インターステラー

面白かった。話にしても映像にしても、へぇ~、ふぅ~んという感じで。おおー!とか、うわー!とかでないのが感性の鈍磨というか、可愛げがないというか、乗れなかった自分が不憫である。そうすると、昔からある神かくしやUFOも星空間移動なのかもしれないってことだろうか。神かくしとかUFOが異次元世界との行き来であるとは、私が子どもの頃に言われていたことで、なにやら懐かしい。「ライラの冒険」を思い出したりもした。ヴィジュアルもなんか、どっかで見た感じがつきまとっていた。

人類滅亡の危機をいかにして救うかというスケールの大きい命題を父と娘の愛情で解くという泣かせる話であると同時に、絶望の中にも希望を見いだす人間力の話でもあった。

観た後で知ったが、プロデューサーの一人は物理学者で、ブラックホールなど最新の科学でわかっているとおりに描かれているそうだ。そう言われても「ほんまでっか」と思うばかりだけど、そのくせ私はこの映画のSF的なところを楽しんでいたように思う。とりわけ、時間の摩訶不思議がいくつも描かれていてよかった。時間は不可逆なものなのに、「彼ら」として過去に現れることが出来る。わからないのに、やっぱり面白い。

監督:クリストファー・ノーラン
(2014/12/9 TOHOシネマズ高知9)

ゴーン・ガール

はははは。結婚って、底なし沼なのか(笑)。
親の借金のため娘は自分の財産を差し出す。親の介護のため息子は故郷にUターン。両者とも相談なしに一人で決めて、パートナーには事後報告。そして、失業。金の切れ目が縁の切れ目的浮気。浮気発覚で懲罰的復讐と、これは「結婚」についての映画だと思う。ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)の二人を見ていると、人生の荒波に手に手を取って立ち向かう理想の夫婦像からは遠い。
婚前契約って再々でてくるけど、二人はどんな契約をしていたの?

それにしてもニック・ダンは、ベン・アフレックのためにあるような役。バカな男に違和感なし(^o^)。アゴを隠すって当て書きでしょう(決めつけ)。
音楽がとてもよい。
ボニー刑事(キム・ディケンズ)、めっちゃカッコいい!
ニックの妹マーゴ(キャリー・クーン)は健気。双子の兄妹で何でも打ち明けられる関係だったのだけれど、父の家をニックが「茶色の家」と呼んでいたいきさつは知らなかった。ニックは妻だけに話していたのだ。その他、子どもをほしがっていたのはニックの方で・・・とか夫婦にしかわからないことがあるのよね~。あたりまえだけど、やっぱり妻と妹はまったく異なる関係性なのだ。
エイミーは、なぜ、デジー(ニール・パトリック・ハリス)と結婚しなかったのかなぁ。追いかけられると逃げたくなるってこと?
ニックの弁護士(タイラー・ペリー)の手法からすると、真実はどうであれ世間を味方につければ裁判にも勝てるということだろうか。

監督:デヴィッド・フィンチャー
(2014/12/13 TOHOシネマズ高知5)

ジゴロ・イン・ニューヨーク

フィオラヴァンテ(ジョン・タトゥーロ)は、ジゴロのお手本のような人だった。女性の欲求を察し、満たす優しさ。これがジゴロに不可欠なものなんだろう。顔は二の次、三の次。察しがよすぎたり、サービス過剰は疲れるけれども、フィオラヴァンテは万事、程よい加減で言うことなし。これはモテる。だけど、女性の本命にはなれない。『七年目の浮気』でも描かれていたように不器用くんの方が本命として見られているのだ。

何不自由なさそうな皮膚科医パーカー(シャロン・ストーン)と、夫に先立たれ何かと不自由そうなアヴィガル(バネッサ・パラディ)という女性の対比も面白かったけれど、ジゴロ斡旋家マレー(ウディ・アレン)の妻や厳格なユダヤ教徒たち、会話の中の○○系など、ニューヨークが人種のるつぼと言われていたことを思い出した。特に厳格なユダヤ教徒のあれこれが面白く、自警官(パトカーがそっくりで最初はニューヨーク市警かと思ったよ)やユダヤ教の罪に当たる行為かどうか審判する「審議会」は、一見の価値ありだ。

小粋な音楽が何曲もたっぷりと使われていて気軽に楽しめる反面、フィオラヴァンテとアヴィガルのシーンなど、ここぞというところは無音で観客の集中力を高める演出。アレン・アレルギーは、なぜだか発症しなかった。イジイジしてなかったからかな?

監督:ジョン・タトゥーロ
(2014/12/13 あたご劇場)