TOKYOタクシー

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「TOKYOタクシー
遺したいもの」

山田洋次監督は、俳優を魅力的に見せてくれる。木村拓哉はあまり好きではないのだが、この作品も『武士の一分』もよかった。彼の硬派な一面が生かされていたと思う。

思わず落涙したのは、タクシー内ですみれさん(倍賞千恵子)がすみれさん(蒼井優)と手をつなぐところだ。若かりし頃のすみれさん側に立って観ていた私でさえも、あの熱湯じょじょじょ事件には若干引いてしまったのだが(すごいリアルやった)、裁判所のすみれさんには「それでよし」と思っていたし、子どもに先立たれて十分痛い目を見た人だし、罪も含めて人を肯定的に描いているところに感動した。

すみれさんは一期一会のタクシー運転士(木村拓哉)に遺産を遺したが、映画としては観客に町と人の歴史を遺したかったのかなと思った。原作映画があるというので『パリタクシー』も動画配信で観てみた。ほぼ原作どおりだったことがわかった。『TOKYOタクシー』では運転士がお金の必要な理由が始めに明かされていたが、『パリタクシー』は最後まで伏せられていた。『TOKYOタクシー』は最初からネタが割れている感じだ。でも、それで家族を取り巻く社会の状況がより鮮明になっている。『パリタクシー』の方は運転士の不安やいらだちがマダムとの出会いでやわらいだことが強調されていて、町の歴史よりも一期一会の交流に重きが置かれている感じがした。
(2025/11/30 TOHOシネマズ高知5)

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