走る走る走る!イーサン・ハント(トム・クルーズ)、いつもより多めに走っておりまぁす(^Q^)。空港ターミナルの屋上を走っているのを建物の内部から前景の人物越しに(ピントはあくまで前景の人物)捉えたカット。カットが切り替わり、カーブした屋上の通路(?)を走って行くイーサン。これこそ映画館の大画面で見るべきシーンだ。また空飛ぶジェット機(の外側)に乗るのじゃあるまいね、と思わせるところもイイネ(笑)。
話はさっぱりわからない。登場人物の長セリフでわかったような気にもなるが、やっぱり「???」。それはこのシリーズのお約束のような気もする。
カーチェイスは眠くなる奇癖を持つ私でもとても楽しかったチョロQ(?)の加速。テレビゲームはマリオカートしかやったことなくて、いつもダッシュキノコを選んでいたのを思い出した。
圧巻はやはり汽車!マジで橋を爆破して落としたの???それだけじゃ終わらない客車の落下作戦に見事に嵌まって手に汗握った。予告編で使われている「崖からジャンプ」だけじゃなく、観てみてビックリの連続で満腹だ。毎回アイディアがよく浮ぶことだと感心する。Part Twoもきっと全力疾走なんだろうなぁ。
(2023/08/14 TOHOシネマズ高知8 吹き替え版)
カテゴリー: 映画の感想
バービー
バービー人形がモノリスのように登場する冒頭から可笑しくて可笑しくて。すごく面白かった。自由で風刺が効いていて、あくまでも軽やかに言いたいことを言う姿勢。脚本、監督は、グレタ・ガーウィグ。『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』も脚本と監督だ。これは名前を覚えねば(覚えにくいけど)。
マテル社のCEOたちが現実世界からバービーランドに向かって行くシーンさえも可笑しくて可笑しくて。そして、CEOの決断は、ソロバンをはじいて儲かるなら何でもOKってこともさらり(笑)。オープニングのロゴによるとマテル社も制作又は配給に一枚噛んでいることを思い出すと更に笑える。
バービーランドは女社会、現実世界は男社会ってことで、女社会ではケンが自分らしさを発揮しにくく、男社会ではバービーは生きにくくという、性別の役割固定(ジェンダー)問題でこれだけ笑わせられるとは爽快だ。けっきょく、ジェンダー問題だけでない、個人が本当に自分らしく生きられるように、自分のことは自分で決められるように、選択肢があるように、という自由さを是とする作り手の意志を感じる。そのうえで、困難はあるけれどモノともせずに生きようということを「ふわり」と描いているようだ。要するに「くるしいこともあるだろさ、かなしいこともあるだろさ、だけど、ぼくらはくじけない」というひょっこりひょうたん島の歌にそっくりな映画だ。
(2023/08/13 TOHOシネマズ高知3 吹き替え版)
君たちはどう生きるか
????なんじゃこりゃな面白さ。
火災(空襲?)シーンの圧倒的なアニメーション力は、前作『風立ちぬ』の地震のシーンを思い出したし、インコの王様はなんかポルコ・ロッソの風格を感じさせられたし、わらわら出てくる小さい生き物は『もののけ姫』のこだまか『となりのトトロ』のまっくろくろすけか。いろんなところにこれまでの宮崎駿作品を彷彿させるものがあって、それも面白かった。
のっけから主人公のお母さんは死ぬし、お母さんが遺した「君たちはどう生きるか」は、宮崎監督が私たちに「読むべし」と言っているよう。あのご先祖様も(何かよくわからなかったが)継承したいものがあったのだろうな。塔の崩壊は宮崎監督自身の時があまり残されていないという意識の表れのような気がする。
あの不思議な塔は眞人の母方の家系の塔で、あそこだけ時が止まっているのかな?時の交差点ともいえる。眞人は塔を継ぐ意志がなく、塔の崩壊によって生まれ変わりの元がなくなったので、あのりっぱなお家は断絶ってことかな?それでも眞人は意思の力で自分自身の人生を生き抜くのだと思う。
眞人の意思の力はすごいと思う。石(意志)で自分の頭を傷つけるなんて。それにご先祖から塔を継いでほしいと言われてもあんなにハッキリ断るとは。意志というのは行動と分かちがたいものだと知らされた。まったく行動力がない私自身の意志薄弱も思い知らされた。
(2023/07/18 TOHOシネマズ高知)
パール Pearl
オープニングで4、50年代のハリウッド風じゃーんと嬉しくなって笑いが止まらなかったけれど、フォークを振りかぶってぇ~;;;;、最初から~(゚Д゚)。見るからに作り物のアヒルでホッとしたものの、ワニが近寄ってくるだけで「うげげげげ」となるくらいだから、その後もちょっと恐かったが、観て良かった。
お母さんは、もう少しパールを自由にさせてあげたらよかったのにと思うけれど、家事だけでなく夫の介護にお金の心配、それにその頃のアメリカの敵国であるドイツ系であることから肩身の狭さもあり、そのうえ変に誇り高くせっかくの人の好意を施しのように感じてしまう性格もありで、もう全然心に余裕がなかったんだろうなぁ。
パールもお母さんの言いつけどおり家畜の世話を引き受けて、お父さんの世話もし、スペイン風邪(インフルエンザ)もあって外出も極力控えという、お金も時間も自由に使えず母の言葉が重しになって行動制限もあるとなれば、家を出たくなるのはやむなし。男性といっしょでなければ、家を出られないというのもこの頃の女性の不自由さだ。結婚した相手と家を出るという穏便な手が詰まったとなれば、別の男性とというのも自由を渇望するゆえだ。一番の夢は銀幕の向こう側の人になることだったけれど夢破れて、今手元にあるものでやっていこうという心境に至ったのを見て、虹の彼方よりやっぱりお家が一番という『オズの魔法使い』を思い出してしまった。
お父さんは、一番不自由していて気の毒だった。女性も障害者も少しずつ自由になってきたと思うが、まだまだ全然だからこういう映画が響いてくるのかな。
シリアルキラーとしてのパールの快感は、自分の意思で思いどおりに出来る開放感なのではないだろうか。若干、自己中心的なのはパール母子の共通点だと思うが、自己中心的な度が過ぎれば、仮に銀幕の向こう側の人になれたとしても、やっぱり思いどおりにならないことはあるわけで、シリアルキラー化するかも;;;;。
ともあれ、パールを演じたミア・ゴスはスゴかった。義理の妹を前にした長回しのアップ、素晴らしい吸引力だった。ラストカット-戦地から帰還した夫を迎えての笑顔の凄みが、哀れを誘って目に焼き付いた。
(2023/07/15 TOHOシネマズ高知3)