ダイ・ハード ラスト・デイ

「不死身日和」という原題にふさわしく、ど派手に不死身で荒唐無稽。ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)も息子のジャック(ジェイ・コートニー)もスーパーマンと化していたのであった。オリジナルとは遠く離れたところへ来てしまった(笑)。
また、前作は、サイバー戦争の前哨戦みたいな感じのタイムリーさというか同時代性が面白かったが、今作は、なぜ今チェルノブイリ?という感じだった。米ロ親子対決はアメリカの勝ち~みたいな終わり方だし、その他諸々、この映画をロシアに売る気はないのかな(笑)。
不肖の息子をぼやくくらいじゃジョン爺のよさが発揮されないので、もうね、孫を出すしかないよ。定年退職後、子守をしてたら事件がどこからともなく降ってきた。ジョン・マクレーン、「子守おおかみ」と化す。スーパーマンと化すよりは、「ダイ・ハード」らしいのではないだろうか。

A GOOD DAY TO DIE HARD
監督:ジョン・ムーア
(2013/02/23 TOHOシネマズ高知7)

桂ざこば独演会

やっぱり面白かった~(^o^)。
マクラから噺へのつなげ方が、うまいな~。

そうばさん、聴きやすかった~。福岡出身だそうで、大阪に出てきて言葉が違うので苦労したというマクラが、大阪では通じる「手水」という言葉が、少し離れた片田舎では通じないと、すんなり噺に入って行く。
ざこばさんも、泣くばかりで言葉が通じない孫との遣り取りを描写して「孫は宝ってウソでっせ」と、どっかーん、ドッカーン大受け。かなり熱が入って珍しく長めのマクラ(孫は可愛くない)が、可愛くない子ども代表とも言える丁稚が主役の噺につながる。
塩鯛さんも大学で講師をしていた経験から今どきの学生の不勉強加減を面白可笑しく話し、「金色夜叉」を「きんいろよるまた(夜になったらマタが金色にひかる)」と読む生徒の噺につなげる。
米紫さんの結婚式の司会の話は面白かったけど、「宗論」とのつながりがわかりにくかった。でも、裾を乱す熱演で面白かった。熱演過ぎると聴いていて疲れるので要注意。年を取って力が抜けたら聴きやすくなるかも。
笑って温まると北風が気持ちいいくらいだった。

桂そうば「手水廻し」手水の意味がわからないのに「手水ください」と言ってみる。
桂米紫 「宗論」父と息子の宗教論争。
桂ざこば「月並み丁稚」丁稚が口上を忘れてお尻をつねってもらう。
 -中入り-
桂塩鯛 「読書の時間」クラスで読み上げた「竜馬がゆく」はポルノだった。
桂ざこば「青菜」植木屋さんがおかみさんに頼んで教養人のマネをする。

(2013/02/23 グリーンホール)

カルメン故郷に帰る

浅間山麓の景色が気持ちいい!
高峰秀子がキレイ!本当に役者だなぁ。『二十四の瞳』のおなご先生とは別人。

ストリップ・ダンサーは芸術家であると自認し、明るく楽しく芸に励むのはいいし(親は泣いているが)、芸術家とおだてて踊らせ金儲けに走ろうとするのは時代の流れと諦めても、借金の形とはいえ、人のたった一つの楽しみであるオルガンを取り上げるのは許せない、しかも、なぜ、その人のたった一つの楽しみとなったかと言えば、出兵して失明したからなんだぞというお話が、シューベルトなどをBGMに軽快に綴られていく。
金儲け主義の円十が悪者と言えば悪者だけど、儲けに走るのもまた人間というふうに描かれていて喜劇として真っ当で楽しかった。

リリィ・カルメン:おきんちゃん(高峰秀子)/マヤ朱美(小林トシ子)/校長先生(笠智衆)

監督:木下恵介
(2013/02/11 あたご劇場)

ゼロ・ダーク・サーティ

嫌な映画だ。拷問に始まり虚しい涙で終わる。
人殺しを目的に、ターゲットの居場所を突きとめるため買収その他で情報を得ようとするが、身内に犠牲者が出たりなんだり、「なんだ、CIAの苦労話か」と気がつけば誠につまらない。苦労話なんて色々脚色があってこそ面白く聴けるものだ。ただし、目的を果たしたとき、そこにターゲット以外の人間が多数いたことなど想像もしてなかったので驚いた。ますますもって嫌な作戦である。

なぜ、お金を払って嫌な思いをしなければならないのか!?
そこで、少しはイイ思いもしようと頭を切り換える。
まず、やはりビグロー監督の演出力は大したものだと思う。ちょっと眠ったけど、それはご飯の後だったからであって、演出の冴えをおとしめるものではない。10年近い苦労話を3時間にまとめたのも偉いではないか。2時間にまとめたら、もっと偉かったというか、ありがたかったが。

それに主人公は、18才でリクルートされてCIAの分析官となり、この仕事に携わってメキメキと腕を上げ、支局長をビビらせ長官に一目置かれる存在になったのだ。成長物語としての面白さがある。実に嫌な成長ぶりではあるけれど。
また、彼女の物語として観ると、任務に加味された復讐の度合いはどれくらいだったかなど見所はあると思う。感情を抑制したり露わにしたり、血も涙もあるには違いなく、最後には涙をこぼす。仕事を完遂した安堵の涙にも見えるけれど、彼女に対する「ヒコーキ、貸し切りだから大物なんだね」「行き先はどこ?」というセリフからして、作り手は安堵の涙としては描いていないと思った。

マヤ(ジェシカ・チャステイン)/ジェシカ(ジェニファー・イーリー)/長官(ジェームズ・ガンドルフィーニ)/支局長(カイル・チャンドラー)

ZERO DARK THIRTY
監督:キャスリン・ビグロー
(2013/02/16 TOHOシネマズ高知2)