日輪の遺産

甘い。でも、政界のゴタゴタ“報道”を見て苦々しい思いをするよりいいかも。ていうか、けっこう感動したりもした。(映画を観ている間は思わなかったけど、敗戦と復興、震災と復興と今に重なる部分がある。)
結局、この映画の「遺産」というのは、生き残った人だったのだと思った。国に報いるため死んでいった19人の少女たち。笑顔と生気がまぶしい。彼女たちに報いるために生き残った者は生きたのだ。復興というのは死んでいった人たちに報いることでもあるのだ。そして、金原久枝(八千草薫)を観ていて長生きはするものだと思った。長生きも復興の証だし、死の真相を明かすことによって学友にも先生にも最も報いたのが彼女のように思える。
真柴少佐(堺雅人)
望月曹長(中村獅童)
小泉中尉(福士誠治)・・・・福士くんは素晴らしい役者だ!
野口先生(ユースケ・サンタマリア)
久枝(森迫永依)
マツさん(遠藤恵里奈)
スーちゃん(土屋太鳳)
マッカーサー(ジョン・サヴェージ)・・・・財産放棄ですか(^_^;。大甘です。
「七生報国」「幽窓無暦日」「出てこいニミッツ、マッカーサー。出てくりゃ地獄へ逆落とし。」
監督:佐々部清/原作:浅田次郎/脚本:青島武
(2011/08/28 TOHOシネマズ高知2)

ザ・ローズ[サントラ]

このところ、ときどき、泣きながら帰ってくる。ハンドルを離すのは危ないので、涙が流れるままに、でも、前方が曇ってはいけないので瞬きで水気を切りながら。安全運転はキープ。
いや~、聴くたびに泣けますなぁ。始めはノリノリで飛ぶ鳥を落とす勢いというか、ステージでのラップっぽいMCから’WHEN A MAN LOVES A WOMAN’につなげるあたり、イケてる。“Drug! Sex! Rock’n’Roll!”の連呼で会場、大盛り上がり。ところが、インストゥルメンタル’CAMELLIA’で雰囲気ガラリ。故郷でのコンサートで「私を許してくれる?」「私も許すわ」のセリフ(うぇ~ん)。そして、渾身の’STAY WITH ME’。何年かぶりでこのサントラを聴いたときは、’WHEN A MAN LOVES A WOMAN’でもう泣いていたが、7、8回目になるとさすがに泣ける曲が限られてきた。それが’STAY WITH ME’だ。
‘LET ME CALL YOU SWEETHEART’では息も絶え絶え。酒と麻薬に溺れて(それだけの理由があったと思う)、ステージで倒れてしまう。倒れる前に「みんな、どこへ行くの?どこへ行ってしまったの?」と言うのだけれど、意識が遠のき目の前が暗くなっていったんだろうなとか、一生懸命なのに空回りしてしまう、愛したいのにひとりぼっちってことを思うと、ローズが可哀想でまた泣けてくる。
1979年、ベット・ミドラーの映画デビュー作。調べたら監督は、大好きなマーク・ライデル(『黄昏』『フォー・ザ・ボーイズ』)だった。
youtubeへのリンクを張っておきますので、ぜひ、お聴きください。
ザ・ ローズ ( The Rose ) – ベッド・ミドラー( Bette Midler ) Sound track歌詞と和訳あり。素晴らしい訳ですが「種」のところは、次のページの訳が正しいそうです。
The Rose – Bette Midler (歌詞字幕)English & Japanese Lyricsサントラじゃない方のベットの歌。
01 WHOSE SIDE ARE YOU ON
02 MIDNIGHT IN MEMPHIS
03 CONCERT MONOLLOGUE
04 WHEN A MAN LOVES A WOMAN
05 SOLD MY SOUL TO ROCK ‘N’ ROLL
06 KEEP ON ROCKIN’
07 LOVE ME WITH A FEELING
08 CAMELLIA
09 HOMECOMING MONOLOGUE
10 STAY WITH ME
11 LET ME CALL YOU SWEETHEART
12 THE ROSE

トスカーナの贋作

仕事帰りの疲れた心身には、まったく浸透してこない映画だった(^_^;。
ジェームズ(ウィリアム・シメル)は事故で亡くした妻が生きて目の前にいるふりをする作家で、彼女(ジュリエット・ビノシュ)は家庭を顧みない夫がいるふりをするシングルマザーでと想像してみる。あうんの呼吸での真に迫った夫婦ごっこは楽しそうに見えなかったけど、あの二人にとってはセラピー効果でもあるのだろうか?
彼女の妹はその夫から「マ、マ、マ、マリー」と呼ばれて、それが本当の名前のような気がしてきたというけれど、彼女から「ジェ、ジェ、ジェ、ジェームズ」と呼ばれたジェームズはいかに?最後の最後、目を閉じた瞬間に睡魔とエンディングが重なり、夫婦ごっこの成果はわからなかった(爆)。
彼女の運転する車のフロントガラスに映った町並みが流れるのがきれいだった。
ジェームズの講演開始前、テーブル上のマイクと出版された本が延々と映されるが、画面に人物が入って初めてマイクと本が思っていたより大きいことがわかった。以上2点が好きなところかな。
CERTIFIED COPY 監督:アッバス・キアロスタミ
(こうちコミュニティシネマ 2011/08/24 高知県立美術館ホール)

ツリー・オブ・ライフ

natureに生きるか、graceに生きるかって、natureも神が作ったものなら、どちらの生き方も神の恩寵の中で生きるってことじゃないのかなぁ。ジャック(ショーン・ペン)は、母(ジェシカ・チャステイン)を亡くしたことをきっかけに、母と弟がgraceに生きることを教えてくれたと回想する。でも、神は大地(星)から作っていったんだと思いを巡らせていくうちに、natureもgraceも同じではないかと思い始めたのではないだろうか。ジャックが働くオフィス街。ビルの谷間から見上げると、そこにはやっぱり光がある。この映画はあらゆるものが美しく、grace=光ある世界に生きる喜びを描いているんじゃないかと思うんだけど、ジャックは浮かない。母を亡くしたばかりで思索にふけっているからかな?(19才で弟が亡くなったとき、父(ブラッド・ピット)は教会で赤いガラスに蝋燭の火を灯し、母を亡くしたジャックは青いガラスに火を灯す。このガラスが、きれい~。)それでも、沈んだ思いからふと抜け出して、天国での再会を想像してみると、少しは安らぎを覚えるのではないだろうか。
だけど、私にとって神の世界は割とどうでもよくて、やはり、人生の濃縮期間、ジャック少年(ハンター・マクラケン)の心の動きの瑞々しさが~~~(ToT)。よかったー。全シーン、よかったー。父親、死んでしまえと思い、神様にお願いする。そうそう!そのために神様はいるんだよぉー。何も自分で殺す必要はない(?)。色んな人の歩き方を真似するところ、溺れた友だち、火事にあった友だち。窓ガラスを割ってシュミーズを盗んで。父と合奏できる弟(ララミー・エップラー)に嫉妬して。
特に弟との遣り取りには泣けた。鉄砲で撃ったことを弟が許してくれたときのジャックの気持ちがわかる。その後、ジャックは友だちにも優しくなれるのだ。やっぱり、許しとか優しさの連鎖がいいねぇ(涙)。
神は天にいまし、すべて世はこともなし。
三男(タイ・シェリダン)
THE TREE OF LIFE 監督:テレンス・マリック
(2011/08/20 TOHOシネマズ高知3)
[追記]
ツリー・オブ・ライフ(みんなのシネマレビュー)の感想がよかったです。ぜひ、ご覧ください(^o^)。