エイリアン:コヴェナント

ハリセンボンの春菜ちゃん(キャサリン・ウォーターストン)、大活躍。
前作『プロメテウス』ってそんな話だったのか!
ディヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が可哀想で・・・・(ToT)、と思ったら・・・・よかったね(笑)。
いくつかの来るぞ来るぞ・・・というシーンは指の隙間から見たけれど、その他はどんなにグロくてもしっかり見ることができて、長年の映画鑑賞で耐性ができたものだと自分に感心した。クリエイト記録画集(?)などは気味は悪いが美しくもあり、「もう少しゆっくり見たい」と思ったほどで、考えてみると耐性ができたというよりは、照明をきっちり当て全体的にスッキリとした映像のため、目をそらさずにすんだのかもしれない。例の生き物などは造形の面白さに目を凝らすほどだった。

ディヴィッドとその創造主(ガイ・ピアース)の会話からして『A.I.』っぽい哲学風味。ワーグナーとか詳しかったら作り手の意図がわかって更に楽しめたと思う。ちと勉強したい。ってか、検索で終わるかもしれないけど。
「クリエイター=神」ということもあって、ラストのディヴィッドは神然としていた。若しくは、アートとしてあの生き物を造っているのであって、満悦、期待と楽しみという表情かな。
人類は生殖医療や動植物の遺伝子操作など(神の領域)はほどほどにして、アート作品をクリエイトすればいいのにと思っていたが、もし、神の領域さえもアートとしてクリエイトしていくならば、実に困ったものだとディヴィッドに気づかされた。
(2017/10/14 TOHOシネマズ高知1)

SHAME シェイム

う~ん、あまりに辛い。甘美なのは冒頭の地下鉄シーンだけで、後はどんどん辛くなってムカつきを覚えるくらいだった(^_^;。
どうやら近親相姦の過去があるらしい兄妹。二人とも親から虐待されていたみたい。頼れるのはお互いだけだったのでしょう。離れ離れになると相手の代わりになるものが必要なのね。二人の脱出劇というか逃避行(?)を想像すると「ニューヨーク、ニューヨーク」の歌詞は泣ける。あまりに辛いので、二人仲良く暮らす話にしてくれてもよかったのにと思う。インモラルだとしてもフィクションじゃん。こんな話にしたのは、どうも、マックィーン監督がマイケル・ファスベンダーに対してSでMなためと思われて仕方ない。『それでも夜は明ける』でも奴隷を愛した主人役が、たいそう痛々しく、明らかにファスベンダーが(影の)主役だったし。

色調が美しく、音楽とかもよくて、スクリーンで見ると浸れる作品だったろうな。
ブランドンの上司には罰が当たり、同僚のマリアンヌには良い人が現れますように。どなたかキャリー・マリガンとミッシェル・ウィリアムズの見分け方を教えてくれますように(-人-)。
(動画配信)

マンチェスター・バイ・ザ・シー

酔って絡んで暴力を振るうなんて、ろくでなし。
モテモテなのにその気なし。
いったい何があったのかと思ったら、う~ん、それは辛い。海辺の美しい町。良い思い出だってあるはずなのに戻れない。
だけど皆、辛いことを乗り越えて幸せになっているよ。元妻も今、幸せだから「許す」「ごめんなさい」と言えるのだろう。
わかっちゃいるけど、情けなや。やっぱり、酔っては殴り合う。ろくでなしに変わりなし。乗り越られない自覚あり。
それでも生きていいのだ、生きて行くのだ。底なしにダメでも弱くても。

本当にもう、自分を許してあげてほしい。
兄ちゃんも息子より弟の方が心配なんじゃないかな。
甥にボストンの大学へは行かないとあっさり言われたのが可笑しかったが、甥が来るかもしれないからと思えたことが救いだった。子どものことは、いつかはポケットの中の小石になってくれると思いたい。

淀川さんが映画で娼婦が悪く描かれることはないと言っていたのを思い出す。貧しい人、傷ついている人、あるいはダメダメな人、懸命に生きている人の側に立つ作品こそが胸を打つ。久々に行間の美しさを感じた。ユーモアもあるし!

監督、脚本:ケネス・ロナーガン
2017/09/13 あたご劇場

ダンケルク

負けが込んで撤退するイギリス軍兵士を迎えに行くだけの話に面白さがあるのだろうかとあまり期待していなかったけれど、意外に面白かった。冒頭、つかの間の「ゆるり」感を破った銃撃音に縮みあがり、慌ててティッシュをまるめて耳の穴に突っ込んだ。その後の音は何とか絶えられるくらいにはなったけれど、振動がすさまじく「ノーラン、ここまでしなくても・・・・」と独り語ち、絶体絶命場面が散りばめられているので、兵士といっしょにアップアップしたり息を詰めたりの大忙し。浜辺での一週間、民間船での一日、戦闘機での一時間を上映時間106分に程よく収めた時間のジグソーパズルも映画的で面白く、滑空するスピットファイアの美しさったらなかった。

民間船での遣り取りがドラマとして最も見応えがあった。マーク・ライランスさんの腹芸とキリアン・マーフィーの二役並の変貌ぶり。

2017/09/10 TOHOシネマズ高知6