ウィンター・ソルジャー ベトナム帰還兵の告白

帰還兵が10人くらいずつ数組に分かれて公聴会を行っていた。公聴前の楽屋(?)では、みんな、あまり詳しいことは語らない。何度も話したいような内容ではないから、本番で詳しく話そうということだろう。かといって、本番で意気込んで語るわけではなく、皆、わりあい淡々と語っている。体験をある程度対象化しないことには、話せないのだろう。そのへんは、元日本人兵が体験を語ったドキュメンタリー『日本鬼子(リーベンクイズ)』との共通点だ。
帰還兵たちの話(モノクローム)の合間に、話の内容をフォローするような形でヴェトナムでの実写(カラー)が差し挟まれている。また、公聴会後の帰還兵へのインタビューと聴衆の一人との人種差別についてのやりとり、特定の帰還兵に絞ったインタビューもあり、ワシントンDCでの反戦集会をしめくくりとしていた。帰還兵の話を中心とした単純な構成のドキュメンタリーで、それだけ話の内容にインパクトがあったということだろう。食材が新鮮だと茹でただけで美味しいみたいな(?)。
胸が悪くなるような話にもあまり驚きはしなかった(ちと居眠りしたところもあったし)。これまで観てきた映画やニュース(報道)のおかげかな。
WINTER SOLDIER
(2011年ピースウェイブ実行委員会、第28回高知平和映画祭実行委員会、四国文映社 2011/07/08 自由民権記念館)

SUPER8/スーパーエイト

列車事故スペクタクル、仲間、初恋、父子、成長物語、蜘蛛形異星人出没ホラー、未知との遭遇、映画作り、マイ・シャローナと、1979年を背景に盛りだくさんで面白かった。
「手を合わせて見つめるだけで、愛し合える話も出来る」じゃないけれど、ジョー(ジョエル・コートニー)と異星人との交流には思わず落涙。ジョーと親友チャールズ(ライリー・グリフィス)、好きな子アリス(エル・ファニング)、父ジャック(カイル・チャンドラー)とのそれぞれの関係性が定番ではあるけれど、うまく描かれていたので感動できたんだと思う。
8ミリカメラで映画作りを楽しんでいた少年たち(この映画の作り手?)も、今は40歳前後かな?色んな映画を彷彿させられる作品だから、作り手はきっと映画小僧なんだろうなぁ。
そうそう、エル・ファニングが輝いていた。楽しみな俳優が増えた。
SUPER8 監督:J・J・エイブラムス
(2011/07/09 TOHOシネマズ高知6)

マイティ・ソー

バカ息子、修行&初恋の巻。悲しき兄弟げんかの巻。
けっこう楽しめた。
ソー(クリス・ヘムズワース)の陽性キャラクターがイイ!俺様なところが、かえって可愛い。笑顔がチャーミング。学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)には、いい相手かも。
ソーの弟ロキ(トム・ヒドルストン)は、父オーディン(アンソニー・ホプキンス)にもっと愛されたくて兄に嫉妬する。とっても可哀想なキャラ。
欠点は、ソーのお友達軍団(この中に浅野忠信あり)のキャラがまったく生かせていない。3Dで描かれた世界は、おもちゃのように小さく感じる。
THOR 監督:ケネス・ブラナー
(3D 2011/07/09 TOHOシネマズ高知4)

映画を面白くする七つの罪

1 理念無き政治 Politics without Principles.
2 労働無き富 Wealth without work.
3 良心無き快楽 Pleasure without Conscience.
4 人格無き学識 Knowledge without Character.
5 道徳無き商業 Commerce without Morality.
6 人間性無き科学 Science without Humanity.
7 献身無き崇拝 Worship without Sacrifice.
ガンジーが言った「七つの社会的罪(Seven Social Sins)」とのことだけど、こういうのって対立軸にヒーロー・ヒロインを配置すると面白い映画になるんだろうなぁ。理念も教養もない政治家に青柳一平(伊東四朗)『ゴールデン・スランバー』をぶつけるか、それとも久保房子(松坂慶子)『大阪ハムレット』をぶつけるか。若手でいい相手はいないかな?