3回目の鑑賞。アルコールからカフェインへ。
1983年の公開時に(とでんで)見ていたことを忘れていた。当時の感想文を見るとコンキャノン(ジェームズ・メイソン)の裏工作に腹を立てていたようだ。正義や真実などそっちのけの裁判や、挫折をひきずっているなさけない男フランク(ポール・ニューマン)を厳しい目で見ていたかもしれない。フランクの最終弁論は抽象的で説得力があるとは思えず「甘いなー」という感じがしたけれど、ローラ(シャーロット・ランプリング)からの電話と知りながら受話器を取らないラストは「苦いなー」と思ったと書いていた。
フランクは、かつて正義と真実を信じていたが裏切られた過去がある。そこからの転落人生、解雇に離婚、やさぐれて酒浸り。葬式の最中、遺族に対して弁護士の営業をして「心がない」と非難される始末だ。お金があり要領のいい者が勝者となる嘘だらけの世の中で、一旦軍門に下る(←旧知のミッキー(ジャック・ウォーデン)がローラに語ったことからわかる)とその一部と化して生きるしかない。その苦い現実を酒で紛らわせているのだろう。ところが、医療過誤で植物人間となった女性の姿を見ていて、事実を隠蔽しお金で片を付けてよいものかという考えがむくむくと蘇る。しかし、そこからも七転八倒がつづくのだ(^_^;。
とにかくポール・ニューマンは名演。示談でよかったのに裁判しやがってと怒り心頭の依頼人にタジタジとなったり、証人に逃げられて「負けだ」と言ってもローラには慰めてもらえず追い詰められてバスルームに逃げ込んだり、鎌を掛けたり嘘も方便の聴き込みしたり。一番胸が痛かったのは、ローラを叩いたときの表情(ToT)。そして、「次はない。次はないんだ。」も。実にカッコ悪い主人公だったのがカッコいい。
裁判であれだけの決定的な証言を得ながらもフランクには勝てるという気がしなかったようだ。世の中甘くないと身をもって経験しているからだろう。裁判が終わって事務所で一人きり飲む一杯のコーヒー。嘘だらけの世の中でも酒で自分を誤魔化さず、苦みを味わって行きまっしょい。
The Verdict
監督:シドニー・ルメット
(2015/04/05 DVD 鳴謝>シューテツさん)
ポールさんの映画は客観的に見れないので演技とかよくわからんのですが、アカデミー賞確実とか盛り上がってて取れなくて
∑(‘◇’*)エェッ!?
ってゆう記憶があります。
アカデミーは、そういうことするよねー。
ローラを叩いたときの表情だけで受賞ものなのにぃ。
お茶屋賞を進呈します。ぜんぜん重みがないけど(^_^;。
(ディカプリオも『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で獲らせてあげたかったなー。)