さわやか~。
イップ・マン(ドニー・イェン)は立派だと思った。拳法の達人というだけでなく、何のための拳法なのか、技だけでは年を取ったときどうなるか、弟子を導く姿がよい。中国人を虫けらのように扱い、その拳法をバカにしている英国人ボクサーと闘い勝利するが、「今勝ったからと言って中国拳法がボクシングに勝るわけではない、その逆もまた然り。ただ、人間として対等であることをわかってほしくて戦った。」という。悪徳師匠の総元締め風にホン師匠(サモ・ハン・キンポー)が登場するが、それは拳法界の秩序を維持するためであり、ホンも英国人に上前をはねられながら侮辱に耐えていた。しっかりした娯楽作だけど、英国統治下の香港で中国人が如何に耐えたかが印象に残る。この映画の前編とも言える『イップ・マン序章』では、イップ・マンが日本軍に拳法を教えることを拒否したエピソードがあるらしいので、支配される側の誇りと気骨を描いた二部作なのではないだろうか。
ほとんど完璧といっていい人物像は鼻につくことがあるが、イップ・マンの場合はこんな人がいてほしいと心から思った。
葉問2 監督:ウィルソン・イップ
(2011/10/21 沖縄 桜坂劇場)