かざる言わざるは鉄則とも言えるのだけれど、心のままに(深く考えず)鉄則を破ったために自分の命まで危うくしてしまった。三猿返上は宮中でなくても、ものすごく勇気のいることだと思う。考え込んだら、なかなか出来ることではないだろう。
主人公が葛藤したのは、逃げるか、世子の幼い息子を助けに戻るかのときだった。戻ると自分も殺されるリスクがあり、そうなると病身の弟は郷里でひとりになってしまう。当然、主人公は戻って大ピンチになってしまう。そして、殺されるとわかっていても、誰が世子を殺したか皆の前で叫ぶのだ。

う~ん、そうきたかと私としては理解が及ばなかったのが4年後のエピローグだ。地域の鍼医者として大成している主人公は、王様の危篤に治療のため招かれるが、王様を暗殺してしまうのだ。恩人世子の復讐とも言えるけれど、放っておいても死ぬのに殺すの?気持ちワル~(^_^;。王だけが悪者ではなく権力の中枢にあった領正(だったっけ?)も込みで殺したとしても、また次の王と領正(だっけ?)が現れるよ。これが私刑というものか。せっかく三猿返上の雄叫びで、処刑人が彼を逃がしたことに感動したのに。あれこそ、少しだけ世の中を変えた実績であり、あそこで終わっていてもよかった。とはいえ、面白かった感想に変わりなし!でござる。
(2024/09/28 ゴトゴトシネマ メフィストフェレス)

ラストマイル

『ラストマイル』の感想を毛筆で書いた画像

目指せ
五方良し

爆弾のおかげでハラハラ、配送父子(火野正平、宇野祥平)のおかげでほろり、配送会社の中間管理職(阿部サダヲ)が電話で「社長に言っとけっ!」と怒鳴った相手が社長だったのに爆笑、エレナと孔(満島ひかり、岡田将生)も所詮は労働者なので何やら気の毒で、なかなか面白かった。

ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』のように日本だけでなく、労働者の働き損になるように社会のシステム(法律)が変えられて久しい。本作の背景はそういうことなので、近江商人の三法良し(売り手、買い手、世間に良し)に習った五方良しに思いが飛ぶ。五方良しとは、「従業員とその家族(売り手)」、「外注先・仕入先」、「顧客(買い手)」、「地域社会(世間)」、「株主」 の人を幸せにする経営のことで、坂本光司さんが提唱してきた。amazon 経営者は、ぜひ、目指してほしいと思う。立法府にも。

俳優では満島ひかりがよかった。赴任したばかりのときの無理している感がただよう痛々しさ、やがて有能だとわかってきた頃に、爆弾に触って大ピンチの表情。あるいは孔に「お客様のために」を説明するときの無言の裏読み、警察や取引先との一線の引き具合、おしまいの上司とのやりとりなど、微妙に態度を変えながらもエレナはエレナの魅力があった。

大ヒットということで登場人物のイラストのシールをもらった。宣伝がすごいからヒットして当然、しなければ悲惨だったろう。プロデューサー:新井順子、監督:塚原あゆ子、脚本:野木亜紀子は、テレビドラマ「MIU404」「アンナチュラル」にも関わっていたそうで、今や映画制作はテレビで実績を挙げてからというのが主流なんだろうか?少なくとも徒弟制のようだった昔のようなことはないのだろう。ともあれ、主要ポストを女性が占める日本映画がヒットするのはイイもんだ。
(2024/09/23 TOHOシネマズ高知1)

人を大切にする経営学会
発起人代表挨拶

(略)学会の主目的は、「人をトコトン大切にしている企業こそが、好不況にぶれず好業績」という先行研究の深化・体系化と、人を大切にする企業経営の普及にあります。(略)

坂本光司 法政大学大学院政策創造研究科教授・NPO法人オールしずおかベストコミュニテイ(障がい者の就労支援機関)理事長
(引用者注:現在の肩書きは異なっているかも)

夏目アラタの結婚

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俳優万歳

殺人の罪により一審で死刑判決を受けた品川真珠(黒島結菜)。被害者の息子が訪れた児童相談所の職員夏目アラタ(柳楽優弥)は、その少年の父の頭部をどこに隠したか聴き出すため、真珠との面会を重ねる。表情や言葉とは裏腹の駆け引きが続く心理サスペンスを楽しんでいたら、いつの間にか純愛ドラマとなっており見事に幕引き。
省略が利いてテンポがよい場面展開と主演俳優二人の魅力により、あっという間の2時間で、あとで振り返ると「???なんか辻褄が」と、わからないところがポツポツあるのに、観ている間はまったく気に掛からないパワーで押し切る作品だった。また、オープニングの俯瞰で撮影した様々なバッテン印が伏線になっており、クロージングのバッテン印で回収されるという痛快さも映画ファンの心をくすぐる。
柳楽くんは、元ヤンキーの公務員で、未だに所長に心配されている(少年ぽさが残る)アラタにぴったり。柳楽くん自身が温もりのある人のような気がするが、それも包容力のあるアラタになっていてよかった。
黒島さんは、真珠の善にも悪にもとれる危うい感じが、めちゃうま。終わってみれば、真珠は純粋な人というのにも納得感があり、純粋な人の危うさも感じられて今後も大丈夫かなと心配になるが、アラタとなら大丈夫だろう。めでたしめでたし。
(2024/09/14 TOHOシネマズ高知1)