レーピン展図録

東京で10月8日までなので行けないと思い、図録を通販で手に入れた。やっほーい。素晴らしい図録だなぁ。
図録だけでもいいやとあきらめていたら、来年2月16日から3月30日まで姫路市立美術館に巡回してくる。や、ほ、ほーい。日帰りで行けるじゃーん。
「怖い絵2」だか「3」にあった「皇女ソフィヤ」も観れる~。
この美しい図録をながめていると(少し読んでみたら書いてあることも面白い)『おとなのけんか』でジョディ・フォスター扮する奥さんが、お気に入りの画集にケイト・ウィンスレット扮する奥さんのゲロピーをかけられて、きゃー!となった気持ちがよくわかる。

肖像画は、どこかで見たことある人だと思うものがいくつもあって、うえにマット・デイモンとダイアン・ウィーストをスキャンしてみた。他にもふっくらしたバネッサ・パラディ、老けたサム・シェパード、『アラビアのロレンス』でブライトン大佐役だったアンソニー・クエイルが精悍に描かれているものなど。他にも知り合いにいるわ~という感じで、なんだか不思議だ(笑)。

「怖い絵」の「イワン雷帝とその息子イワン」でレーピンを知って、「イワン雷帝~」以外の作品でも、ぜひ、レーピンの実物を観たいと思っていた。2009年に「忘れえぬロシア-リアリズムから印象主義へ」と題したレーピンの作品を含むトレチャコフ美術館所蔵の展覧会は指をくわえていたけれど(広島まで来ていたのにぃ)、今回は見逃さないぞ~。

★イリヤ・レーピン/Ilya Yefimovich Repin 1844.8.5(ユ暦7月24日)-1930.9.29 (ロシア、ペテルブルグ 86歳)2009
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カジポンさんのレーピン紹介と墓参り記録

天国の日々

限りなく透明に近い哀しみ。すごくよかった。鉄工所を出て汽車で移動し、農場に着いたあたりから哀しくなって、最後まで哀しかった。どうしてなのかは考えない。
「鳩の翼」の男女反転ヴァージョンかと思って観ていたら、農場主(サム・シェパード)、そうきたか~(ビックリ)。ドライバーを手にしていたばっかりに、ビル(リチャード・ギア)、そうなったか~。農場主の亡きがらを抱く農場長(ロバート・ウイルク)の深いしわを忘れない。
話が通俗的で表現が詩的。あとに残るのは、どこからきてどこへ行くのかわからない流れ者の哀しみだ。それは、残されたアビー(アダム・ブルックス)やリンダ(リンダ・マンズ)だけの話ではないのだろう。

スタンダートだったのか~(意外)と思っていたら、ヤマちゃんがビスタをスタンダードで上映していると指摘していた。何の違和感もなく観ていた自分にショックを受けた(がしょーん)。

[追記]
上映会主催者さまが配給元(コミュニティシネマ・センター)に問い合わせたところ、70年代は撮影はスタンダードで、上映は画面を大きく見せるために上下をマスキングしてビスタでということが普通に行われていたそうです。本作は、予告編やDVDではビスタですが、今回は、撮影したまんまのスタンダードで配給・上映されたということです。
私としては、「マリック監督、いったいどっちが意図するサイズなの?」って感じです。

DAYS OF HEAVEN
監督:テレンス・マリック
(シネマ・サンライズ 2012/08/28 高知県立美術館ホール)

セイジ 陸の魚

伊勢谷友介さんは俳優より監督の方が私はイケテルと思う。いい風景を切り取っているし、雰囲気の作り方がうまい。バーの賑やかさ、トンネルの音が響きそうな静けさなどなど、状況に応じて見せ方(編集)を工夫していると思う。ただ、バー、セイジ(西島秀俊)、ショウコ(裕木奈江)の部屋の美術が、どれもある種の美しさがあるのは改善の余地ありかな。『善き人のためのソナタ』で人物によって部屋の雰囲気をがらりと変えているのがいいお手本だと言うと、私の思っていることが伝わるかしらん。カズオ(新井浩文)の片思いの彼女がいる店とか、りっちゃんの和風のお家とかは、いいと思ったので、セイジとショウコの部屋の雰囲気に似たようなところがあるのは、何か意図があるのかもしれないけれど。

セイジがとった最後の行動は、何かしてあげたいけど何もしてやれないということの表明だと思った。義憤を感じて書いたり言ったりする口先だけの私と比べてどうなのか、・・・・・(・_・)。しばし考えた。
(カズオ、すっきー(^o^)。)

旅人(森山未來)

監督:伊勢谷友介
(とさりゅう・ピクチャーズ 2012/08/23 自由民権記念館)

ダークナイト・ライジング

前二作ともあまり好きでなく、ゴードン(ゲイリー・オールドマン)以外は(ジョーカー(ヒース・レジャー)でさえも)ほとんど忘れ、まるで観る気が起こらなかった本作だったけれど(冒頭のハイジャックシーンのバイオレンスぶりにやっぱりよせばよかったと思ったことを除けば)、すごく面白かった!

私にとっての前半のハイライトは、涙をためたアルフレッドの青い瞳だ。マイケル・ケイン渾身の演技に引き込まれ、思わずもらい泣き(笑)。
そんなアルフレッドの制止もむなしく、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)がバットマンとなってゴッサムシティに再登場したとき、フォーリー市警副本部長(マシュー・モディン)の勘違いは甚だしく、バットマンを追いかけだしたときは「わ~、ばかばかばか」とかつての青春スタアをバカ呼ばわり(笑)。
それに、バットマンが乗っていたバイクみたいな乗り物が、突然、タイヤの回転軸を換えて方向転換したのには、「さすが、マンガやーーー!!!」と大受けだった(笑)。

中盤で面白かったのは、やはりベイン(トム・ハーディ)だ。目的がさっぱりわからなかったので、破壊のための破壊に見えて、これぞ究極の悪といった感じだった。「ウォール街を占拠せよ」と比較するのもおぞましい証券取引所の乗っ取り、スーパーボウルの競技場爆破。楽しいから壊すというわけでもない。世間への恨みを晴らすといったふうでもない。そして、破壊の先には何もない。やっていることは派手なのに、この虚しさといったらなかった。(娯楽映画のはずなのに、まじめくさっているったらなかった(笑)。)

終盤、ミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)の正体がわかり(子役の容姿は重要だと改めて思った)、ベインの破壊の動機もわかり(虚しさが吹き飛び微笑ましくなった)、ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の本名もわかり(なんかピッタリ~(^o^))、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)の末路に灯がともり、娯楽映画としてとても気持ちのよい幕切れで満足した。
ただし、鉄腕アトムみたいなバットマン決死の運搬は、もっともっと遠くでないとゴッサム市民はのちのち苦しむことになるのではないだろうか。

THE DARK KNIGHT RISES
監督:クリストファー・ノーラン
(2012/08/20 TOHOシネマズ高知1 吹替版)