シェイクスピアの庭

最後に「これ、全部本当の話」と赤の大きな文字でバーンとクレジットされたとき、つい「うっそ~ん」とツッコミを入れてしまった。本当なら本当らしく、他のクレジットと同じ色と大きさの文字にすればいいのに、「ホンマやでー!」という気合いがケンちゃん(ケネス・ブラナー監督)らしい。と思っていたら、タイトル「ALL IS TRUE」だった(驚)。

グローブ座炎上を機に引退してストラットフォードアポンエイボンで庭仕事をしながら妻と暮らすはずの余生が紆余曲折ありで面白かった。
いちばん見応えがあったのは、サウサンプトン伯(イアン・マッケラン)とシェークスピア(ケネス・ブラナー)のやり取り(腹芸)。サウサンプトン伯がめっちゃカッコイイ!!!シェークスピアが萌えるのも無理はない。

夫が20年も単身赴任の妻のアン(アン・ハサウェイじゃないの?演じていたのはジュディ・デンチ。)も、跡継ぎを生むのを期待された二人の娘(次女は文学の才能があるのに認めてもらえないし)もつらいと思ったけれど、家族を養い財産を築いたことを自負し、跡継ぎを待望するシェイクスピアも普通の男性すぎてつらい。
引退したとは言っても詩人なら生涯書かずにいられなかったはず。俳優なら演じられずにいられなかったろうし、演出家なら村芝居でもなんでも催したくなったろうと思うが、何も残ってないとしたら庭仕事に嵌まったのかもしれない。
(2020/11/16 シネマサンライズ 高知県立美術館ホール)

「シェイクスピアの庭」への4件のフィードバック

  1. ケネス・ブラナーは、この映画が
    本当に作りたかったんだろな…って
    観ながらつくづく思いました。
    シェークスピアの(辛いくらいの)「普通さ」と
    ブラナーの(個性としての?)普通さが重なって
    なんというか… 適役だったとも。

    私もサウサンプトン伯とのやり取りの場面が
    一番記憶に残っています。
    思いを込めたシェークスピアの暗唱と
    淡々としたサウサンプトン伯の口調。
    (最後に「by shakesupeare」まで言うんだもん)

    画面もとてもきれいだったけど、私にとっては何より
    俳優さんたちの演技合戦見てた気がする作品でした。
    (たまにこういう映画見るとなぜかほっとする自分)

  2. そうか!演技合戦だったんだ(^o^)。
    俳優で作品を選ぶことが多いので、ケネス・ブラナー監督作品は好きです。『ナイル殺人事件』もすごく楽しみだったのに公開延期でガッカリしていたところ、この自主上映で嬉しかったです。シネマサンライズに感謝。
    次女の夫役の人も面白かったですよね。
    ジュディ・デンチがちょっともったいないと思ってしまったんだけど。
    それにしてもケンちゃんは、やりたいことができて幸せ者だな~。

  3. ジュディ・デンチは息子や娘について
    「あれが事実(あれでいい)」と「断言」するために
    出てきたような役柄だったな~と。
    普通に口にされるたら、母性愛の蒙昧さとしか
    見えないかもしれないのが、あのヒトの言いきり方(迫力)
    「全部わかって言ってる」感があって、納得させられちゃった。

    >それにしてもケンちゃんは、やりたいことができて幸せ者
    全く同感です(^^)

  4. ふむふむ。
    ガビーさんがジュディ・デンチをお誉めだったのもそういうことなんですね。知恵のある人だものね。>アン

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