2016年覚書(マイ・ベストテン)

外国映画25本、日本映画15本、かるかん率100%(なんとか)。
激しく見るのをやめたので、その分、本を読まなければと思うけれど、依然としてほとんど読まないまま1年が過ぎ、どんどんバカになっているような気がする。どんどんバカになれるということは、バカになる余地が相当あったということかな(笑)。

好きを基準に選ぶとベスト7になった。

  • ブリッジ・オブ・スパイ
  • オデッセイ
  • 人魚伝説
  • 妻への家路
  • 孤独のススメ
  • MR.ホームズ
  • この世界の片隅で

『MR.ホームズ』と『オデッセイ』がダントツで好きだなぁ。本当のところベスト2なのかもしれない。
『孤独のススメ』はラストシーンが素晴らしい。あのラストシーン以外のラストだったら選んでないと思う。
『人魚伝説』は田辺さんの思い出とともに。

次点が多いんだよね~。
『シャーロック 忌まわしき花嫁』『陽光桜』『追憶の森』『殿、利息でござる。』『パレードへようこそ』『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』『オケ老人』『マダム・フローレンス!夢見るふたり』

ベストキャラクター

キャラクターは豊作だったように思う。『人生スイッチ』は猫いらずでの復讐を勧めた人、『オデッセイ』の火星人1号、『陽光桜』の主人公、『殿、利息でござる。』で山﨑努が演じていた今は亡き酒屋の大旦那、『孤独のススメ』の山羊好きの人、『ハドソン川の奇跡』の副操縦士(この人がいてくれて助かったと思う)、『オケ老人』で杏ちゃんが演じていた人(テーブルの下を這って寝室にいたるところ、めっちゃ好き)、『マダム・フローレンス』のシンクレア。
しか~し、私にはこの人をおいてベストキャラはなし!引退直前の「なんだこの色気は!」のホームズといい、老境のホームズといい、ホームズらしいホームズでやっぱり好きだ。耄碌しても「らしくある」ホームズでいてくれてありがとう。

DVD

「るろうに剣心」シリーズで初めて藤原竜也をよいと思った。舞台演技が映画でも活かされていた。
『欲望のバージニア』は、禁酒法の時代の田舎が舞台で面白かった。服装なんか都会とはえらい違いだ。西部劇のような格好なんだけどカーディガンを着ていた。
『ルーム』といい『サウルの息子』といい、子どもパワーはすごいな。

クロノス♥
欲望のバージニア
ルーム♥♥
るろうに剣心 伝説の最期編
るろうに剣心 京都大火編♥
ジギー・スターダスト・アンド・ザ・スパイダーズ・フロム・マーズ♥
るろうに剣心
妖精たちの森♥
君が生きた証♥♥
チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室
女相続人
蜘蛛女
ビフォア・ザ・レイン♥
世界の中心で、愛をさけぶ♥♥
Re:LIFE~リライフ~♥♥
6才のぼくが大人になるまで♥
トゥルー・ディテクティブ第1~8話
アリス・クリードの失踪
ヴィジット
ジミー、野を駆ける伝説♥♥
わたしに会うまでの1600キロ♥♥
ウォールフラワー

その他
長年、定期購読していたキネマ旬報をやめた。見てから読む派には、ほとんど読むところがない。今後は園芸雑誌でも買おうかな。

山河ノスタルジア

中国の現在、過去、未来を登場人物とスクリーンサイズで表現していて、とてもわかりやすかった。現中国(チャオ・タオ)は、古い中国(リャン・チントン)よりもグローバル化の波に乗って行け行けドンドンの中国(チャン・イー)を選択した。古い中国は病みつかれて死んでしまった。現中国は行け行けドンドン中国とどこまで行くのかと思いきや、決別したのがミソだと思う。決別したからこそ、現中国は少しずつ変わりながらも決して変わらないものを持ち続けることができる。作り手は行け行けドンドンから手を切るべきだと思っているのだろう。あっちこちほじくり返して開発しても、餃子は不滅だとも言っている。そして、ここがあなたの故郷だから、いつでも帰っていいと言われた華僑(ドン・ズージェン)の人々は、どんな気持ちでこの映画を見終えるのだろうか。

