中国の現在、過去、未来を登場人物とスクリーンサイズで表現していて、とてもわかりやすかった。現中国(チャオ・タオ)は、古い中国(リャン・チントン)よりもグローバル化の波に乗って行け行けドンドンの中国(チャン・イー)を選択した。古い中国は病みつかれて死んでしまった。現中国は行け行けドンドン中国とどこまで行くのかと思いきや、決別したのがミソだと思う。決別したからこそ、現中国は少しずつ変わりながらも決して変わらないものを持ち続けることができる。作り手は行け行けドンドンから手を切るべきだと思っているのだろう。あっちこちほじくり返して開発しても、餃子は不滅だとも言っている。そして、ここがあなたの故郷だから、いつでも帰っていいと言われた華僑(ドン・ズージェン)の人々は、どんな気持ちでこの映画を見終えるのだろうか。
私の思う保守って、この作品のような感じだ。若い頃着ていたセーターが似合わなくなったのだろう、飼い犬の胴掛けに仕立て直していたのが象徴的だ。伝統や制度をそのまんま次世代に受け継ぐというのではなく、生活様式などの変化にあわせて制度も少しずつ変更していく。自然の景観は人の手を入れても残していきたい。景観は大事だと思う。故郷に帰ってきた人が、「帰ってきた」と思えるくらいの景観は守りたい。
最初と最後の歌「Go West」は、ペットショップ・ボーイズっぽいと思ったんだけど自信なし。東西冷戦がおわり、西へ西へとどこまでも。iphonなどの便利なものを享受できる時代、西へ来たことを否定的には捉えていないけれども、もっとゆるやかでよいのでは(あるいは、どこまで西へ行くのか)という作り手の思いが、最後の「Go West」に込められているように思った。
スケールが大きく、映像での表現が徹底されていて、ジャ・ジャンクー監督は『罪の手ざわり』に続いて波に乗ってるね。
(2017/02/03 あたご劇場)