2ガンズ

デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの二人とも好きなので、それと、『嘆きのピエタ』のお口直しに~(^_^;。
話がごちゃごちゃしていて(おまけに寝たので)、よくわからない(^_^;。
お互い相手の正体がよくわからないバディ・ムービーというのが面白かった。もう、相手の正体はわかったので、シリーズ化はないね(笑)。

2 GUNS
監督:バルタザール・コルマウクル
(2013/11/03 TOHOシネマズ高知2)

嘆きのピエタ

う~みゅ、わかりやすいヤツ、イ・ガンド(イ・ジョンジン)。愛と憎しみは表裏一体。憎かった母(チョ・ミンス)が、なくてはならない人になる。そして、他人にも少しは優しくなれる。愛されたことがないと愛せないんだろうなぁ。もし、ガンドが愛したり愛されたりしたことがあったら、母の復讐はここまで成功しなかったかも。ほしくて堪らなかったものを与えて、また奪うという凄い復讐なんだけど、初めの殺伐としたガンドより血の通い出したガンドの方が幾分好きになれるので、あの結末は「めでたし、めでたし」とほっとしたような感じがした。延々と続く血の跡は、ガンドに血が通ってるぞーって感じで(^_^;。これはもしかして善い復讐なのではないだろうか。

母と名のった女性は、実は復讐のためそう名のっただけなんだけど、ガンドに憐憫の情がわくところが人間的でよかった。復讐の鬼となっていない。人としての余裕がある。相手をよく見ている。もちろん、実の母ともとれるし、そう取ると育てた子どもへの執着の方が断然大きいという事実が浮かび上がる面白さがあるけれど。

PIETA
監督:キム・ギドク
(2013/11/03 あたご劇場)

陸軍登戸研究所

改めて戦争って何でもありだと思った。倫理なんてそっちのけ。第1部は生物兵器・化学兵器、第2部は風船爆弾、第3部は贋札について、それぞれ関係者にインタビューしたドキュメンタリー。第1部は登戸で作った生物兵器の人体実験を中国で行っていたというのがにゃんともヘビーであった。第2部は風船爆弾をアメリカ西海岸へ向けて飛ばす話をした人(茨城の人だったかな)が笑いの神がついていて面白かった。第3部は贋札作りが戦後、朝鮮戦争時に旅券偽造等に応用されており、その間、アメリカの年金制度に入っていたため、現在受給している年金が少ないという話が切実だった。また、「陸軍登戸研究所の真実」の著者伴繁雄の妻伴和子さん宅で、「以前、来たときに掲げてあった繁雄さんの写真はどうされました?」という問いに和子さんの明快な答え。「私をいたわってくれたことがなかったから、旦那さんじゃなかったと思って外しました。」というのに思わず拍手しそうになった私も次の「枕元に立って『すまなかった』と言われたときは泣きました。」との言葉に胸が深閑となった。

監督:楠山忠之
(映画「陸軍登戸研究所」高知県上映実行委員会 2013/11/02 高知市立自由民権記念館)

地獄でなぜ悪い

面白かった!ありえない話にぐいぐい引っ張られる(笑)。しずえ(友近)~~(^Q^)。

武藤(國村隼)に敵対する組のボス、池上(堤真一)のセリフに「リアルには勝てない。ファンタジーで行くしかない。」とあったとおり、ファンタジーに徹してくれたおかげで血糊も殺戮も正視できた。「リアルには勝てない。」というのは園監督自身の思いなんだろう。だから、これまでの作品も過剰に演出が施され(ファンタジー化されて)いたのだろう。生涯の1本が撮れたら死んでもイイ平田(長谷川博己)と、平田にその気にさせられアクション俳優を夢見ていた佐々木(坂口拓)のケンカのシーンなど、演劇のようなセリフの掛け合いが見事にはまっている。

また、誰もが言うことかもしれないけれど、エロ可愛いS女ミツコ(二階堂ふみえ)にメロメロの橋本(星野源)と、映画制作の狂気に取り憑かれた平田は、二人とも園監督の分身だろう。橋本が死んでも平田が生きているのは、死んでもいい女性には巡り会えたが、映画作家としてはまだまだ死ねないということだろうか。武藤と平田が面と向かってお互い譲らないシーンなど、プロデューサーと監督のせめぎあいが偲ばれて(?)面白かった。

作家には狂気が必要だと思うけれど、映画監督は興行収入を気にしなければならない運命にあるので狂いきれない面がある。平田のような映画監督がうじゃうじゃいたら、日本映画もなんぼか面白くなるだろうに。
それより、金は出しても口は出さないプロデューサーの出現を映画の神様に祈った方がよいだろうか。う~ん、それ以上に後で『仁義なき戦い』とかに巡りあって、「あー、『地獄でなぜ悪い』は、この映画から来てたのかー(^o^)!」と気づく映画ファンが育つことを祈った方がいいかもしれない。(シネコンやTUTAYAにお客さんが集中するようでは映画ファンが育っているとは言えないと思う。)フィルムでの制作・上映に対するレクイエムとも言える『地獄でなぜ悪い』を観て、思いはそんなところへも飛んでいった。

監督:園子温
(2013/10/26 TOHOシネマズ高知2)