2024年覚書(マイ・ベストテン)

日本映画19本、外国映画11本、かるかん率は76%でした。

毎年、媒体は問わず当年に初めて観た作品のうち「好み」を基準に選ぶベストテンの第1位は、『ドッグマン』です!いえ~い。『重力ピエロ』も第1位にしたいですが、動画配信で観たのでドッグマンの歌唱(エディット・ピアフ)にはちょっと適いませんでした。だけど、スクリーン以外の媒体でベストテンに入るのは快挙(?)です。どちらの作品も現実ではなかなか難しいけれど、そうだったらいいなあと思うようなところを描いてくれて気持ちよく、勇気づけられました。
第3位以下は同位で、観た順に『哀れなるものたち』『枯れ葉』『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』『ぼくのお日さま』『ブリング・ミンヨー・バック』です。

以下、かるかんを書いてない作品を挙げて終わります。
『アンゼルム』:素晴らしい!と思いながらウトウトしてしまった(ToT)。
『関心領域』:怖いという評判だったが、予想どおりでイマイチな感じでウトウト。
『かくしごと』:久々の安藤(正信)君(の役)がーーーー!怖いし可哀想だし。
『ルックバック』:背景などきれい。窮地を笑いに変えるのはよいと思ったが、好評に期待しすぎたかも。
『ブリング・ミンヨー・バック』:予告編から受けていた(^o^)。普段から民謡を歌っていたし、素人のくせにブギーとかロックとかジャズでも行けるんじゃないかと思っていた。ラテンかー!いいね!ラテンでも「ベサメムーチョ」とかあるから、追分もやってくれたらいいのに。あと、下駄をならして盆踊りしている地域があって(どこだっけ?)、アイルランドの足踊りに共通すると思ったので、アイルランドの人に是非見てもらって感想を聴きたいと思った。
『ドクターX ファイナル』:笑いあり涙あり。これでスケール感のある美しい絵があれば完璧だが、なくても素晴らしいファイナルで拍手。西田敏行さんは好きというわけではないにもかかわらず、見るたびに笑わせられオンリーワンの実力と魅力を兼ね備えた俳優さんだった。
『ツィゴイネルワイゼン』:怪談話。これが40年間観たかった作品かぁ。他人のものを無断で拝借するのは泥棒といっしょ(唖然)。しかし、死んだんならそんなものに執着せず、さっさと成仏するべし(南無阿弥陀仏)。


6月以降、テレビドラマ(動画配信)にはまってこんなに沢山見ました。笑いあり涙あり。感動作もあって時間泥棒(^o^)。

俺の家の話
タイガー&ドラゴン
ドクターX 第1シーズンから第7シーズンまで
ごめんね青春!
スイッチ
0.5の男
スペック
ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編
ゆとりですがなにか
アンナチュラル
MIU404
エルピス
ザ・トラベルナース
1122
カルテット
大豆田とわ子と3人の元夫


映画もいっぱい。岡田祭りのための再見もあります。

告白
ロブスター
フレンチアルプスで起きたこと
オー!ファーザー
悪人
ロスト・ケア
孤狼の血 Level2
ホノカアボーイ
天然コケッコー
潔く柔く
アントキノイノチ
僕の初恋をキミに捧ぐ
ストレイヤーズ・クロニクル
ひみつのアッコちゃん
ゆとりですがなにか インターナショナル
さんかく窓の外側は夜
日々是好日
ケイコ目を澄ませて
想いのこし
アヒルと鴨のコインロッカー
重力ピエロ

謹賀新年2025_書き初め

毛筆で書いた画像
巳を篆書と隷書で揮毫

穏やかな元日でした。

初詣初めて気づく上り坂   茶風(ちゃっぷ)

毎年、歩いて近くのお宮さんに行くのですが、なんか負荷がかかるなぁと思ったら上り坂でして、これも寄る年波でしょうか。

今年はチェキを買おうかな。外付けハードディスクが何の前触れもなく壊れ、写真やお絵かき画像がパーになりスッキリした感じではありますが、後で選んでアルバム化しようと思っていたことでもあり、懲りたのでチェキってみようかと思います。

映画は昨年は30本くらい観たかなぁ。ベストワン・ツーはもう決まっています。
TOHOシネマズは観たくない作品が多いし、観たいと思っていても吹き替えだけになったり時間割が合わないし。町山さんが傑作と言っていたイーストウッド監督の『陪審員2番』は有料配信のみだそうで、大人が観たい作品は費用対効果の関係で制作されにくく、映画館での上映は叶わない状況になっているそうです。あたご劇場は当分休館だし、無料の動画配信(テレビドラマ)を観ることになるのかな。おっとキネマMや自主上映もあるか。

ともあれ、激動の世を生き延びて少しでもよくなるよう、念じる念じる念じる。・・・・行動せよってことですが(^_^;。まあ、まずは念じましょう!

毛筆で書いた画像 福を篆書で
くるくる、こいこい

本心

『本心』の感想を毛筆で書いた画像

問題山積

母(田中裕子)の本心を知りたくて、生前の情報をインプットしたAI(アーティフィシャルインテリジェンス:人工知能)とVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)を一体化した仮想母の制作を注文した息子(池松壮亮)の話。たいへん面白かった。母子ものとしても感動した。

●ずばりAI問題。
●自死の制度化。
●言葉のすり替え。
●もはや階級となった感のある貧富の格差。

他にも労働問題など気になる問題が映画のそこかしこに散らばっていて、現世の鏡のようだった。そのうえ、大雨に濁流やお金持ちの家とそうでもない者の家など映画として見所(美術?)が手堅く、さすが石井裕也監督と思った。

