タイガー 伝説のスパイ

サルマーン・カーン、重量級。アクションでの着地は、膝にきそう~。
カトリーナ・カイフ、色っぽい~。

とにかくアクション(拍手)。駆けまくり、飛びまくり、壊しまくり~って感じで凄い。スピード感を損なわないまま、何がどうしてどうなっているのかわかるように作られている。カットを割っているから、飛ぶ人と着地する人が異なっているかもしれないけれど、うまいこと見せていると思う。また、スローモーションが効果的でもあった。
世界各地でロケーションしているのかな。色んなところが観られて観光気分だ。インドとパキスタンという敵対する国のスパイ同士が恋に落ちて、それぞれの組織から追われるようになって、いったいどこに逃げるかと思えばキューバ。なぜだか意表を突かれた(笑)。このへんで歌と踊りをたっぷりと(笑)。

二人の逃避行が続いており、世界の国々でエトランゼしているラストは、たいへんロマンチックだった。世界に平和が訪れない限り、二人のロマンが続くのね~。

Ek Tha Tiger
監督:カビール・カーン
(2013/09/11 あたご劇場)

クロニクル

つい、男子版『キャリー』と思ってしまった。その構造が似ているだけなんだけど。
学校ではいじめられっ子、家では母は重病、父(マイケル・ケリー)からは暴力を振るわれっ子のアンドリュー(デイン・デハーン)が、鬱屈した心を超能力で爆発させる。同じ超能力を有した従兄弟のマット(アレックス・ラッセル)と優等生、かつ、人気者のスティーブ(マイケル・B・ジョーダン)は、リアルな生活が充実しているので超能力をはけ口にはしない。生き物に対しては超能力を使わないという倫理観がある。これに対してアンドリューは、捕食動物の頂点に立つものは他のものを殺しているから、最強の自分は何をしてもOKという理屈を持ち出してくる。これは、神様がいないんだったら人殺しもOKとか、倫理とか道徳は人間が作ったもので元々はないものだから何してもOKとか、昔からある古~い理屈の一種だ。こういう理屈を持ち出す人を「タガが外れた人」と言う。

キャリーにはそんな理屈はない。あるのは哀しみと怒りだ。キャリーが可哀想で可哀想で(涙)。もし、あの出来事が日本で起こったなら、彼女の魂を鎮めるため「キャリー神社」なるものができただろう。それくらい同情した。一方、私はアンドリューには全く同情できなかった。アンドリューのことを気遣うマットやスティーブの株は上がるが、母親のために強盗してまで薬を買おうとしたアンドリューの株は下がる(どうせ超能力を使うなら薬屋に見えないところから目的の薬をそっと盗み出せばよかったのに)。結局、私は強盗しても清らかな人物が好きなんだろう。アンドリューは邪悪な感じがするのだ。

そういうわけで、クライマックスの大破壊は、アンドリューの気持ちなんか屁のカッパで観てしまった。そうすると、「たま屋~」、「かぎ屋~」ってな感じでケタケタ可笑しかった。

CHRONICLE
監督:ジョシュ・トランク
(2013/10/12 TOHOシネマズ高知8)

謝罪の王様

あほらし~(笑)。面白かったけど、長いので寝た~(笑)。この長さはセンスのなさの証明か!?
最後の歌と踊りは何だったんだろう。本編に登場してたっけ?
竹野内豊って素敵なお声~。
高橋克実と松雪泰子の元夫婦役が(^o^)。
岡田将生の肉食ぶりも(笑)。

監督:水田伸生
(2013/10/13 TOHOシネマズ高知1)

アンナ・カレーニナ

なんか『つぐない』みたいだなーと思っていたら、同じ監督の作品だそうで(^_^;。
『つぐない』は、音楽にタイプライターの音を取り入れたり、ダンケルクでの引き揚げ船の場面なんかが、これ見よがしの演出だったけれど、ジェームズ・マカヴォイのおかげで(?)ワタクシ的にはギリギリOKだった。
しかし、この『アンナ・カレーニナ』は、創意工夫を凝らしたであろう演出がことごとく滑っているよう(というか「どうです?この演出、面白いでしょ。」とお話の進行を邪魔している感じ)に見え、どうしてクラシックな演出にしなかったのかと残念でならない。しかも、「アンナ・カレーニナ」って貞淑な妻が恋に溺れ節度を失う話と思っていたため、キーラ・ナイトレイ演じるアンナが欲求不満気味に見えてモノすごく当てが外れ、アーロン・テイラー=ジョンソン演じるヴロンスキーは確かに美男子だけど私は魅力を感じられないうえに、キティ(アリシア・ヴィキャンデル)の振り方からしてプレイボーイに見えて、後でアンナにどれほど誠を尽くしてもなかなか信じられなかった。(さすがに最後は「いや~、ほんまに好きやったんやねー」と感心し、若干株は上がったけど。)
それでも結構楽しんではいて、キティとオブロンスキー(マシュー・マクファディン)のお互いを思い遣る大地に根ざした安泰カップルと、アンナとヴロンスキーの周囲をほったらかして情熱に突っ走る破滅型カップルの対比は面白かったし、演出はどれだけ滑ろうとも手を変え品を換えなので退屈しなかった。
それに、この映画を観る前にスコセッシ監督の『エイジ・オブ・イノセンス』に嵌っていたのがよかった。『エイジ・オブ・イノセンス』は風景や人物や美術の何もかもが美しい不倫もののメロドラマなんだけど、主役の二人(ミシェル・ファイファーとダニエル・デイ=ルイス)が激しい情熱を必死の思いで抑え、周りの者を傷つけず、自分たちも変質することなく(変質することを恐れて)別れたため、切なくも美しい思い出となったという話だ。
アンナとヴロンスキーもそのようにすればよかったと言うわけではない。周りの者をどんなに傷つけても耐えられるか、変わらずに愛し合えるか、覚悟と強靱な精神力が必要だったと言うことだ。『エイジ・オブ・イノセンス』との対比のうえで、よい教訓を得られたというわけである。

ANNA KARENINA
監督:ジョー・ライト
(市民映画会 2013/09/19 かるぽーと)