「かんてもす」20周年

目代さんのヴァイオリン、ブラボー!ヴァイオリンを替えたかというくらいイイ音が出ていた。これくらいの音が聴けたら、もう私がストラディバリをプレゼントする必要もないなぁ(^o^)。毎回、イイ演奏なので是非、ストラディバリウスをプレゼントしたいと思っていたのだ。今回の「踊る人形」も素晴らしい演奏だった。
稲垣さんのマリンバも楽しい!木琴に近い音が出るようにバチを工夫したそうで、そんな音になっていた!しかもマリンバの柔らかさもあって面白かった。
20周年記念の新曲「シドロとモドロ」は残念、眠ってしまった。二人が山を登っていくえっちら・おっちらリズムと暗めの現代音楽ふうメロディが、仕事帰りの心身に心地よい(^_^;。
モーツァルトの2曲は厚みがあって心地よく、かつ、仕事帰りの疲れも吹き飛ぶ演奏だった。
曲の合間(椅子とか譜面を準備する間)の島田さんのおしゃべりも毎回楽しい。「マイムマイムみたいなところと、チャルメラみたいなところがあります」と解説されると、「どれどれ」と次の曲が楽しみになる。「ああ、ここがチャルメラかぁ~」とも思う(笑)。
演奏する皆さんも楽しそうなので、20年も続けてこれたのだと思う。やっぱり、音楽は楽しくなくっちゃね。
1 「魔笛」序曲(モーツァルト 島田広編曲):ヴァイオリン、E♭クラリネット、B♭クラリネット2、アルトクラリネット、バセットホルン、バスクラリネット、コントラバス、ピアノ
2 Benny’s Gig(グールド):B♭クラリネット、コントラバス
3 踊る人形(ポルティーニ クライスラー編曲)、4 思い出(ドルドラ):ヴァイオリン、ピアノ
5 クラズマー・ウェディング(カーティス):B♭クラリネット3、バスクラリネット
6 ディヴェルティメント変ロ長調(モーツァルト):B♭クラリネット3、アルトクラリネット、バセットホルン、バスクラリネット
7 ヘ調のメロディー(ルビンシテイン)、8 白鳥(サン・サーンス):バセットホルン、ピアノ
8 フラッパレット(グリアー ハーマン・島田広編曲):マリンバソロ、B♭クラリネット2、バセットホルン、バスクラリネット、コントラバス、ピアノ
9 二重唱「シドロとモドロ」(詞:やなせたかし 作曲:島田広):指揮:稲垣征夫、ソプラノ、バリトン、ヴァイオリン、E♭クラリネット、B♭クラリネット2、アルトクラリネット、バスクラリネット、コントラバス、パーカッション、ピアノ
(2011/08/18 高知県立美術館ホール)

ドン・キホーテ[ABT]

楽しかった。帰ってからも2、3日は音楽が頭で鳴っていた。
だけど、演奏はダメダメだった(^_^;。変な音は出るし、ダンサーが踊りにくそうに感じたところもあった。
ホセ・カレーニョは、踊りが重くて飛べなくて、引退が近いかもと思ったら、ズバリ引退公演だった(汗)。どおりで彼への拍手は大きく温かかった。いいお客さんや~。
とにかく踊りが美しい。軸が1ミリたりともぶれない最高に美しい回転を見せてもらった。(いっしょに行った友だちはバレエを習っているので技の名前を教えてくれるかと思ったら「知らん」と言われた(ToT)。)
アメリカン・バレエシアターは、多分、体育会系と思ったら予想どおりだった。第二幕の森の場面は幻想的に無重力で踊ってほしいところ、体操になりかけていた(^_^;。
第三幕はキトリとバジルの結婚式。素晴らしいグラン・パ・ド・ドゥだった!アダージオは、結婚式の清々しさが横溢しており感動した。パロマ・へレーラの、ずーっと片足で回転しながら前へ迫り出てくる技には、思わず「凄い」と声に出た。カレーニョもぶんぶん回転していた。
幕間で見かける子供たちが、もれなく踊っていたのが可笑しかった。お客さんの雰囲気もよくて(指笛鳴った(^o^))、ほんま、楽しかったです。
(2011/07/30 コベルコ大ホール 兵庫県立芸術文化センター)

