やはりインド映画はイイなぁ。わかりやすい。対等であることの大切さと、道具としての言葉の重要性がダイレクトに伝わって来た。また、女性の家庭内の役割りとか、学ぶことの楽しさとか、恋とか、色々なフックがあって様々な感慨が湧いた。
監督:ガウリ・シンデー
(2015/01/22 あたご劇場)
やはりインド映画はイイなぁ。わかりやすい。対等であることの大切さと、道具としての言葉の重要性がダイレクトに伝わって来た。また、女性の家庭内の役割りとか、学ぶことの楽しさとか、恋とか、色々なフックがあって様々な感慨が湧いた。
監督:ガウリ・シンデー
(2015/01/22 あたご劇場)
素晴らしい。楽しく可笑しく悲しく元気になれるアニメーションだった。
お話は色んなことを詰め込んでいるのに、とっ散らかることなく絶妙のバランスで「親しい人を亡くした悲しみを仲間といっしょに乗り越える」「科学技術の悪用はしない(人のために役立てる)」という2本柱がスッキリと立っていた。
ベイマックスのキャラクターは、もう最高。ロボットは金属製という既成観念を打ち破り、セロハンテープで修繕できるなんて傑作(^o^)。言動もスピードも愛しくなる面白さだった。
また、サンフランシスコと東京を合体させたような架空都市サンフランソウキョウが、イイ!いちいちDVD(だったら)をストップして何が描き込まれているか確認したくなるような緻密さだった。
更に、アニメーションの命である動くシーンも迫力満点で、マイクロボットの波がうねるうねる!そのうねりの頂点に仮面の悪役がコートの裾をなびかせて立つなんて痺れる~。ベイマックスとヒロがサンフランソウキョウを飛び回り、続いて鯉のぼりバルーン(換気扇?)にすわって夕日を眺めるシーンなんて、スクリーンで見なけりゃもったいない。
おしまいに、ベイマックスとの別れのシーンは、もちろん「うるるん」だったが、更に悲しく胸の痛みを覚えたのはベイマックスが緑のチップを抜かれ、完全に戦闘態勢に入ったときだった。何が悲しかったんだろうと思う。チップに左右されるロボット故か、チップを抜き取った少年の心故か、はたまた兄の心が無になる故か。仲間がヒロをとめてくれたからよかったけれど、何かを契機にひるがえる人の心は悲しくもあり恐ろしくもある。この場面の音楽が、そういう状況にピッタリで恐れ入ったことだった。
(2015/01/07 TOHOシネマズ高知6)
最初に書いた感想があまりにも酷いので、シネマ・スクウェアへ投稿する機会に改めて書いた。
本作は、ウディ・アレン監督の至芸と言っていいと思う。主人公ジャスミン(ケイト・ブランシェット)のセレブからどん底への顛末記なので内容はシリアスなんだけど、描き方は軽妙で胃にもたれない。しかも何だか透明感があり、見てからしばらく経つのに輝きは増すばかりだ。
ジャスミンは勉強はできても頭は空っぽ、美貌以外に取り柄もなく、身についているのは虚栄を張ることだけ。夫の詐欺をうすうす感じているが、悪いお金で贅沢三昧に良心も痛まない。自活はもとより、そもそも自立していない非常に弱い人だ。彼女なりに頑張りも見せるが、一文無しで心はボロボロ、一人路頭に迷うことになる。こういう人を現実の世界で見て、私たちはどう感じるだろうか。自業自得と思う人もあれば、哀れに思い手を差し伸べる人もいるだろう。
この作品ではどうかと言うと、上から目線でジャスミンを責めるようなことはなく、常に水平に彼女を見ている。そして、一定の距離を保ち、決して手を差し伸べるようなことはしない。したがって、観客もジャスミンを蔑まず同情せず客観視できる。(ジャスミンだけでなく全ての登場人物に対して同様のことが言える。)よく「感情移入できなかったから詰まらなかった。」という感想を耳にするけれど、感情移入できなくても「新しい視点と距離」をもたらしてくれるのも映画のよいところだと思う。登場人物を客観視すると我が身を振り返ることになるのではないだろうか。
また、成金から歩に戻るという共通点のある『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と本作を比較してみるのも面白いかと思う。貧富の格差社会はアメリカだけでなく日本もしかりだが、人を欺して稼いだお金で昨日まで富だった人が貧になるというのもしかり。映画は現実の映し鏡だ。(シネマ・スクウェア2015年1月号)
シリアスな話を軽妙に描いて成功している。この職人技はウディ・アレンならでは。いつもはアレン臭に文句タラタラの私も今回は脱帽だ。
m(_’_)m ははーっ
それに、私にとってはタイムリーな作品だった。観たのは、鳥取市教育委員会が鳥取城のキャラクター「かつ江さん」に対する一部の人たちの批判を受けてWebでの公開をやめた頃だ。ニュースを聞いて、批判する方もされる方も滅法弱くなったものだと思った。脆弱な社会は不寛容でいけない。強くないと優しくなれないものだと改めて思っていたところだったのでジャスミン(ケイト・ブランシェット)の弱さが痛かった。彼女はとことん弱い。妹のジンジャー(サリー・ホーキンス)と対比するとよくわかる。ジンジャーのように聴く耳を持ち、よい加減で、自分を委ねられる人は強く、失敗しても立ち直れるし、優しい。
映画の最後でジャスミンは心を病んだ状態となっていた。いつから病んだと言えるのか、その境目を見分けるのは難しい。夫(アレック・ボールドウィン)の浮気に逆上してFBIに告発って病的かしら?よく考えれば、どうなるかわかるでしょうに。って、悪いお金でのうのうと暮らしている方が本当は病的なはずなんだけど(^_^;。
ジャスミンをどう思うかというと、決して好きにはなれない。彼女なりに一所懸命だったのはわかるけれど(あの歯科医に罰あたれ)、同情する気にはなれない。ただただ「弱さ」の果てを思うばかりだ。
BLUE JASMINE
監督:ウディ・アレン
(2014/07/12 TOHOシネマズ高知2)
面白かった。話にしても映像にしても、へぇ~、ふぅ~んという感じで。おおー!とか、うわー!とかでないのが感性の鈍磨というか、可愛げがないというか、乗れなかった自分が不憫である。そうすると、昔からある神かくしやUFOも星空間移動なのかもしれないってことだろうか。神かくしとかUFOが異次元世界との行き来であるとは、私が子どもの頃に言われていたことで、なにやら懐かしい。「ライラの冒険」を思い出したりもした。ヴィジュアルもなんか、どっかで見た感じがつきまとっていた。
人類滅亡の危機をいかにして救うかというスケールの大きい命題を父と娘の愛情で解くという泣かせる話であると同時に、絶望の中にも希望を見いだす人間力の話でもあった。
観た後で知ったが、プロデューサーの一人は物理学者で、ブラックホールなど最新の科学でわかっているとおりに描かれているそうだ。そう言われても「ほんまでっか」と思うばかりだけど、そのくせ私はこの映画のSF的なところを楽しんでいたように思う。とりわけ、時間の摩訶不思議がいくつも描かれていてよかった。時間は不可逆なものなのに、「彼ら」として過去に現れることが出来る。わからないのに、やっぱり面白い。
監督:クリストファー・ノーラン
(2014/12/9 TOHOシネマズ高知9)