きっと、うまくいく

面白い!「ハッピーじゃなけりゃ、エンドじゃない」、それがインド映画の法則でっす。
そうかぁ、インドでは貧富の差が大きくて、子どもを安定した職業に就かせるために親は必死で大学に送り、学生はプレッシャーと競争にさらされ自殺者が出て問題になっているのか~。というようなことを背景に、娯楽街道まっしぐら。ハッピーエンディングまでシモネタ、出産エピソードを交え~の、三馬鹿の篤き友情と親子の鉄板泣かせの葛藤劇に加えて教育ローン、もとい教育論などを打ち上げ競争に物申し、雄大な山奥へとロードムービーしながら花嫁奪取などもやらかして恋愛映画的にも見せ場があり~ので、いやはや、てんこ盛り、ニコニコ、ごっつぁんです。
だけどね~、一番驚いたのは、親友か家族かの選択を迫られたラージューのとった行動だ。いやもう、死んだと思って息を飲んだもんね。でも、考えたら彼は無事で10年後の今を生きているのだった(笑)。

カメラマンになりたいファルハーン(R・マドハヴァン)/自信がなくて神頼みのラージュー(シャルマン・ジョシ)/機械大好き天才ランチョー(アーミル・カーン)/スかしっ屁チャトル(オミ・ヴァイディア)/恋の風が彼女にも吹いたピア(カリーナ・カプール)/教師としても親としても伸びしろが大きかった学長(ボーマン・イラニ)

3 IDIOTS
監督:ラージクマール・ヒラニ
(2013/10/12 あたご劇場)

そして父になる

親子って血のつながりじゃないと改めて感じさせてくれる作品だった。
子どもの取り違えがわかったとき、100%生みの親の元に戻すことになると作品中で言われていたけれど本当かな?いっしょに観た母は、赤ん坊の頃にわかったのならともかく、この映画の年齢になっていたらそのまま育てるそうだ。3歳くらいならどうかと聴くと可愛い盛りなので(引き渡す気はない)とのことだった。そうすると血のつながりのある子どもと別れることになるがと突っ込むと、それはそれで構わないということだった。私も同感なので、100%はないだろうーーーと思った次第。そういうわけで、この映画の本当の結末は再び子どもを交換して、子どもたちにとっても「めでたしめでたし」と勝手に思っている。

それにしても、良多(福山雅治)って鈍かった(^_^;。子どもとの愛情交換がうまくできていなかったからかな。それは彼が両親とうまく関係性を築けて来られなかったせいかもしれない。父(夏八木勲)との間はギクシャクしているし、子どもの時分は継母(風吹ジュン)になじめなかったようだ。仕事はできても「○○は斯くあらねばならない」という観念が強すぎて、子どもまでそれに当てはめようとするのも痛い。これまで何でも思いどおりにできてきたから人間がこなれてないのだと思う。子育ては思いどおりにならない最たるものだろうから、良多も子どもにこなしてもらえって感じだ(笑)。親になるには愛情が必要なんだと思う。(自分の分身として愛するのはダメだ。子どもを分身と思っていたから良多は血縁にこだわったのかもしれない。)彼は自分が子どもに愛されていたとわかった時、初めて愛情を感じ親になれたんだと思う(愛情返し)。

感動してちょっとうるうるっときたのは、河原で母親同士(尾野真千子と真木よう子)が思いを共有するシーンだ。コメディ・リリーフ的存在の斎木(リリー・フランキー)も面白かった。沖縄の空「琉晴(りゅうせい)」という名前もいいなぁ。

監督:是枝裕和
(2013/10/06 TOHOシネマズ高知7)

タイガー 伝説のスパイ

サルマーン・カーン、重量級。アクションでの着地は、膝にきそう~。
カトリーナ・カイフ、色っぽい~。

とにかくアクション(拍手)。駆けまくり、飛びまくり、壊しまくり~って感じで凄い。スピード感を損なわないまま、何がどうしてどうなっているのかわかるように作られている。カットを割っているから、飛ぶ人と着地する人が異なっているかもしれないけれど、うまいこと見せていると思う。また、スローモーションが効果的でもあった。
世界各地でロケーションしているのかな。色んなところが観られて観光気分だ。インドとパキスタンという敵対する国のスパイ同士が恋に落ちて、それぞれの組織から追われるようになって、いったいどこに逃げるかと思えばキューバ。なぜだか意表を突かれた(笑)。このへんで歌と踊りをたっぷりと(笑)。

二人の逃避行が続いており、世界の国々でエトランゼしているラストは、たいへんロマンチックだった。世界に平和が訪れない限り、二人のロマンが続くのね~。

Ek Tha Tiger
監督:カビール・カーン
(2013/09/11 あたご劇場)

クロニクル

つい、男子版『キャリー』と思ってしまった。その構造が似ているだけなんだけど。
学校ではいじめられっ子、家では母は重病、父(マイケル・ケリー)からは暴力を振るわれっ子のアンドリュー(デイン・デハーン)が、鬱屈した心を超能力で爆発させる。同じ超能力を有した従兄弟のマット(アレックス・ラッセル)と優等生、かつ、人気者のスティーブ(マイケル・B・ジョーダン)は、リアルな生活が充実しているので超能力をはけ口にはしない。生き物に対しては超能力を使わないという倫理観がある。これに対してアンドリューは、捕食動物の頂点に立つものは他のものを殺しているから、最強の自分は何をしてもOKという理屈を持ち出してくる。これは、神様がいないんだったら人殺しもOKとか、倫理とか道徳は人間が作ったもので元々はないものだから何してもOKとか、昔からある古~い理屈の一種だ。こういう理屈を持ち出す人を「タガが外れた人」と言う。

キャリーにはそんな理屈はない。あるのは哀しみと怒りだ。キャリーが可哀想で可哀想で(涙)。もし、あの出来事が日本で起こったなら、彼女の魂を鎮めるため「キャリー神社」なるものができただろう。それくらい同情した。一方、私はアンドリューには全く同情できなかった。アンドリューのことを気遣うマットやスティーブの株は上がるが、母親のために強盗してまで薬を買おうとしたアンドリューの株は下がる(どうせ超能力を使うなら薬屋に見えないところから目的の薬をそっと盗み出せばよかったのに)。結局、私は強盗しても清らかな人物が好きなんだろう。アンドリューは邪悪な感じがするのだ。

そういうわけで、クライマックスの大破壊は、アンドリューの気持ちなんか屁のカッパで観てしまった。そうすると、「たま屋~」、「かぎ屋~」ってな感じでケタケタ可笑しかった。

CHRONICLE
監督:ジョシュ・トランク
(2013/10/12 TOHOシネマズ高知8)