1977年の作品だが1981年のアメリカ、モンタナ州のミサイル基地、軍司令部、ホワイトハウスの三ヶ所が主な舞台。画面を分割して同時進行していることを一気に見せたり、カットの間がゆったりしていて全体的に懐かしい昔の映画~っていう感じ。
刑務所から脱走した元軍人デル(バート・ランカスター)らがミサイル基地を乗っ取り、核爆弾の発射との交換条件に秘密文書の公開と現金及び人質として大統領(チャールズ・ダーニング)を要求。娯楽映画としては先は読めるので面白さ半減・・・・と思いきや、どうしてどうして、なかなかに骨があり、現在進行中の(アメリカ当局が世界中の一般市民の通信まで収集・分析していた内幕を元NSA職員のスノーデンさんが暴露した)事件を彷彿させられたばかりか、権力の構造という点で今にも通じる話で面白かった。
ソ連に対して徹底抗戦する構えで、大勢の兵士を犠牲にしてもよしとして戦争を始め長引かせた前政権の意志決定がデルによって断罪されている。デルはアメリカ国民のために、その議事録を公開せよと言っており、誠実な(庶民派?)大統領に期待を寄せている。前政権のしたことだから現大統領はその事実を公表したい。しかし、他の首脳陣は公開すると国民の信用をなくすから、公開できないと言う。要するに政権維持のため公開できないと言うことだろう。この映画が作られた当時は、アメリカは反共だったわけだが、今は反テロだ。反共も反テロもその黒幕は越後屋だろうと私は思っているので、越後屋の息の掛かった首脳陣という風にしていたら更に面白かった。それでも、最高権力者の大統領でさえ意のままにならない現実があることを悲劇的に描いたことによって、組織の中の個人(多勢に無勢)の弱さや、黒幕的な存在を感じさせられる作りになっていた。
マッケンジー将軍(リチャード・ウィドマーク)/脱獄囚仲間パウエル(ポール・ウィンフィールド)
TWILIGHT’S LAST GLEAMING
NUCLEAR COUNTDOWN
DAS ULTIMATUM[西ドイツ]
監督:ロバート・アルドリッチ
(2013/08/03 あたご劇場)