オブリビオン

う~ん、よくわからなかったなー。チケット売り場で「オブビリオン」と言っても通じるし(笑)。機械と人類の戦いだったのかな。まったりのったりと進んでいった。
クローン人間とか核爆発などのSF要素に、プールでチャプチャプのサービスシーンがあるかと思えば、「君は『紅の豚』か」的隠れ家シーンや『スター・ウォーズ』的谷間の撃ち合いシーンもあったりして、あれもこれもとツギハギした感じだ。記憶をすべて抜き取られても別の個体となっても「愛は永遠」でまとめようとしているみたいだけど、ストーリーを追うと目茶苦茶だ。だけど、大丈夫。あんまり期待してなかったし(^_^;。金看板トム・クルーズの奮闘で何とかもっている。白い砂山を駆け上がる姿がまぶしい。また、ジャックは数あれど、49のジャック(トム・クルーズ)だけが本を読む。それをビーチ(モーガン・フリーマン)が観察していて・・・、というような独自のアイディアがあったのも面白かった。ジャックを挟んでのヴィカ(アンドレア・ライズブロー)とジュリア(オルガ・キュリレンコ)の葛藤が、ジュリアの失笑とヴィカの涙という形に表れたのもよかった。

Oblivion
監督:ジョセフ・コシンスキー
(2013/06/07 TOHOシネマズ高知8)

リアル~完全なる首長竜の日~

長い。90分を切っていたら、まだ観られたかもしれない。黒沢清監督は、作品の平均点が高いと思っていたが、勘違いだったろうか。何作品か観ていると思うんだけど。ホラーもので有名な監督らしく、浩市(佐藤健)が、淳美(綾瀬はるか)の借りていた倉庫で捜し物をするシーンなんか、演出の卓抜ぶりに(なぜ、そんなところで怖がらせるのか意図不明ではあったが)震え上がった。しかし、冴えているのはそこだけだったような気がする。突然現れる死体のイメージや濡れそぼった少年や人形のような不気味な人物など、怖がらせようと思えばいくらでも怖くなりそうな素材を散りばめているのに、この恐がりの私が笑ってしまいそうになったのだから、実はお笑い映画なのかもしれない。私はホラーもお笑いも期待していなかった。予告編で、綾瀬はるかが描きそうもない絵を描いていたので、「ミスキャストだ」と指摘するつもりで観たのだというのは嘘だが、黒沢清がSF?SFでなくても自殺の理由をさぐる深層心理ものサスペンス?くらいな軽い期待をしていたのは本当だ。そして、ガッカリなストーリーと陳腐なセリフと手の甲に書いた丸印はいったい何だったのだ的な捨てエピソードと青々しい演技に、久々に座席にいる苦痛を味わった。主演の二人の美しさと、首長竜の滑稽さが(なぜか)救いだった。

監督:黒沢清
(2013/06/01 TOHOシネマズ高知9)

県庁おもてなし課

当地では大ヒット(の兆し)。見た人の感想は、おおむね良いらしい。私もそこそこ楽しんだ。
原作は新聞連載で読んだけれど、芯になる話があるわけではなく、ラブコメとしてもイマイチだった。映画の方は、話はほとんど中身がなく(スカスカ)、ラブコメとして役者の魅力で持っているという感じだ。
誰かにお薦めしたくなるほどの作品ではないが、どの役者さんも土佐弁が上手い!それから、独自に作ったと思われる観光ポスターやくろしおくんの張り紙などが随所に映っており、スタッフのそういう仕事ぶりを大いに楽しませていただいた。

この映画を観て高知に行ってみたいと思う人がたくさんいればいいな、とは思わない。それぞれの人が自分の郷土を見つめ直す、そんな映画になっていればいいのに(そういう普遍的な軸を持つ映画だったら)と思ったことだった。

掛水史貴(錦戸亮)/明神多紀(堀北真希)/佐和(関めぐみ)/吉門(高良健吾)/清遠(船越英一郎)

監督:三宅喜重
(2013/05/19 TOHOシネマズ高知7)

図書館戦争

原作は第2巻までしか読んでないけど、これがめっぽう面白く、読みながら声を出して笑うこともしばしばだった。キャラクターが立っているし、話の展開が痛快だからだと思う。映画の方もそういうポイントを押さえていて、笠原郁(榮倉奈々)と堂上教官(岡田准一)は原作どおりの遣り取りで笑わせてくれる。郁のルームメイト柴崎(栗山千明)と同僚手塚(福士蒼汰)もイメージどおりでイイ感じ。堂上の親友、かつ、同僚で、郁と堂上のラブコメを一番楽しんでいる小牧(田中圭)の存在感が薄いのが残念だが、仁科司令(石坂浩二)が警察の捜査(個人情報の閲覧)を拒否したり、玄田隊長(橋本じゅん)がメディア良化委員会の検閲を拒否するのはもちろん、図書館の敷地外で銃器の使用は認められていないが、その敷地を買い取って図書館にしちゃえば無問題だと銃器使用を許可するところは、無理が通れば道理が引っ込むとわかっていても痛快なんである。困ったもんだ(笑)。

図書館の自由と憲法で保障された表現の自由がリンクしていることが描かれている。その自由に対するお上の圧力と戦うのが図書隊だということで、大義も一応構えられている。また、図書隊は専守攻防に徹すべしを守っている。ジャーナリストは戦争の内実を報道し、無関心で忘れっぽい大衆に警鐘を発することが本分だということも描かれている。フィクションとはいえ戦争をするのだから、作り手もいろいろ考えているみたいだ。
ラブコメとして大いに楽しんだけれど、相手が殺す気で来るときに応戦すれば、殺し合いにならざるを得ないと思ったし、今、感想を書いていると、考えが映画からは随分と離れて、お上との最終決戦は憲法を盾に裁判所で行うしかないが、司法はかなり政府に取り込まれているからなぁと暗澹たる気分になってきた。

監督:佐藤信介
(2013/04/28 TOHOシネマズ高知9)