私の思う保守って、この作品のような感じだ。若い頃着ていたセーターが似合わなくなったのだろう、飼い犬の胴掛けに仕立て直していたのが象徴的だ。伝統や制度をそのまんま次世代に受け継ぐというのではなく、生活様式などの変化にあわせて制度も少しずつ変更していく。自然の景観は人の手を入れても残していきたい。景観は大事だと思う。故郷に帰ってきた人が、「帰ってきた」と思えるくらいの景観は守りたい。

最初と最後の歌「Go West」は、ペットショップ・ボーイズっぽいと思ったんだけど自信なし。東西冷戦がおわり、西へ西へとどこまでも。iphonなどの便利なものを享受できる時代、西へ来たことを否定的には捉えていないけれども、もっとゆるやかでよいのでは(あるいは、どこまで西へ行くのか)という作り手の思いが、最後の「Go West」に込められているように思った。

スケールが大きく、映像での表現が徹底されていて、ジャ・ジャンクー監督は『罪の手ざわり』に続いて波に乗ってるね。
(2017/02/03 あたご劇場)

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

エイサ・バターフィールド君を見に行った。大満足(^_^)。
なんとテレンス・スタンプ、ジュディ・ディンチ、愛するサミュエル・L・ジャクソンも出演。エヴァ・グリーンもとてもよかった。
おしまいの方で時制があっちゃこっちゃするのが「???」で付いて行けなかったけど、ティム・バートングッズ(アイテム?)が充実していて面白かった。昔は『バットマン リターンズ』のペンギンマンのように異形の者の心の叫びが痛々しくも印象深かったが、ヘレナ・ボナム・カーターと結婚してからは幸せすぎて撮る映画もつまらなくなり、「ティム・バートンよ、さらば」と思ったこともあったけれど、今作は奇妙なこどもたちの幸せを願う気持ちが伝わってきて、いいパパをしているのだろうなと思えた。過去の奇妙な自分や現在の仲間はずれにされている子どもに対して、こんなに肯定感いっぱいの作品を作れるようになったのは幸せな結婚のおかげだ。作家は不幸じゃないとよい作品を作れないという考えは全面的に改めなくちゃ。
ペレグリンはハヤブサのことだそうな。ハヤブサというとカッコイイのにペレグリンはイマイチ。・・・・アルバトロスと言えばカッコイイのにアホウドリと言うから、これでおあいこ(?)。
(2017/02/03 TOHOシネマズ高知7)

ルートヴィヒ デジタル修復版

スケールの大きいオタク。元祖引きこもり王。
これはもう、ルートヴィヒ(ヘルムート・バーガー)を見る映画だなぁ。

始まりは部屋の隅の天井画で、なんかエロ映画宣言されたように思ってしまったのだけれど、それを払拭するような横顔のアップ!はぁ~、美しい~~。ヘルムート・バーガーってこんなに美しかったっけ????美青年という評判とは裏腹に、ちょっとクセのあるお顔が、それほど好みではなかった私にも美しく瑞々しく見えた。その人が神父さまに告解をしている儚さがよろしうおす。
映画の前半は、ルートヴィヒも一所懸命に国王の勤めを果たそうと努力をしていた。ワーグナーとか芸術を国民にも広めるって趣味と実益を兼ねたいいことだと思う。でも、世継ぎを残すという務めにおいて挫折。議会で決まったこと(自分の意志とは異なる結論)にサインするだけってのもつまらないだろうし。後半は、欲望のままに生きた結果、容貌も激変。会いに来たエリザベト(ロミー・シュナイダー)に合わせる顔もなく、思いどおりにしてきたのに思いどおりになってないという惨めさだった。ただ、ラストカットのデスマスクを見ながら、「腐っても鯛」という言葉が浮かぶのは、ヘルムート・バーガーのおかげだと思う。

およそ30年ぶりの鑑賞に、わかることが増えているかもしれないと自分に期待したが、エリザベト(ロミー・シュナイダー)が喪服を着ているわけくらいしかわからず。冒頭の天井画もファーストカットだから何か意味があるだろうに、サッパリ。きっと教養のある人ほど面白い作品なんだろうなぁ。ともあれ、お星様の部屋に再会できたのは嬉しかった。

(2017/01/28 高知県立美術館 高知県立美術館ホール/240分)