エイリアン ディレクターズ・カット版

高校3年生のときの作品。友だちは観に行ったが私は行かなかった。そんなわけで劇場で見るのは初めて。
いや~、やっぱり怖かった。タイトルの出し方からして、じわ~っと。宇宙船がドォ~ンと映った後、船内をじわ~っとカメラがなめていく。このゆっくり加減が怖いわ~。『2001年宇宙の旅』の宇宙船が無機的なら、こちらのノストロモ号は有機的。古いボイラー室みたいで、それも私には怖かった。それと、テレビ鑑賞ではまったく気がつかなかった音。船の動力のように、鼓動のように、場面によって音色は異なるんだけど一定のリズムで常に音がしていた。この音でもかなり怖くなった。腹を突き破って出てくるシーンは、わかっていてもショッキング。ただし、走って行った子エイリアンにはちょっと笑った。リプリー(シガニー・ウィーヴァー)は、すごくイイね!泣きそうな顔がよかったわ。彼女も初めから強かったわけじゃないんだ。出演者が皆若いのも楽しかった。

ダラス船長(トム・スケリット)/ケイン(ジョン・ハート)/パーカー(ヤフェット・コットー)/ブレット(ハリー・ディーン・スタントン)/ランバート(ヴェロニカ・カートライト)/アッシュ(イアン・ホルム)

ALIEN
監督:リドリー・スコット
(2013/06/11 TOHOシネマズ高知3)

華麗なるギャツビー

原作未読。今さっき注文。
もう、こういう話、大好き!!!哀切、極まる(ToT)。
アメリカ禁酒法の時代、世の中浮かれまくってチャールストン。この辺は、イヤというほど(イヤじゃないけど)バズ・ラーマンの独擅場。だけど、物語が進むにしたがってラーマン節が気にならなくなるほど人物が前面に出てくる。ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)。結局、私はこういう人物に弱い。何かを純粋に追い求める姿が美しい。追い求めていたものが(彼は最後まで気がつかなかったが)幻とわかり、また、彼の逃れたかったものから察するに、それを求めずにはいられなかったのだと思うと哀れでならない。自分の思いだけをとおそうとする姿は痛々しくもある。

デイジー・ブキャナン(キャリー・マリガン)は育ちの良いお嬢さんだ。彼女は「女はバカな方が幸せになれる」と言う。自分は夫トム(ジョエル・エドガートン)の浮気を知っているから不幸だと言いたいのだ。確かに、彼女が更に賢かったら、もっと不幸になっていたと思う。デイジーは、出自を蔑まれて激怒したギャツビーの痛みがわからない程度にはバカだった。だから、その程度には幸せになれたと思う。

ところが、彼女の従兄弟ニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア)は、傍観者の特権で(まるで眼鏡屋の看板のように)何もかも見えてしまう。そんなわけで、ギャツビーの真価もわかってしまう。掃き溜めに鶴、肥だめにダイヤモンド。う~ん、もっと文学的な表現はないものか。とにかく、「ヤツらをまとめても君一人の値打ちもない」のだ。偽物ばかり生きさらばえて・・・と失ったものを思うと、それはカウンセリングも必要となるだろう。知りすぎた者の不幸かもしれないが、でも、そのお陰で小説をモノしたみたい。人間万事塞翁が馬だ。

最後の電話について。執事は「(電話をくださったこと)主人が喜びます。」と言って、デイジーからの電話を心待ちにしていたギャツビーに取り次ごうとする。この執事のセリフは、作り手にしてみたら観客をミスリードしようとするものだと思う。私もそのはずはないのにデイジーからかと一瞬思った。電話の主がわかると、主人の様子を気にかけていた執事は優しいなぁと思った。

うぎゃ。トム役の人、ジョン・レグイザモだと思って観ていた。あれれ、クレジットされなかったなと思って見終わった。トム役は、ジョエル・エドガートンと言われても、あれれ、レグイザモは改名したのかなと思った。どうやら別人のようで、キツネにつままれた感じ。

マートン・ウィルソン(アイラ・フィッシャー)/ジョージ・ウィルソン(ジェイソン・クラーク)/ベイカー嬢(エリザベス・デビッキ)

THE GREAT GATSBY
監督:バズ・ラーマン
(2013/06/15 TOHOシネマズ高知9)

オブリビオン

う~ん、よくわからなかったなー。チケット売り場で「オブビリオン」と言っても通じるし(笑)。機械と人類の戦いだったのかな。まったりのったりと進んでいった。
クローン人間とか核爆発などのSF要素に、プールでチャプチャプのサービスシーンがあるかと思えば、「君は『紅の豚』か」的隠れ家シーンや『スター・ウォーズ』的谷間の撃ち合いシーンもあったりして、あれもこれもとツギハギした感じだ。記憶をすべて抜き取られても別の個体となっても「愛は永遠」でまとめようとしているみたいだけど、ストーリーを追うと目茶苦茶だ。だけど、大丈夫。あんまり期待してなかったし(^_^;。金看板トム・クルーズの奮闘で何とかもっている。白い砂山を駆け上がる姿がまぶしい。また、ジャックは数あれど、49のジャック(トム・クルーズ)だけが本を読む。それをビーチ(モーガン・フリーマン)が観察していて・・・、というような独自のアイディアがあったのも面白かった。ジャックを挟んでのヴィカ(アンドレア・ライズブロー)とジュリア(オルガ・キュリレンコ)の葛藤が、ジュリアの失笑とヴィカの涙という形に表れたのもよかった。

Oblivion
監督:ジョセフ・コシンスキー
(2013/06/07 TOHOシネマズ高知8)

リアル~完全なる首長竜の日~

長い。90分を切っていたら、まだ観られたかもしれない。黒沢清監督は、作品の平均点が高いと思っていたが、勘違いだったろうか。何作品か観ていると思うんだけど。ホラーもので有名な監督らしく、浩市(佐藤健)が、淳美(綾瀬はるか)の借りていた倉庫で捜し物をするシーンなんか、演出の卓抜ぶりに(なぜ、そんなところで怖がらせるのか意図不明ではあったが)震え上がった。しかし、冴えているのはそこだけだったような気がする。突然現れる死体のイメージや濡れそぼった少年や人形のような不気味な人物など、怖がらせようと思えばいくらでも怖くなりそうな素材を散りばめているのに、この恐がりの私が笑ってしまいそうになったのだから、実はお笑い映画なのかもしれない。私はホラーもお笑いも期待していなかった。予告編で、綾瀬はるかが描きそうもない絵を描いていたので、「ミスキャストだ」と指摘するつもりで観たのだというのは嘘だが、黒沢清がSF?SFでなくても自殺の理由をさぐる深層心理ものサスペンス?くらいな軽い期待をしていたのは本当だ。そして、ガッカリなストーリーと陳腐なセリフと手の甲に書いた丸印はいったい何だったのだ的な捨てエピソードと青々しい演技に、久々に座席にいる苦痛を味わった。主演の二人の美しさと、首長竜の滑稽さが(なぜか)救いだった。

監督:黒沢清
(2013/06/01 TOHOシネマズ高知9)