入江悠監督作品は観たことがなかったが、何年か前に高知のオフシアターベストテンに入っていて気に掛かっていた。本作は監督のオリジナル脚本だという。近未来の日本を舞台に、安全保障関連法、相模原の障害者殺傷事件、個人番号と他の情報の紐付けなどを彷彿させられる社会問題を織り込んだアクション娯楽作で滅法面白かった。それに、福島の漁師も登場するのだ。ハリソン・フォード主演の『逃亡者』を彷彿させるような下水道シーンもあり、主人公(大沢たかお)がいつ谷底(?)に飛び込むか期待しまくった(笑)。
この映画を観た人が、命(でも何でも)の格付けをするのは権力者であって、私たちは格付けされる側(殺されるかもしれない側)であることに気づいてくれたらよいと思う。どんな差別も許さないこと、仲間割れしないことが、格付けされないことに繋がると思うけど、今、日本では殿さまでもないのに殿さま気分の人がいて相模原の事件の加害者の考えに共感したりするから困ったもんだ。トリアージも市民間でよく話し合っておかないと、それほどでもないときにトリアージが必要と言い出しかねないのが権力者だ。
ああ、話が脱線した。
脱線ついでに素晴らしいコラムがあったのでリンクを貼ります。短くて面白いので、ぜひ、ご覧ください。
<新・笑門来福 笑福亭たま>絶対アカン考え方
(2020/11/21 DVD)
お茶屋さん、こんにちは。
二週間以上前の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借しながら、報告とお礼に参上するのがすっかり遅くなり、失礼しました。
下手も要るのは、生きものの芸人と違って変化の余地ない映画に置いても同じで、駄作も要るというのが僕の持論でもあります(笑)。噺家の話にもある「芸は好みなので、多数に支持されなくても、誰か一人に高く評価されるかもわからず、芸の価値は比べようがない」というのがイチバンだけど、「面白い人ばかり見ると疲れるので休憩も必要」というのも見過ごせない核心を突いてますよね。
いろいろあるからこそ、自分なりに感じ取れる優劣の起伏も生まれるわけで、しょうがねぇなぁという駄作が無くなってしまうと、映画観賞の面白みは大きく損なわれると思います。
人間社会も同じですよね。角を矯めて牛を殺すなと昔の人が言っているように、排除の論理は大切な総体を損なうとしたものだと思います。
どうもありがとうございました。
ヤマちゃん、リンクとコメントとリンク先を読んでくださってありがとう。
大事なことを簡潔に面白く書いていて、これぞ噺家って感じですよね。
あんまり映画を観なくなったせいか、何じゃこりゃという駄作に遭わなくなりましたが、作品がバラエティに富んでいるので傑作、名作でなくても楽しいですね。作り手も様々だからバラエティ豊かなのが自然な姿なんでしょうね。
しかし、話は変わるけど、キネマ旬報ベストテン第1位が『スパイの妻』とは驚きでした。『罪の声』より上位なの?据わりがよろしくないのでは?拒否票を投じられないからねぇ(笑)。
拒否票と言えば、恒例のオフシアターベストテン。今年は、コロナ禍で見送りということになりました。リストは作ってあったんだけどね。
キネ旬の投票は、きっと観ずに投じた人が多いんでしょうね。黒沢だし、外国で賞取ってるしってなものでしょ。
何事によらず、近頃の日本じゃ昔のような判官びいきなんて、何それ!の有様で、専ら我先に勝ち馬に乗りたがったり、トレンドに乗り遅れまいとする強迫に駆られる人が多くなったようですね。だから、鬼滅現象が生じるのだと思います。大事なものが毀滅されてきている気がして仕方ありません。
罪の声じゃありませんが、我々のような映画愛好家は、化石とか言われてしまいそうですな。
新型コロナの影響は、すみずみまで行き届いていますなぁ。>オフシアターベストテン見送り
>キネ旬の投票は、きっと観ずに投じた人が多いんでしょうね。
えー!?評論家やライターさんたちなのに?観(仕事し)てないの?
私は「好み」で投票していると思ったんだけど。
昔の評論家さんたちは「完成度」で投票する人が多かったけど、近頃はそちらが少数派になったのねくらいに思っていました。
そうなっちゃったキネ旬のベストテンより、一応評議で決めるオフシアターベストテンの方が据わりがいいよね~と。
ちなみに、キネ旬読者のベストワンは『天外者』だったそうです。
化石・・・と言えば、シベリアの氷土が溶けて色々生ものが出てきてワクワクします(^_^)。
地球温暖化も乙なものだな~。←誰かに怒られるかな?
『天外者』のベストワンは、春馬追悼票が動員されたんじゃないかなぁ。牽引役がいて、AKBの総選挙みたいなもんなんだろうけど、いまどきキネ旬の読者投票なら、分母が小さくて、その動員が1位にまで押し上げちゃったということであって、個々の映画作品の質の問題とは無縁の現象のような気がするよ。
「天外者」は私も同様に思っていました~。また、読者票はこれまで納得いくものが多かったこともあり、面白作品なのかなーとも思っていました。観てないものでして。いずれにしても、地方の映画ファンには無縁の雑誌となっているんじゃないかなー。