う~みゅ、わかりやすいヤツ、イ・ガンド(イ・ジョンジン)。愛と憎しみは表裏一体。憎かった母(チョ・ミンス)が、なくてはならない人になる。そして、他人にも少しは優しくなれる。愛されたことがないと愛せないんだろうなぁ。もし、ガンドが愛したり愛されたりしたことがあったら、母の復讐はここまで成功しなかったかも。ほしくて堪らなかったものを与えて、また奪うという凄い復讐なんだけど、初めの殺伐としたガンドより血の通い出したガンドの方が幾分好きになれるので、あの結末は「めでたし、めでたし」とほっとしたような感じがした。延々と続く血の跡は、ガンドに血が通ってるぞーって感じで(^_^;。これはもしかして善い復讐なのではないだろうか。
母と名のった女性は、実は復讐のためそう名のっただけなんだけど、ガンドに憐憫の情がわくところが人間的でよかった。復讐の鬼となっていない。人としての余裕がある。相手をよく見ている。もちろん、実の母ともとれるし、そう取ると育てた子どもへの執着の方が断然大きいという事実が浮かび上がる面白さがあるけれど。
PIETA
監督:キム・ギドク
(2013/11/03 あたご劇場)