スパイク・リー監督の代表作である『ドゥ・ザ・ライト・シング』をはじめ、見てない作品が多数あるので、よくわからないのだが、こんなこなれた作品を作る人でしたっけ?映像で綴るアメリカ黒人史、「ちょちょいのちょい」みたいな。
クランズマンってどういう意味と思いながら足を運んだら、タイトル「BlacKkKlansman」で「そういうことか」と思わせられ、コメディだったのので「マジで実話?」と眉につばをつけた。事実は映画よりも喜劇(?)。白人至上主義者が政治家になっていることも描かれていて、それは現在も事実かもと見ていてわかるようになっている。
『風と共に去りぬ』の時代は転換期。当然の主張であっても物言う者は懲らしめられる理不尽な時代へ。学者面した差別主義者(アレック・ボールドウィン)がドキュメント映像をバックにベラベラしゃべるし(うんざり)。公民権を得た後、黒人が大活躍の映画が量産(?)され、主人公(ジョン・デヴィッド・ワシントン)と恋人(ローラ・ハリアー)が映画を話題にしていた。考えてみれば、タランティーノ監督がパム・グリアを主演に『ジャッキー・ブラウン』を撮ってなかったら、70年代の黒人主役映画のことを全く知らなかったかもしれない。そして、主人公の代わりにKKKに潜入したフィリップ刑事(アダム・ドライヴァー)が、『國民の創生』を見るシーン。これも町山智浩さんが『國民の創生』(1915)でKKKが復活したと話してなかったら、作り手がこのシーンを入れた意味がわからなかったかもしれない。極めつけがヴァージニア州シャーロッツビルの白人至上主義集会に反対して集まった人たちを車ではねていった映像。ここはスパイク・リーのパンチが、ガツンとみぞおちに入った。トランプ大統領のみぞおちに決まればいいのに。
(2019/08/24 あたご劇場)