グランド・イリュージョン

豪華キャストなのに生かし切れてないような気がする。よいと思ったのは、ダニエル役のジェシー・アイゼンバーグだけだった。
なんたらホースメンの四人組、ダニエル、マッキーニ(ウディ・ハレルソン)、ヘンリー(アイラ・フィッシャー)、ジャック(デイヴ・フランコ)のイリュージョンの種明かしをサディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)がするのだが、「やっぱりね」若しくは「ありえな~い」という感じだったし。
今の映画だと現実のマジックではできないこともできてしまうので、それをマジックだと言われると面白さ半減だぞと思いながら臨んだら、案の定、CGだかSFXだかを使っている風なマジックショーになっていたし。

う~ん、『レッド・ライト』は傑作だったなぁ(^_^;。『幻影師アイゼンハイム』もよかった。そして、マジック映画というと思い出すのが『マジック・ボーイ』。水槽からの脱出シーンの美しさ。ラストに靴からこぼれる花。映画史に残らない作品は一期一会だなぁ。

FBIディラン(マーク・ラファロ)/国際警察(メラニー・ロラン)

NOW YOU SEE ME
監督:ルイ・ルテリエ
(2013/10/26 TOHOシネマズ高知1)

潔く柔く

映像がイイ!コントラストを抑え気味のフラットな色調で、映像がまさに潔く柔い。23歳の瀬戸カンナ(長澤まさみ)が、15歳をすごした団地の階段に腰を下ろし物思う場面では、秋めいた光景が背後にうっすらと見え、彼女のシルエットが金色に縁取られて季節感が出ていた。夜のガソリンスタンドの遠景とか、雨あがりの谷川から見上げる雲の切れ間とか、その他いろいろ気を遣って丁寧に作られた作品だと思う。
亡くなった人への(謝罪しようのない)罪悪感を抱えて生きる辛さと、それを乗り越えたときの清々しさと、恋愛ものの滑稽味とがうまくブレンドされて、とても好きな作品だ。お目当ての高良健吾は、出番は限られているけど、やっぱり良かったし(^_^)、演技派として一目置いている岡田将生も良かった。岡田将生は美少年系の薄い皮膚と赤い唇で損しているよね~。

赤沢禄(岡田将生)/春田(高良健吾)/柿之内の姉ちゃん(池脇千鶴)

監督:新城毅彦
(2013/10/26 TOHOシネマズ高知9)

人類資金

金はこう使え!マネーを生きたお金にする話。しかも、それが先の戦争で亡くなった人たちの思いとつながっている。

音楽、カッコイイ。
荒くて詰めの甘い筋書きに説明的なセリフという脚本上の欠点を補ってあまりあるスケール感と志の高さと押し切りパワーに拍手。
真舟が謎の人物に招待されて昭和の匂いのするビルを訪れると、何ものかに襲われる。導かれるままにビルの地下に逃げ、地下道をたどると地下鉄につながっていて・・・・という冒頭の大冒険にワクワクした。ビルの床、地下道、地下鉄とうまくつなげたな~。
ロシア、なんとか共和国(架空?)、国連と世界を股にかけたロケーション。あの錆の出た大きな船、いいねぇ。

真舟(佐藤浩市)・・・M資金にこだわる動機が甘い。オーバーアクト。
M(香取慎吾)・・・こんだけイイ人になった理由が甘い。滑舌がーーー(^_^;。
セキ・ユーキッド(森山未來)・・・国連の本会議場で、すごーい。
高遠(観月ありさ)・・・あの回し蹴りは、ありさちゃん本人?カッコイイ。西島秀俊(『丘を越えて』)と森山未來(『フィッシュ・ストーリー』)と三人で『マワシゲリ兄弟』という映画はいかがでしょう。ありさちゃんは訳あって男装しているのです。
笹倉(仲代達矢)・・・Mの祖父かと思っていたら父ちゃんだった(^_^;。
遠藤(ユ・ジテ)・・・どこかで見た人。
マーカス(ヴィンセント・ギャロ)・・・マーカスがギャロとわかった瞬間(笑)。
金・・・労働の対価。所得税から公共の福祉に?
マネー・・・投機で得る差益。内部留保で死に金に?

監督:坂本順治
(2013/10/23 TOHOシネマズ高知5)

能書き

今、シャー・ルク・カーンを男優「玉手箱」に入れると、玉手箱が火事になってしまいそうー。もう少しほとぼりを冷まさないといけません。

「気分」という基準で選んだ男優さん方、見事に主演男優ばかり(^_^;。

ジョニー・デップは、もうずいぶん前から好きではなくなっていて、入れるべきか入れざるべきか悩んだあげく、追いかけていた時期はけっこう長かったような気がするので過去の思い出として入れました。
それほど好きではない(普通に好き)という点では、オダギリジョーなんかもそうなんだけど、『血と骨』の彼は本当の本当に素晴らしかった。あの輝くばかりの美貌と「この人、早死にする」と思わせる剃刀系の危うさを観るためなら、もう一回我慢して(?)『血と骨』を観てもいいと思うのです。
一見さん的な男優もいます。クリストファー・ランバートは『ハイランダー』という作品ゆえに玉手箱入りしたという感じです。

かなり好きで、これからも追いかけたいのに、これという作品がなくて困ったのが西島秀俊。いっぱい出演しているのにねー。しょうがないので、もう1回観てもいいと思える『帰郷』を入れました。一番、彼らしいキャラクターだし(笑)。
かねがね素晴らしい演技派と思っていたサミュエル・L・ジャクソンも是非入れたいと思っていたので、『ジャンゴ 繋がれざる者』があって本当によかったです。素晴らしいと思っていたくせに、作品が思い浮かばないという忘れっぽさでして(^_^;。

男優とともに選んだ作品は、もう一度観たいと思えるものに限りました。だから(またジョニー・デップを引き合いに出すけど)、つい一人芝居になってしまう彼の演技の悪いクセを最も活かせた『エド・ウッド』を入れたいのに入れていません。
こうして選んだ作品は、初めて出会ったときの作品が多いですが、ジョン・ローンは『ラスト・エンペラー』にしてしまいました。『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』が第一次接近遭遇の作品で、主役のミッキー・ロークを喰うような神々しさでしたのに。う~ん、差し替えましょうか、どうしましょう。だけど、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』をもう一度観たいと思わないものでしてね。

余談ですが『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』は、私に「芥子粒」を教えてくれた映画なんです。この映画を観るまで芥子粒がどんなものか知りませんでした。この映画を観てから、あんパンのうえに乗っかっているのは芥子粒であるとわかった次第です。いやー、映画って本当に勉強になりますね。

さて、今後、どんな男優が玉手箱入りするでしょう?高良健吾くんを入れたいなー。でも、作品がないなー。『フィッシュ・ストーリー』で入れちゃおうか。などと、ひじょーに楽しい男優選びです(^_^)。