いやいやいや~、いきなりネタバレだけど、これって好きなように生きることに軍配を上げた驚くべき作品だ。行くべきところへ行くって、そこかい!?(ツッコミ)てっきり自首か自殺だと思っていたので、映画のセオリーに革命が起こったと思った(笑)。作り笑いの生活を偽物の月(紙の月)だと言って、ひっちゃぶって好きなことをする開放感。可愛い愛人(池松壮亮)のためだったのが、いつのまにか何のためやら。終いには色仕掛けで契約を取ろうとするなんて、ぜんぜん楽しくないじゃんねぇ。タガが外れると樽でも桶でもバラバラ、元の姿に戻れないってことだろうか。だけど、それをも肯定的に描いていると思う。がちがちにタガが嵌った銀行の先輩、隅(小林聡美)が、梅澤梨花(宮沢りえ)が去ったガラス窓を見上げる。まぶしく輝く窓の向こうは梨花が高飛びした海外だ。
有能であっても支店長、次長には任命されず、長年勤めていると使いづらいってんで嫌がらせのような配置換え。融資係を希望して女を武器に次長と出来ちゃったうえに伝票操作をさせられ、バレルと弱い立場の方が辞職。子どもが欲しくても仕事好きの夫(田辺誠一)は後でってなもんで実のある会話もなし。ままならぬ人生を女性が皆、紙の月だと言うわけではないけれど、パパの財布から抜き取ったお金でした梨花の募金が生かされていたんじゃないの~~?というラストには、イエス様も「YES」と言っているんじゃないの~?しかし、梨花の表情は「やぶいてもやぶいても紙の月」なのであった。
監督:吉田大八
(2014/11/30 TOHOシネマズ高知2)
お茶屋さん、こんにちは。
『紙の月』に『テルマとルイーズ』を観たって感じ?
面白いなぁ。ちょっと驚きました。
ヤマちゃん、お返事が遅くなってゴメンナサイ。
『テルマとルイーズ』みたいに突き抜けてくれたら、わかりやすい娯楽映画になったのに、娯楽してくれませんでしたねぇ。せっかく行き着くところまで行くしかないと逃走したのに。梨花ってどこまでも虚ろですね。
お茶屋さん、こんにちは。
過日の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借したので、報告とお礼に参上。
ラストには、けっこう強い違和感があった僕からすると、お~、こういう受け止めもあるのか!と、とても刺激的な感想でした。わけではないけれどと付言しつつも「ままならぬ人生を女性が皆、紙の月だと言う」との感覚は、男ゆえか僕には思い及ばぬもので、けっこう効きました。
どうもありがとうございました。
ヤマちゃん、リンクとコメントをありがとうございます。
紙の月という発想は私にもなかったですよ~。リアルに充実していないって感じが出ていますよね。
ヤマちゃんのコメントで私も気づいたのですが、『レボリューショナリー・ロード』のエイプリル(ケイト・ウィンスレット)も紙の月組ですね。宝塚の月組なら楽しいのですが(笑)。