わが母の記

奉仕があるから愛がある、愛があるから奉仕がある。
う~ん、伊上洪作(役所広司)、作家だけあってうまいこと言う。愛があると何かしらしてあげたくなる、そういうことでしょう。しかし、作家でありながら、その奉仕を感じ取れないとは情けないぞよ。母八重(樹木希林)が持たせてくれた山葵三本。それは正しく奉仕、愛の証。母に捨てられた一念に凝り固まり、判断を誤る。それが人間というものなのでしょう。
そういえば、山葵だけじゃない。子どもの頃に母から授けられたお守りがあるではないか。う~ん、子どもにしてみたら、それだけでは足りなかったのね。やはり、子どもには言葉にしたり、抱きしめたりが有効なのかもしれない。

母子、父子、兄弟姉妹と家族の話はやはりイイ!笑いどころ満載!そして、ハイライトは、洪作と八重の縁側のシーン(涙)。
作家の妻は恐ろしいわ~。夫が母に捨てられたと苦い思いを抱えているのに、真相を明かさずケロリとしている。会計の管理だけでなく、作家が作品を生み出せる心理状態をも管理する。並の人には出来なかろう。
四季折々の風景もよかったし、赤みがかった映像に古き良き時代を感じさせられた。70年代の食堂の活気とトラックの運ちゃんの心意気もすごくよかった。
貸借ゼロにしたい日本人。なるほど。

監督:原田眞人
(2012/05/04 TOHOシネマズ高知2)

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