殺し屋のプロット

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『殺し屋のプロット』
終活浪漫

マイケル爺や(キートン)、かっちょ良かった(^o^)!
画面をぐっと暗くして、これがフィルムノワールというものだろうか?また、機知に富んだ台詞にくすりとしたり、父子の場面にぐっときたり。サスペンス度は低いけれど渋くて浪漫もある。アル・パチーノのあのラストは『○○○○○○○○○』やんか!とパチーノ・リスペクト感もあり、マイケル爺や監督、ほんまに良い仕事をしてくれた。

原題は「KNOX GOES AWAY」。死ぬわけではないのに、ヤコブ病系の認知症が死のメタファーになっている。死ぬに際して、ノックス(マイケル・キートン)のようにスッキリと終いをつけられたら、どれほど良いだろうと思う。はなればなれになった家族にも世話になった娼婦にも悪くは思われない最後。めでたいことである。
博士号を二つも持つノックスが、なぜ、殺し屋になったのか。陸軍の偵察部隊にいたせいで、『ディア・ハンター』でクリストファー・ウォーケンが演じたニックと同様に、暴力界隈に身を置くことでしか生きられなくなったのだろうか。殺し屋になったため愛する家族とはなればなれになったわけだが、その距離は必要なものだったのかもしれない。
(2026/01/17 あたご劇場)

羅小黒戦記2ぼくらが望む未来

毛筆で書いた画像『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』
動体視力

中国で大ヒット、主人公かわいい、とのことで観たかった作品。「1」を見逃していたが、続き物ではないとのことで行ってきた。ほのぼのしたアニメという予想に反して、ハードなアクションの連続に、これはトム・クルーズも真っ青の「ミッション:インポッシブル」か、あるいは、フォースとともにあれの「スター・ウォーズ」か、といった感じで動きの速さに付いて行けなかった。お話は、弟子の成長記でもある「ベスト・キッド」か!?と思いきや、妖精と人間の「戦記」だったとは。戦う必要があるのかよくわからず、アクションを見せるための戦いなのかしらと思ったり、執行人って何?・・・と思った。

アメリカナイズされている感じは否めないが(その割に敵となる人間側が英語を話す)、ラストで悪者を退治(殺)したりしないのが、すごくよかった。また、魅力的なキャラクターがいっぱいで人気があるのもうなずけた。
(2026/01/04 TOHOシネマズ高知3)

TOKYOタクシー

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「TOKYOタクシー
遺したいもの」

山田洋次監督は、俳優を魅力的に見せてくれる。木村拓哉はあまり好きではないのだが、この作品も『武士の一分』もよかった。彼の硬派な一面が生かされていたと思う。

思わず落涙したのは、タクシー内ですみれさん(倍賞千恵子)がすみれさん(蒼井優)と手をつなぐところだ。若かりし頃のすみれさん側に立って観ていた私でさえも、あの熱湯じょじょじょ事件には若干引いてしまったのだが(すごいリアルやった)、裁判所のすみれさんには「それでよし」と思っていたし、子どもに先立たれて十分痛い目を見た人だし、罪も含めて人を肯定的に描いているところに感動した。

すみれさんは一期一会のタクシー運転士(木村拓哉)に遺産を遺したが、映画としては観客に町と人の歴史を遺したかったのかなと思った。原作映画があるというので『パリタクシー』も動画配信で観てみた。ほぼ原作どおりだったことがわかった。『TOKYOタクシー』では運転士がお金の必要な理由が始めに明かされていたが、『パリタクシー』は最後まで伏せられていた。『TOKYOタクシー』は最初からネタが割れている感じだ。でも、それで家族を取り巻く社会の状況がより鮮明になっている。『パリタクシー』の方は運転士の不安やいらだちがマダムとの出会いでやわらいだことが強調されていて、町の歴史よりも一期一会の交流に重きが置かれている感じがした。
(2025/11/30 TOHOシネマズ高知5)

宝島

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宝島 HERO'S ISLAND
翻る

久々に直情径行の雄叫び映画を観たような気がする。声を大にすると煙たがられる風潮の中、このような映画を作るのは勇気が要ったのではないだろうか。コザの暴動シーンは圧巻で(素晴らしい)、そこへ行くまでの熱量もなかなかのものだった。今に続く本土市民の無関心と政府の沖縄への仕打ちだけでなく、闘いに武器を持つか不屈の精神で言葉を尽くすかという普遍的な問題までも描き、3時間の上映時間に倦むところはなく堂々たる力作だった。ところどころよくわからないところがあったが(むにゃむにゃ)。

武器を持たないと話にならないというレイ(窪田正孝)に対して挫けず話し合うべきだというグスク(妻夫木聡)。そのグスクが次の瞬間には武器を手にしてしまう。そうなのだ。非戦とか戦争反対とか言っている平和主義者も、不安になる情報には防衛本能が働いて考えるより先に戦争に突っ込んでいくだろう。本能、反射、感情のやっかいさについて、最近よく考えていたのでグスクの言行不一致は、よくぞ描いてくれました状態だった。

オン(永山瑛太)は亡くなっているんじゃないかと思いつつも、どでかいことをやってくれ!という期待もあった。だから、基地内の出来事がわかってみると、ちょっとがっかり。でも、ちょっと待ってプレイバック。がっかりするのは間違っている。人一人の命を救うって大変なことだ。確かにヒーローだ。ただし、せっかく救ったその命が奪われるとは、虚しいぜよ。

危惧していたのは、沖縄の苦境を描くと「沖縄県民vs本土人(本土の人)」となってしまいがちなことだ。残念ながら、本作もそこから脱却できていないと思う。沖縄、被爆者、水俣病などなど、困ったときは少数派。多数派の市民が無関心でいるうち、お鉢が回ってくるというところまで描いた映画「日本国市民vs政府(その背後)」(深作欣二的監督作)を観てみたい。

美術の師匠のおすすめにより、動画配信で観た沖縄が舞台のドラマ「フェンス」(5話完結)がめっぽう面白かった。レイプものだからムカつくところもあるが、コメディエンヌ松岡茉優の空手アクションも爽快にフィクションはこうでなくっちゃという結末だった。
(2025/09/28 TOHOシネマズ高知1)