運命は踊る

ちょっと期待外れ。全体的に音が耳障りで苦痛だった。チラシによると作り手の実体験が元になっているらしいが、それにしては現実ではないような感じ。特に国境の警備兵のパートが非現実的。宿舎がコンテナみたいで、それが傾いて沼に沈んでいく(?)なんてことが本当にあるのだろうか?不衛生で食糧も不十分そうだし。検問する人たちも夜会服と国境の寂れた感が掛け離れた感じで夢でも見ているようだ。こんなんだからラクダに衝突して亡くなっても驚きませんわ。(それよりイスラエルが舞台の作品のようだと気がついて驚いた。てっきりヨーロッパか南米の作品だと思い込んでいた。)

結局、私にとっては、この作品を韓国映画の『息もできない』と同じカテゴリーに入れるとことで、見てよかったと思えた。『息もできない』の主人公の男の子は、父親がベトナム戦争の帰還兵で暴力的な環境で育っていた。『息もできない』は、一見平和な社会における戦争状態の部分(背景に戦争の影響があること)を描いた作品だったと言える。『運命は踊る』でも成功した建築設計士の男性が、兵役を務めた時分に怖い目に遭ったらしく、復員してからも突然切れることが妻のセリフと息子の絵で示されていた。平和に見える社会や人に戦争の影響がある状態。平和が脅かされていると言えるのではないだろうか。
(2019/02/10 あたご劇場)

モリのいる場所

数年前、熊谷守一のカレンダー表紙に一目惚れして、ひろしま美術館での展覧会にも行って、映画にも行ったというわけで(^_^)。
モリ(山崎努)のいる場所は、居心地がよさそう。藤田(加瀬亮)の助手がまた来たい気持ちになるのがよくわかる。開発が進んでいく都会の一角にオアシスのような「モリのいる場所」というところだろうか。私は樹木希林さんが苦手で(なんだか芝居も窮屈に感じるのです。ちなみにキムタクも。)若干心配していたのだが、居心地のよい場所作りに貢献していて流石だなあと思った。宇宙人(三上博史)はよいとしても、ドリフのタライ「ガーン」はちとやり過ぎな感じ(笑)。
小さな庭が宇宙のように広く、虫や植物を眺めて暮らす時の流れに限りなし。戦後最低最悪最凶の政府が作り出した今の時世に『モリのいる場所』を観ることはコクーンに包まれるようだった。繭の中で眠り続けたいぜよ。(2019/01/09 あたご劇場)

タクシー運転手 約束は海を越えて

光州事件で命懸けで怪我人を病院に運んだりジャーナリストを案内した名も無きタクシー運転手たちに対する感謝と尊敬の念がものすごく伝わってきた。

クライマックス、ソウルへ向かう下り坂。追う軍隊に逃げるタクシー。ドイツ人ジャーナリスト(トーマス・クレッチマン)を乗せたタクシー運転手(ソン・ガンホ)は絶体絶命と思いきや、わらわらと仲間が!わははは、ありえな~い(^Q^)と思いつつ、その熱き走行に感動の涙(ToT)。ヒーローとは犠牲を払って他者を救う。ソウルのタクシー運転手も光州のタクシー運転手もヒーローや~。そして、このヒーローの市井の人ぶりを丹念に描いていたことにこの映画の意義があるように思う。民主化の歴史に名前はでてこないが、名も無き人を顕彰するというか・・・・。市井の人パワーを描けるのは、市民パワーのある証拠というと大げさかもしれないけれど。

エンタメ作品だけど、光州事件を描こうとしたら、権力者は都合の悪いことは情報統制するし、軍隊(警察)を使って市民を意のままにするし、ジャーナリストは危険を冒してでも隠しごとを暴こうとするってことも描けちゃったので、なかなか豊穣。

いつもながら韓国映画を観ると自然や文化に共通するところがあって、親しみを感じることが多い。この映画でもジャパニーズ・ソウルフードのおにぎりが(コリアン・ソウルフードかどうかはわからないが)落涙ポイントとなっていた。

(2018/09/22 あたご劇場)

くるみ割り人形と秘密の王国

「んごっ」という音で目が覚めた。もしかして私のいびき???周りの方々「ごめん」ごっ(^_^;。
もっとバレエを観たかったよー。みんなが踊ると思っていたから、まだかまだかと思ううち、寝てしまったんだよ~。
でも、ミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンを観られてよかった。フクロウが飛ぶオープニングと色んなダンスのエンドロールがよかったな。

レイフ・ファインズ監督のヌレエフを主人公にした『ホワイト・クロウ』を観たいんだけどーーー!
(2018/12/01 TOHOシネマズ高知6)