深い河

本当に生きるとは、どういうことか。戦場という極限状態を生き抜いた者、妻を亡くした者、何不自由のない生活の中で心に空洞を抱えた者。三者の心の旅を、宗教的な観点から描いている。成瀬(秋吉久美子)と大津(奥田瑛二)の遣り取りは、台詞が抽象的で難しかった。大津の言う、西洋とは異なる日本人らしいキリスト教があっていいというのは、原作者の遠藤周作の考えそのものかもしれないと思った。原作は面白いだろうなと思えるくらいにはよかったけれど、エピソードがつながってないような気がするというか、空回りしているみたいというか。でも、ロケーションが意欲的でよかった。また、秋吉久美子の演技か地かわからない演技が魅力的だった。

監督:熊井啓
(小夏の映画会 2015/03/14 龍馬の生まれたまち記念館)

ビック・アイズ

異形の孤独を同類の伴侶を得たことにより脱出し、ハニームーン的な映画の時期も卒業。そして、愛する我が子と分身である作品を奪われた状態の女性を描いたT・バートン。コミカルでさらりとした筆致に監督の余裕を感じさせられた。エイミー・アダムスとヴァルツさんもグー。
ヴァルツさんの演じた人のキャラクターが・・・・(^_^;。自分が描いたものではないのに貶されて激怒するとは、究極のオタクですな(笑)。
トータルするとティム・バートンは、作家としての自分とオタクとしての自分を描いたと言えるかも。

監督:ティム・バートン
(2015/03/07 TOHOシネマズ高知1)

明かりを灯す人

目が点になったラスト。「明かりを灯す人」は死んじゃったよね。でも、また別の誰かが明かりを灯すんだよね。ソビエト崩壊後の話のようだけど、今の日本の田舎にも通じる話。村は窮々とし、開発の賛否に分かれて仲間割れ。背景にはそんなこともあるのでは?ただただ明かり屋さんのような素朴な人が希望だ。キルギスの空と風も。

監督:アクタン・アブディカリコフ
(シネマ・サンライズ 2015/02/28 自由民権記念館)

リアリティのダンス

可笑しく哀しく優しいワルツだったなぁ。こんな自伝ムービーを作れるのは、今が幸せだからだと思う。嘘と本当の混ぜ合わせがその人にとっての真実なんだろう。子どもの頃にはわからなくて辛かったことも、大人になってわかってみれば大切な思い出として昇華出来る。長生きはしてみるものだ。色彩は豊かに音楽は切なく「リアリティのダンス」

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
(2015/02/28 あたご劇場)