ほしのこえ

銀河へ向かって出動して戦うのが女の子で、地球に残って待つのが男の子というのが意外だったので、私の頭も硬いなあ。
戦いよりも個人としての私とあなたが大切な気分。そういう気分が描かれていたような気がする。都会では自殺する若者が増えている、だけど問題は今日の雨、傘がない。そういう気分と四季の風景を重ねて、戦いよりもこっちでしょうと。そんな感じだったなぁ。
監督:新海誠
(高知県立美術館 2012/08/19 高知県立美術館ホール)

トータル・リコール

自分自身を含めて誰を信じてよいのやら。
記憶って本当に当てにならない。
だからと言って記録が正しく真実かというと、そうではないこともあって、主人公はビックリ仰天するわけだ。
アクション映画にするより、サイコサスペンスにしてもらった方がよかったなぁ。
最後、疲れて眠ってしまった。

コリン・ファレル/ケイト・ベッキンセイル/ジェシカ・ビール/ビル・ナイ

TOTAL RECALL
監督:レン・ワイズマン
(2012/08/14 TOHOシネマズ高知6)

桐島、部活やめるってよ

映画部いいな~、やっぱり映画部だなぁ(笑)。
ぎゅうぎゅう詰めの部室(^o^)。全員男子(む~ン)。

金曜日の出来事は、ジグソーパズルみたい。学校って仲の良い者同士がつるむことが多いから、その仲間同士の単位で一つのピースになっていて、ピースごとにカメラを向けた感じだ。映画部、バレー部、バトミントン部、吹奏楽部、帰宅部などに小分けにされた登場人物が、時空間を共にするときがある。それがピースのつなぎ目というわけだ。
学校という閉じられた空間が、更に閉じられた仲間同士の時空間に切り取られバラバラと提示(映写)される。朝礼から下校までの金曜日が終わったとき、(脳内で)パズルが完成して気持ちよかった。それと同時に、これからどうなるの?という強い好奇心も感じた。

土曜、日曜、月曜、そして火曜へと時間が経過するにつれて、個々の登場人物の掘り下げがある。仲間であっても一人一人違う。それぞれの人物が、なかなかに説得力があるというか、身に覚えがあるというか、身に覚えが全くなくてもわかるというか、校内青春物語なのである。バレー部の小泉君の「限界なんだよー!」という魂の叫びや、才能はあっても無目的、何をすればいいのかわからない宏樹の棒立ちぶりなど、特に印象に残った。

そして、雪崩を打って屋上へ駆け上がるクライマックス。吹奏楽部の演奏が盛り上げる(笑)。全体的にクリアーでしっとりと落ち着きのある青味がかった映像なのだが、この屋上のシーンは(前田君がドキュメンタリーを脳内変換したゾンビ映画も)夕映えの赤だ。なんだか切なく美しい。

とりとめのない青春。卒業すれば、実社会青春物語が始まるのだけれど。

映画部:前田(神木隆之介)/武文(前野朋哉)
バトミントン部:かすみ(橋本愛)/実果(清水くるみ)
バレー部:小泉(大賀)
吹奏楽部:部長(大後寿々花)
野球部:宏樹(東出昌大)/キャプテン(高橋周平)
帰宅部:梨紗(山本美月)/沙奈(松岡茉優)

主題歌:高橋優「陽はまた昇る」
監督:吉田大八
(2012/08/11 TOHOシネマズ高知3)

ル・アーヴルの靴みがき

エンドクレジットをみながら、なんか、しみじみしてしまった。この感慨は、長年カウリスマキ作品を観てきたご褒美のような気がした。
これまで彼の作品は、自殺、失業、失敗、記憶喪失など人生の不運に対照させる形で、人々のささやかな幸せを描いてきた。幸せというのは、仕事の後のひとっ風呂であったり、一輪の花だったり、困った人を助けたりすることだった。そして、何より愛する人が傍にいるということだった。不運に見舞われ、お金がなければないほど、その幸せは引き立った。禍福はあざなえる縄のごとしとは言うけれど、必ずしも交互に来るものではない。これまで不運続きの人々を描いてきた彼が、今回は珍しく幸運の重なりを描いている。でも、そこでも何が幸せかにブレはない。「生きてくれて、ありがとう」、セリフにないそんな言葉も聞こえてくる。いや、幸せは増えたのかもしれない。気の置けないご近所さんも幸せの一つだ。それと、もう一つ。これまでよく描かれたためしがない役人の類だったけれど、今回はすごくいい役回りをもらっている。カウリスマキ、酒を酌み交わせる役人の友だちでも出来たかな?

マルセル・マルクス(アンドレ・ウィルム)/アルレッティ(カティ・オウティネン)/モネ警視(ジャン=ピエール・ダルッサン)/イドリッサ(ブロンダン・ミゲル)

LE HAVRE
監督:アキ・カウリスマキ
(こうちコミュニティシネマ 2012/07/28 喫茶メフィストフェレス)