はぁ~、デイブ(デニス・クリストファー)の可憐な色気が、たまりませ~ん。やっぱり好き~!
仲間のキャラクターもいいし、ママとパパの愛情がたっぷりと伝わってくるし、随所に笑いどころがあって本当に楽しい。おまけにBREAKING AWAY(ぶっちぎり)の爽快感もあるし、BREAKING AWAYって独り立ちの新たな始まりのような気もしてくる。
とっておきの青春(2)『ヤング・ゼネレーション』で書いたことと変わりはないんだけど、今回はプライドが印象に残った。
マイク(デニス・クエイド)が石切場のプールで大学生ロッド(ハート・ボックナー)と競泳して負けてしまうシーン。マイクはプライドが掛かっているから必死で怪我までする始末。ロッドの方は、そんなマイクを見て引いていた。マイクたちに優越感を感じているロッドにしてみれば、マイクがどうしてそれほど必死になるのか理解できなかったんだろう。
割と冷静に将来を考えているムーチャ(ジャッキー・アール・ヘイリー)にしたって、「チビ」と言われると切れるし。
パパ(ポール・ドゥーリイ)が、かつての職場の石材所を訪れたり(向いてないということもあるのだろうが息子を石工にさせる気はない)、宵の町を息子と歩いて「大学の石材も自分たちが作った」と話すシーンは、プライドって単純なものではないと感じさせられる。
そうそう、猫は「フェリーニ」という名前だった。ギターを弾ける友達と記憶していたシリル(ダニエル・スターン)は、単にギターを持っていただけで、特訓されて弾けるようになったのだった(笑)。根っから争いが嫌いなシリルは、今回好印象。夫と息子の間に挟まったママ(バーバラ・バリー)は絶妙のコントローラーで、おめでたもめでたい。
BREAKING AWAY 監督:ピーター・イエーツ
(2011/05/21 TOHOシネマズ高知2)
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倫敦から来た男
これぞ活動大写真!
美しいモノクロームの写真がゆっくり動く。あまりにゆっくり動くので、「うげげ、ソクーロフか!」と初めの数十秒くらい心配したけど、ソクーロフより鮮明で難しくもなく、ひじょーに私向きだった。
ワンカット、ワンカットが美しい~。上下左右にカメラが動くのは当たり前。望遠レンズで前後にも動く。また、被写体もいいのだわ。美男美女ではない俳優が美しい~。夜も昼も。いろんなトーンの光も。海も船も汽車もアパートもホテルのカフェバーも。
音と音楽も独自のものがあったと思う。
The Man from London 監督:タル・ベーラ
(高知県立美術館ホール 2011/05/15 高知県立美術館ホール)
アンチクライスト
観終わった後、友達も知り合いも、その他の人も皆、「げんなり」しているのが可笑しくてたまらず、ペットボトルのお茶で喉をうるおしながら、お腹の底からふつふつと笑いがこみあげてきて、「トリアー監督、ありがとう」と思った(笑)。
トリアー監督は、女性恐怖症か、それとも恨みでもあるのか、はたまた女好きの裏返しで、「こんな目に遭わされたいけど、現実にはイヤだから、映画でやってみました」なのか。
女性は感覚的で、エデンの園に帰ると本性出して、怖いよ怖いよぉ。妻(シャルロット・ゲンズブール)を殺して、木イチゴ食べて、ほっとしたのも束の間。女がぞろぞろエデンに帰っているではないか!怖いよ怖いよぉ。というところだろうか???だけど、このエピローグには、雪やシャワーの飛沫が宇宙遊泳するプロローグ同様、笑ってしまった。ぞろぞろぞろぞろ、やりすぎなんである。
夫(ウィレム・デフォー)は、自分が妻よりお利口だと思っているから、妻が論文を書くにつき「アドバイス」するのだが、その上から目線が妻を傷つけているのじゃないのかね。
子どもを亡くして「死にたい」という妻には「いっしょに死のう」と言ってやればいいのに。論理的で構築的なものが良いとばかりは言えないのに。もっとカオス漬けになれば~?
それにしても、鹿、狐、烏か~。「セロ弾きのゴーシュ」では動物たちは良い役だったのに。自然は確かに恐ろしいけれど、日本人にとっては畏怖するものであって悪ではないと思う。
「自然=恐ろしいもの=悪=悪魔=アンチキリスト=女」
ほんまかいね、そうかいね(?)。
わかるのは、やっぱり私はトリアー嫌い。それでも次回も観に行くわ。ってことだ(とほほ)。
Antichrist 監督:ラース・フォン・トリアー
(高知県立美術館 2011/05/15 高知県立美術館ホール)
アニエスの浜辺
アニエス・バルダにまるで関心がなくて期待してなかったけれど、観てよかった。
バルダ自身の半生が、透明水彩絵の具でもって軽快にスケッチされていた。
誕生から80年、出会いと別れがあり、仕事と仲間と家族があった。仕事が仕事だけに、フランスのスタアを始めデ・ニーロなんかも登場したりするのが楽しかった(ハリソン・フォードには驚いた!)。また、ヒッピー、ラブ&ピース、ウーマンリブ時代の一時期、アメリカに住んでいたこともあって、その頃の時代色がこの作品の中でも特異な雰囲気で(といっても違和感なく溶け込んでいるのが不思議で)面白かった。そして、ジャック・ドゥミと子供たちへの思いは、うるるんと来た。愛を描く、描いたら愛になった、どちらにしても普遍性を持つ作品となっていると思った。
思い出の品であるいくつもの鏡に映る波と、それを含む風景。繊細なオーバーラップ。町中に砂場を作り浜辺の再現をしたかと思えば、同じ砂場が裸足で仕事ができるオフィスになったり、うん十年前の自作の登場人物やその家族に再会して話を聴くにしても只のインタビューではなく、いっしょに創造する楽しさにあふれていたり、たくさんのアイデアがさらさらと表現されていたことも記憶しておきたい。
Les Plages D’agnes 監督:アニエス・バルダ
(高知県立美術館 2011/05/15 高知県立美術館ホール)