ビラル(フィラ・エヴェルディ)が、めっちゃイイ子で(涙)。マンUでサッカー選手になるんやとー。ミナ(デリヤ・エヴェルディ)に会いに行くんやとー。『汚れなき悪戯』「ステイ・ゴールド」石川遼。
シンプルな作品なんだけど実に繊細。たとえば、なぜ、シモン(ヴァンサン・ランドン)は、ビラルを助けたのかにしても答えは一つだけじゃない。難民側に立たなかったことで別居中の妻オドレイ(マリオン・ダナ)に「あなたに失望した」と言われたこと、独りアパートの寂しさ、ビラルたちの若さ、助けてみるとよい子だし、事情を聴くとミナに会わせてやりたい気にもなる(自分は未練たっぷりの離婚をしたし)。難民への支援は犯罪みたいに言われると反発もある(関わりたくなかったはずなのに)。
オドレイの気持ちも昨日今日のものではないと察しがつく。程よい距離を持って付き合うには大好きなシモンなんだけれど、いっしょに暮らすとダメなんだ。何度も思い知らされていたんだね。
ミナの家族の描き方も「家父長」バーン。わかりやすいし、きめ細かい。身動きとれなさ具合が、ひしひしと伝わってくる。
カレーの浜辺ののどかさとはまったく異なる暗い波間に見え隠れする大きな船と小さなビラル。ワイドスクリーンが生きる。
私の頭には「なぜ?」という言葉が点滅し続ける。難民を扮装中の本国へ送還はしないというのは肯けるのだけれど、そのまま放置、支援は犯罪って???(カレーの難民)
そして、おしまいに玄関マットの比ではないタイトルが。私には強烈なパンチだったが、フランスの市民はどう受けとめただろうか。
WELCOME
監督:フィリップ・リオレ
(シネマ・サンライズ 2012/01/20 高知県立美術館ホール)