感動した。
園子温は、やさしいなぁ。
住田祐一(染谷将太)を茶沢景子(二階堂ふみ)が救う。『20世紀ノスタルジア』で生死の瀬戸際に立っていたチュンセ(圓島努)をポウセ(広末涼子)が救った、あの変形版だ。チュンセと終末感漂う東京が重なり合っていたように、住田くんと東日本大震災後の日本が重なる。「がんばれ」という言葉だけなら虚しいが、傍にいて何があってもいっしょに居続けてくれる人が、大好きな人にどうしても言わずにはいられない言葉ならどうだろう。同じ言葉が異なる意味を持つ。魂の発露としての言葉についての映画にもなっていた。
青々しい物語に瑞々しい俳優。ツボだ。(このごろよく感じることは、子どもは社会の生命力ってことだ。夜野(渡辺哲)らの登場人物が、住田を見守り気遣い試しているのは、作り手にもそういう視点があるからだろう。)
それに、性と暴力とお笑い。映画の王道だねぇ。でも、暴力は苦手なんだよな~。父ちゃん、殺すのはいいけど(?)。(園作品はリアルなようでリアルでない。非現実のようで現実的。何か変な絶妙なバランスで成り立っているような気がする。)
ただでさえ葛藤の多いお年頃に、毒親のおまけ付きで、父親殺しというハンディキャップを背負っての再スタート。伴走する茶沢さんに私は「母親になりすぎないでね」と今は思ってしまうのだが、東日本大震災後の日本を変え得るのは母親パワーかもしれない。
監督:園子温
(2012/01/14 TOHOシネマズ高知5)