仮想母に本心を聴けたとしても「本当のような本心」の域を出ないのに、そんなので物語になるのかなぁと否定的な気持ちで見に行った。そしたら、冒頭で「AIに心はない」と言われて「ですよね」と思った(笑)。
見終わってみると仮想母は、宗教か占いか、あるいは小説みたいな気がする。小説などはフィクションであっても本当らしいものが描ける。仮想母も本人でなくても本当らしいし、本心に近いことを言っているかもしれない。「本当らしい本心」で十分なのだと思う。でも、その本心に近いものが、息子に悪影響を及ぼすようなものなら、やっぱりAIだから「本当の本心」じゃないと肝に銘じて信じない方がよい。宗教や占いは人を生かすためのものでなくてはならないと私は思っているが、仮想母の受け止め方もそれと同様に良い母なら信じ、悪い母なら信じなくていいだろう。

本作とは関係ないが、AIで問題なのは学習過程がわからないことではないだろうか。それは人間のコントロールが利かないということなんじゃ(^_^;、とゾッとしたことだった(まあ、人間だって学習過程は未だ解明されてないと思うが)。肉体がないから恐るるに足らずと思ったこともあったが、イアゴーやレクター博士の例もあり、言葉だけで人はたやすくAIに操られるだろう。『ターミネーター』ではスカイネット(AI)と人類の戦いということになっていたが、AIを介して人間同士が戦うことになるかもしれない。そうなると、現在とあまり変わらない状況なので、ゾッとすることもないような気がしてきた。

自死の制度化については本作でも語られていたとおりだ。経済的な状況や心身の健康面への支援があれば自死を選択することはかなり減るんじゃないかと思う。支援もないまま制度化(優遇措置)するとかえって自死を選択する人が増えるおそれがある(仮に支援があったとしても制度化は問題だと思うけど)。本作の母が自死を選んだ理由はハッキリとは描かれていないが、認知機能の衰えの自覚があって、今後、息子に負担を掛けたくない、自死を選べば優遇措置で息子の住むところは保証されると考えてのことだったのだろうか???疲れたような生きる気力に乏しい母の姿が気に掛かる。

そもそも制度化された自死のことを「自由死」と言っていることが問題だ。選択肢がほとんどなくて追い詰められた自死も当人が選んだという錯覚を起こさせる。(余談だが近年、気になっている言葉のすり替えは「世話」を「迷惑」ということだ。保険か何かのCMで高齢者が「子どもの『迷惑』にならないように」と言っていたのを始め、テレビでよく聞く。そこは「子どもの『世話』にならないように」でしょう。老いたり生まれたばかりだったり病気や怪我などなど人様の世話になったり・したりは人間社会では避けられないことで、「お互いさま」とか「情けは人のためならず」とか言っていたのに。この言葉のすり替えは、無用な自己責任論が浸透したせいだろうか?)

貧富の差は歴然。富める者が必ずしも幸せではなさそうなのは良しとして(?)、貧しい者の間でも(でこそと言うべきか)序列つけが激しい。本作で描かれた世界は、偉大なる兄弟の姿は見えないけれど「1984」みたいなデストピアではなかろうか。そんな世界で仮想母と息子が最後に交わした会話は、夢のように美しく感動的だ。これが本当だ、真実だと思っていいのではないだろうか。

【追記】
主人公の高校時代の同窓生にそっくりな女性で、母と親しかった三好さん(三吉彩花)について。
ラストカットで主人公の手に触れそうな手が現れる。三好さんの手だと思う。触れる、触れられることに恐怖を感じる三好さんが主人公の手に触れようとしていると思った。仮想現実ではできないことだ。主人公は仮想母と別れ、三好さんと支え合いながら生きていくのではないか。宗教や占い、小説のようなものを経て生きていくのだと思う。
(2024/12/22 キネマM)

アングリースクワッド

『アングリースクワッド』の感想を毛筆で書いた画像

桁が違う

気軽に楽しめて面白かった(^_^)。
上田慎一郎監督は『カメラを止めるな!』でゾンビ物として楽しませてくれただけでなく、父と娘の愛情物として感動させてくれた人で、本作でもコンゲームの楽しさだけでなくファミリードラマとしても感動させようとする作りになっている。感動とまではいかなかったが方向性としては好むところだ。ただし、事なかれ主義である税務署員の熊沢(内野聖陽)が、「怒りのチーム」を組むというか参加するというか、そうなる原動力になるはずの、脱税王で税務署まで牛耳っている橘(小澤征悦)にいたぶられるのせいで亡くなった同僚の名前を尋ねる場面で、全く共感できなかった。この場面で私も熊沢といっしょに「腹立つわーーーー!」と思えなかったのは、役者か演出に問題があるのか、若しくは私の感覚の鈍磨か。浅野内匠頭が吉良上野介にいたぶられる場面では「ムカつくわー!」と思えると思うのだが・・・・、自信はない。

それよりなにより真矢ミキが、めっちゃカッコいい!!!!前に何かの映画で踊ってくれたときもカッコよくて萌えたが、本作でも天才詐欺師氷室(岡田将生)に資金提供する893なマダム(?)ばかりか、詐欺一味として弁護士まで演じており、怖マダムと堅気弁護士の両方がカッコいいのだ。真矢ミキ主演でミュージカル版『グロリア』か七変化ものを観たい!弁天小僧菊之助もいいなあ。

映画とは無関係だが、東日本大震災のとき“個人”で“百億円”の寄付をした企業家がいて、累進税の税率を甘くすると(?)ここまでになるのかと驚いたことだったが、橘が10億円の脱税で日本国内に資金があるんだと思うと小物やと思ってしまった。小物でも脱税する者は税金泥棒。映画の結末にはスッキリだ(^_^)。
(2024/12/14 あたご劇場)