ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人

長年連れ添って生きるというのはいいものだなぁ。なかなか魅力的なご夫婦だった。
ただし、ハーブさんが目に見えて弱っているのが、ちょっと哀しい。目に力がない人はお迎えが近いから。でも、アート作品を観るときは、その目に力がよみがえっていたので、これまた「ちょっと」安心したりもした。
二人が蒐集した作品を「素敵だ」「綺麗」「面白い」と思えることに感心した。それは私が現代人である証拠のような気がする。高知県立美術館の収蔵している現代美術の作品もそのように感じていたが、もっと何十年も前に同じ作品を観て面白いと感じたかどうかは甚だ疑問である。
収入で買える範囲でアパートに収納可能な作品という基準のほかに、ハーブが当時のオンリーワン(他にはないもの)を選んでいるのも印象に残った。
アートを意識したおしゃれな編集もなかなかよかった。
HERB & DOROTHY 監督:佐々木芽生
(こうちコミュニティシネマ 2011/06/14 高知県立美術館ホール)

クレイジー・ハート

「息子を失ったら生きていけないわ」
「わかるよ。でも、実際はそうでもない。」
地方紙の記者ジーン(マギー・ギレンホール)と落ち目の歌手バッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジズ)の会話が、この映画を象徴していたように思う。地味で平凡な人々にも、時折ドラマチックな(はずの)出来事が起こる。事故で足の骨を折ったり、狂おしい恋に落ちたり、預かった子どもを見失ったり。そして、どんなドラマチックな(はずの)出来事も日々の営みの中で凪いでいく。
バッドは、ジーンと出会ったことによって作曲のインスピレーションを得、子どもを迷子にした自責からアルコール依存症を脱した。そんな人生の転換期を、ひたすら地味に描いて味わい深かった。塩分控えめの超薄味だけど、コクのあるスープみたいな感じだ。
ウェイン(ロバート・デュヴァル)・・・・美声に驚いた。
トミー・スウィート(コリン・ファレル)・・・・う~ん、濃い。
笑ったところ三カ所。
ジーンに思ったより早く帰られたバッドが、懐からグルーピーおばちゃんの名刺を取り出すところ。電話したな~(笑)。
トミーの前座なんか死んでもやらないと言っていたバッドが、実はやっぱり喜んでいた。「サンキュー、ジャック!」(笑)。
トイレで裸で倒れたままのバッド。やってきたウェインが驚いて介抱するかと思いきや、「またかよ。釣りに行く約束だぞ。」(笑)。
じぃ~んとしたところ。
うん十年連絡をしてなかった息子に電話したが振られたバッドを、ウェインが「何十年もほったらかしにしたのはお前が悪いが、電話したのに応じなかったのは息子が悪い」と釣りをしながら変な慰め方をするシーン。
ジーンとの再会シーンのズームアウト。
CRAZY HEART 監督:スコット・クーパー
(オフシアター・ベストテン上映会 2011/06/12 高知県立美術館ホール)

X-MEN ファースト・ジェネレーション

予告編を見て登場人物とその間の葛藤がすごく面白そうだったので是非とも字幕版を観たかったが、吹替版もなかなかよかった。
登場人物には、もっと苦しんでもらいたかったが、そこそこ苦しんでいたのでまずまず面白かった。
キューバ危機は私が生まれた年なので、キューバ危機映画をコレクションしようかな。
チャールズ・エグゼビア:プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)・・・・マカヴォイ君、頭のてっぺんがやばいぞと思ったシーンがあったが、そうか、後のプロフェッサーXだからか!妹と思っているレイブンの裸は気まずいよね。
エリック・レーンシャー:マグニートー(マイケル・ファスベンダー)・・・・一番のもうけ役。パラボラアンテナ-母の思い出-シーンでは思わず落涙させられた。今後はマグニートーを応援することにした。
セバスチャン・ショウ(ケビン・ベーコン)・・・・ケビン・ベーコンは、身のこなしが豊川悦司だ。
レイブン:ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)・・・・二番目のもうけ役。ジェニファー・ローレンスって魅力あるね。
ハンク:ビースト(ニコラス・ホルト)・・・・ああああ、もったいない!美形のニコラス・ホルトがぁぁぁ!ハンクの外見にこだわる気持ちはよくわかる。
ファンタスティック・フォ~!
X-MEN: FIRST CLASS 監督:マシュー・ヴォーン
(吹替版 2011/06/11 TOHOシネマズ高知5)

レベッカ

ビデオかなんかで観て、イマイチだった『レベッカ』。やっぱり映画は映画館で観るべし。面白かった!話をすっかり忘れていたので初見といっしょ(笑)。そして、帰ってビックリ、1940年の作品だとは!今観ても古くない。それに俳優さんが綺麗。今の映画の作り手さんにお願い。男優も女優も綺麗に撮ってください。映画館で、シミ、シワ、ソバカスを見て、我に返りたくありません。
・・・はっヾ( ̄0 ̄;ノ。我に返って『レベッカ』の感想。
ダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン)てマクシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)のことが好きだったの?身分違いで望みなしの恋だから、主のレベッカに自己投影して肩を持つというわけか。その他、いろいろと英国の階級社会あってこその映画だった。アカデミーの会員もそこのところを面白がっての作品賞授賞だろうか。
マクシムがマリアン(ジョーン・フォンテイン)に「無垢からくる可憐さが消えてしまった」というところ、マクシムの気持ちがわかる。彼にはいずれ消えるとわかっていたのだ。消えないとそれなりに困るものだし、持ちつ持たれつの対等な関係の方が楽だし味わい深い。でも、純粋に美しいときを少しでも長く見ていたいと思っていたのだろうな。年の差カップルのイイ感じがよく伝わってきた。
真相を明かすのは、長いセリフでだった。説明的にならないのは役者の力だろうか。
それにしても、スタンダードサイズの映画をビスタサイズ(?)のスクリーンで見せられるとは。TOHOシネマズ高知って、スタンダードに対応してなかったっけ???今の監督でもスタンダードで撮るかもしれないよ。ソフィア・コッポラとか撮らないかなぁ?
REBECCA 監督:アルフレッド・ヒッチコック
(2011/06/11 TOHOシネマズ高知8)