大阪交響楽団 ガラ・コンサート

県民文化ホールのリニューアル・オープン記念のガラ・コンサート。素晴らしい!楽しかった~!!!
大阪交響楽団(指揮:寺岡清孝)、いいわ~!気持ちいいー!音を切り上げるところが見得を切るみたいで、カッコイイ。思い切りのいい演奏だと思った。
門脇加江子のピアノも素晴らしい。高知にこんなピアニストがいたのかとビックリ。超絶技巧もさることながらいい音を出すのだ。オケとの息がピッタリで聴き応えがあった。ラフマニノフの浪漫派のうねりが~(^_^)。
イリーナ・メジューエワのピアノは豪快・あっさり系。男前な演奏だった。ゆっくりなところは綺麗に弾いていたけど、本性は豪快でしょー(^o^)。オケともっと絡み合ってもよかったと思ったけど、ポゴレリチとアバドのCDの聴きすぎのせいかも。
千住真理子の登場に「司会者と似たドレスだなぁ」と思ったら、演奏が終わって息を切らして再登場。ずーっと司会をやってくれていたのであった!高橋薫子の歌の後、「歌を聴いた後、自分も気持ちよく歌えそうな気がして歌うんですが、出ないんですよねー。声が。」と言うのに笑った。なかなかの司会ぶり。
高橋薫子、ブラ~ボ!素晴らしい。気持ちいい。きっと演技力もあるぞ。メトロポリタンでも行けるのではと思った。
ファンファーレというと派手なものかと思っていたら、荘厳な感じ。銅鑼とかシンバルとか、いいねぇ!
“アッピア街道の松”は、軍隊が凱旋してくる様子を思い描いて作曲されたのではと解説された。なるほど、始めは遠くに土埃がたっているのが見えて、段々隊列が近づいてくる感じの曲だ。おしまいになるにつれて大音響で盛り上がっていくボレロみたい。
アンコールはみんなで「ふるさと」斉唱。
めったにアンケートを書かないんだけど、大変よかったに○をした。
写真レポートもご覧ください~。
[一部]
ビゼー:「カルメン」組曲より“トレアドール”
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(pf:門脇加江子)
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番より第1楽章(pf:イリーナ・メジューエワ)
[二部]
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調より第1楽章(vn:千住真理子)
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」より“今の歌声は”(sop:高橋薫子)
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より“私が町を歩くと”(sop:高橋薫子)
グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」より“私は夢に生きたい”(sop:高橋薫子)
[三部]
ヨハン・デ=メイ:祝典ファンファーレ(高知大学教育学部)
ワーグナー:楽劇「ローエングリン」より“エルザの大聖堂への行列”(西高等学校吹奏楽部)
レスピーギ:「ローマの松」より“アッピア街道の松”(西高等学校吹奏楽部)
[アンコール]
ふるさと(高橋薫子さんも会場の皆さんも)
(2011/07/02 県民文化ホール オレンジ)

盟三五大切 かみかけてさんごたいせつ

芸者小万、実はお六を演じた菊之助が素晴らしい!夫の三五郎、実は千太郎(中村勘太郎)と組んで、源五兵衛、実は数右衛門(中村橋之助)から百両をだまし取る。源五兵衛が惚れるのも無理はない美しさ色っぽさ。あでやかにその場を仕切って、すりゃ、皆小万の思いどおりになるわいな。「小万は俺に惚れている」と思わせられては、男としてはのぼせるしかないだろう。悪女と言えば悪女だが、それは故あってのこと。欺されたと知った源五兵衛の復讐を恐れたり、三五郎の女房としてのしっかり者風情などは芸者のときとはガラリと違うが、同一人物の異なる面を観せてもらったという感じでキャラクターに一貫性があった。
残念なのは、勘太郎と橋之助。この二人も欺す・欺されるとき、復讐する・それを逃れるときではガラリと違うのだが、キャラが立つまでには至ってなかったと思う。特に主人公とも言える源五兵衛を演じた橋之助は、仏作って魂入れずみたいな感じだった。初日だったので、今頃はもっとよくなっているかもしれない。(橋之助の子どもが源五兵衛の従者を演じていて、滑舌がよろしくないうえ棒読みっぽかったんだけど、ほんわかとした雰囲気に加え、主人には芸者にうつつを抜かさず義士に加わってほしいという一所懸命さが伝わってきて意外によかった。未完成の仏に魂入れた感じ。)
勘太郎をずっと前に観て、若いのにこなれているなぁと思ったことがあった。今回はお父さんに似てきたなぁと。注文としては、もっと助平になってほしい(笑)。だって、小万の胸をもむ場面、もまれる方はエロティックだったよぉぉぉぉ。そこで鶴屋南北はエロだと聞いていたのを思い出し、三五郎の方に不足を感じたわけだ。
演出は串田和美。
5人切りの場の緊張感には場内水を打ったよう。ギシギシと回り舞台の音だけ。斬るたびにツケの音。あまりの凄惨さに本当に胸が悪くなった。聞きしに勝る南北だ。
下座音楽はよいとして、西洋楽器(チェロかなんか?)が奏でる旋律に気が滅入り、歌舞伎の世界に合ってないと思って観ていたが、小万とその幼子をなぶり殺した後、雨の中を庵まで帰る源五兵衛の場面にこの音楽が重なると、陰々滅々が更に陰々滅々でイイ!ここは客席まで降ってくる雨といい、ある種の美しさがあり、演出のハイライトだ。(しかし、源五兵衛はどういう気持ちで殺したのか、橋之助の演技では私はハッキリとはわからなかった。義士に加わるための百両を騙し取られた恨みか、小万に心底惚れていたためか。ひと思いに殺さないこと、小万が「三五さんの顔が見たい」と言ったあと、夫にそっくりな幼子をかばいに行くのを見て子どもまで殺したことからすると、台本上は恋の恨みが勝るような気がする。この場面で、仁左衛門で観たかったと思ってしまった。)
笑えるところもたくさんあって、笹野高史も可笑しくてよかったんだけど、初めての南北は・・・・・、南北だねぇ;;;;。本当に胸が悪いわ~。しかし、おしまいは5人切りの場を再び使い、死んでいった人も生き残った人も走馬燈の中で楽しげに回っている。なにやら人生やなぁと思ったし、なにより胸のむかつきが取れて行ったのがありがたかった。
(2011/06/06 コクーン歌舞伎)
コクーン歌舞伎「盟三五大切」@シアターコクーン
ガムザッティさんの感想