原作未読。今さっき注文。
もう、こういう話、大好き!!!哀切、極まる(ToT)。
アメリカ禁酒法の時代、世の中浮かれまくってチャールストン。この辺は、イヤというほど(イヤじゃないけど)バズ・ラーマンの独擅場。だけど、物語が進むにしたがってラーマン節が気にならなくなるほど人物が前面に出てくる。ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)。結局、私はこういう人物に弱い。何かを純粋に追い求める姿が美しい。追い求めていたものが(彼は最後まで気がつかなかったが)幻とわかり、また、彼の逃れたかったものから察するに、それを求めずにはいられなかったのだと思うと哀れでならない。自分の思いだけをとおそうとする姿は痛々しくもある。
デイジー・ブキャナン(キャリー・マリガン)は育ちの良いお嬢さんだ。彼女は「女はバカな方が幸せになれる」と言う。自分は夫トム(ジョエル・エドガートン)の浮気を知っているから不幸だと言いたいのだ。確かに、彼女が更に賢かったら、もっと不幸になっていたと思う。デイジーは、出自を蔑まれて激怒したギャツビーの痛みがわからない程度にはバカだった。だから、その程度には幸せになれたと思う。
ところが、彼女の従兄弟ニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア)は、傍観者の特権で(まるで眼鏡屋の看板のように)何もかも見えてしまう。そんなわけで、ギャツビーの真価もわかってしまう。掃き溜めに鶴、肥だめにダイヤモンド。う~ん、もっと文学的な表現はないものか。とにかく、「ヤツらをまとめても君一人の値打ちもない」のだ。偽物ばかり生きさらばえて・・・と失ったものを思うと、それはカウンセリングも必要となるだろう。知りすぎた者の不幸かもしれないが、でも、そのお陰で小説をモノしたみたい。人間万事塞翁が馬だ。
最後の電話について。執事は「(電話をくださったこと)主人が喜びます。」と言って、デイジーからの電話を心待ちにしていたギャツビーに取り次ごうとする。この執事のセリフは、作り手にしてみたら観客をミスリードしようとするものだと思う。私もそのはずはないのにデイジーからかと一瞬思った。電話の主がわかると、主人の様子を気にかけていた執事は優しいなぁと思った。
うぎゃ。トム役の人、ジョン・レグイザモだと思って観ていた。あれれ、クレジットされなかったなと思って見終わった。トム役は、ジョエル・エドガートンと言われても、あれれ、レグイザモは改名したのかなと思った。どうやら別人のようで、キツネにつままれた感じ。
マートン・ウィルソン(アイラ・フィッシャー)/ジョージ・ウィルソン(ジェイソン・クラーク)/ベイカー嬢(エリザベス・デビッキ)
THE GREAT GATSBY
監督:バズ・ラーマン
(2013/06/15 TOHOシネマズ高知9)